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星の家族:シャルダンによるΩ点―あるいは親友の子を引き取ったら大事件の連続で、困惑する外科医の愉快な日々ー  作者: 青夜


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退院直後って、テンション上がって結構ヘンなこと言っちゃうよね。

 一週間ぶりに家に帰った。


 亜紀ちゃんとはたびたび電話で話をしていた。

 今日戻ることは、だから伝わっている。



 「「「「おかえりなさい!」」」」


 門の前で子どもたち全員に出迎えられた。

 嬉しくなってしまう。



 「ああ、ただいま。長いこと悪かったな」

 子どもたちは口々に、全然そんなことはないと言ってくれた。


 「タカさん、まだ休んでいてください」

 亜紀ちゃんがそう言う。


 「ああ、もう大丈夫だよ。久しぶりに俺が夕飯を作ろう」

 「「「「ダメです!」」」」


 猛反対されてしまった。

 仕方なく、俺は自分の部屋に戻る。




 双子が入ってきた。


 「タカさん、大丈夫?」

 ルーが言い、ハーはベッドに横になれと言う。


 「大丈夫だって」

 俺は笑って言ったが、実はそれほど大丈夫ではない。

 院長のお蔭でずい分と経過はいいが、やはり肺が破れるほどの大怪我は確実に俺の体力を落とした。

 それに思考がまとまらない感覚がある。



 「寝ててください!」

 ハーが俺をベッドに押し倒すので、そのまま横になった。


 「二人とも、元気か?」

 「「うん!」」


 「ずっとお前たちに会いたかったぞ」

 「「うん!」」


 俺は二人を両脇に抱き寄せた。


 「あれ、タカさん、泣いてる?」


 知らぬ間に涙が毀れた。

 これも怪我のせいだ。


 双子は両側から俺の頭をポンポンする。







 皇紀が呼びに来た。

 夕飯ができたらしい。

 食欲ははっきり言ってなかったが、子どもたちの前だから少しは食べよう。



 リヴィングに行って、驚いた。


 


 「エヘヘ、今日は栗ご飯にしましたぁー!」

 亜紀ちゃんが笑ってそう言った。


 「あ、またタカさん泣いてる!」

 ハー、うるさい。



 「あの、大丈夫ですか?」

 亜紀ちゃんが心配そうに言い、皇紀が駆け寄ってきた。


 「ああ、大丈夫だ。やっぱりお前たちがいるこの家は最高だよな!」

 「「「「はい!」」」」



 俺たちは栗ご飯を食べた。


 「いかがですか? いろいろ調べて作ったんですけど」

 「ああ、今まで食べた中で、二番目に美味いぞ」

 「えー、二番ですかぁー!」


 俺は笑った。




 「ああでも、一つお願いがあるんだよ」

 子どもたちが俺に注目した。


 「栗ご飯はな、俺がもうちょっと食えるようになってから、また作ってくれ」

 俺は茶碗一杯がやっとだった。


 「分かりました。今度は絶対一番にしますね!」

 亜紀ちゃんが明るく、そう言ってくれた。


 子どもたちは、栗ご飯って美味しいと言いながらたくさん食べていた。

 俺は嬉しくなり、また出てくる涙を必死に抑える。




 「ああ、それとな。ちょっとみんなに相談があるんだ」

 「なんでしょうか」


 「今回、本当にいろいろな方にお世話になり、またご迷惑をおかけした。だからそのお礼とお詫びに、パーティを開こうと思っている」

 「あ、いいですね!」

 亜紀ちゃんや他の子どもたちも大賛成してくれた。


 「響子のときのように、どこかの会場を借りてもいいんだけど、あまり大げさにはしたくないんだ。うちでやりたいんだけど、どうかな」

 「もちろん賛成です。みんなで協力しますよ」

 「お前たちにも迷惑をかけたのに申し訳ないんだけど、俺と一緒に協力してくれ」

 「「「「はい!」」」」




 俺たちは一週間ぶりにいろいろな話をし、日常を取り戻した。


 風呂に入ろうとすると、皇紀が一緒に来る。

 大丈夫だと言ったが、是非一緒にという皇紀に甘えて、背中を流してもらった。





 湯船に入り、皇紀と話す。


 「今回のパーティは、亜紀ちゃんと、皇紀の二人に中心になってもらいたい」

 「分かりました」


 「また三人で打ち合わせをするけど、結構な人数になるぞ」

 「どのくらいですか」


 「うちの病院でのことだから、希望者は来てもらいたいな。そうすると二百人くらいは」

 「ちょっと入りきれないですよ!」

 「ああ、だから申し訳ないけど、時間入れ替え制でな」

 「なるほど」


 「反対に、特別招待の客は時間制限なしで、それは院長夫妻に花岡さん、響子と六花、それに俺の部下たち、大体二、三十名かな」

 「あの、タカさん」

 「なんだ?」

 「その人数で結構目一杯じゃないですか?」

 「あ、そうか!」


 「タカさん、やっぱり調子悪いですよ」


 「いやぁ、お前に相談してよかったよ!」

 「……」




 




 皇紀が先に出た。

 俺も早目に風呂を出て、リヴィングに行くと、皇紀がみんなと話をしていた。



 「みんないて、丁度よかった。さっきのなし!」


 と宣言した。


 子どもたちは半笑いで俺を見ていた。


 「タカさん、今日は早目に休みましょう」

 亜紀ちゃんにそう言われ、俺は双子に手を繋がれ、寝室に連れて行かれた。

 「今日は一緒に寝てあげるね!」





 俺はぐっすりと寝た。

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