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星の家族:シャルダンによるΩ点―あるいは親友の子を引き取ったら大事件の連続で、困惑する外科医の愉快な日々ー  作者: 青夜


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別荘の日々 XⅧ

 寿司の桶が10人前。

 5種のウドン。

 牛丼三つ。

 カレー10人前。

 ハンバーガー30個。

 焼肉串30本。

 その他焼きそば、焼きウドン、チャーハン大量、長崎ちゃんぽんなどがある。


 店長が、もう二つテーブルを持ってきた。

 幸せそうな顔だ。



 響子も楽しそうな顔をしている。

 珍しく子どもたちが俺の前にアレコレと置いてくる。

 俺はカレーだけを取り、みんなで食べろと言った。


 たちまち全部引き上げられた。


 響子は俺のカレーを二口食べ、子どもたちの饗宴に入っていく。

 皇紀だけが気にかけて、響子の食べたがるものを取ってくれる。


 六花は独自の世界観で食事を貪っていた。




 いつの間にか、周囲の視線があつまり、人垣が出来ていった。

 たちまち減っていく料理に、人々が歓声を上げる。

 店長が寄って来て、何か追加はありますかと子どもたちに聞いている。

 亜紀ちゃんが幾つか追加注文をした。

 マグロのトロを50貫とか聞こえる。



 響子が満足して俺の隣に戻ってきた。


 「また、スゴイよね」

 「そうだなぁ」


 「あ、コーキが蹴られたよ」

 「そうだなぁ」




 「店長! 過去最高の売り上げです!」

 「そうか、そうかぁ!」


 「……」




 食後に、店長がソフトクリームをサービスで持ってきてくれた。

 それが1400円。

 俺が支払った会計は25万円だった。

 端数はサービスしてくれた。

 ありがとう。


 店長が、周囲でも盛り上がって相当な売り上げになりましたと言った。





 店長が荷物をまた三時ごろに届けると言ってくれ、お願いした。


 途中の川原で子どもたちを遊ばせる。

 膝以上、水の中には入るなと言い聞かせた。



 

 俺は響子をちょっと水に足をつけさせてから木陰の中に入り、シートを敷いて座らせた。


 六花も子どもたちと遊んでから、こっちへ来る。



 「なんか、思い出しますねぇ」

 俺は六花に蹴りを入れる。


 「六花をいじめちゃダメ!」

 響子が怒る。

 響子は俺と六花に並んで座れと言い、二人の足の上に横になった。

 ニコニコしている。

 六花は、俺の肩に頭を寄りかからせた。


 「幸せですね」

 俺が何か言い掛ける前に響子が言う。

 「幸せ!」


 俺は苦笑して、六花の頭を抱き寄せた。



 響子が少し眠そうにしてきたので、俺は子どもたちを呼び寄せて帰った。





 帰ると響子はすぐに眠り、六花に任せて俺はバーベキューの準備を始める。


 子どもたちが手伝おうとするが、今日の勉強のノルマを果たせと言った。


 魚介類は手間がかかる。

 俺は黙々と作業を進めた。


 俺は料理が好きだ。

 それは、昨日も話したように、俺が子どもの頃にいつも腹を空かせていたせいだと思う。

 子どもたちも大食漢だ。

 だから料理の上達も素晴らしい。


 人間というものは、不幸が何かを発展させる。

 だから子どもたちよ、不幸を厭うな。


 俺は真剣に問題集に取り組む子どもたちを見て、そう祈った。



 響子は、さっき幸せだと言った。

 六花もそう言った。








 俺はそれが、何よりも嬉しかった。

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