別荘の日々 XⅢ
俺は残ったA5ランクの肉を焼き、子どもたちに等分に分ける。
「あ、全然ちがうよー!」
「大人はずるいよー!」
双子が叫ぶ。
「あたしも響子ちゃんになる!」
「たかとらー」
ハーが亜紀ちゃんに頭をはたかれる。
この辺は亜紀ちゃんは厳しい。
ハーもすぐに謝った。
「たかとらー」
すぐに肉を喰い終えた六花が言うと、双子に尻を蹴られた。
食材は少し残っているが、俺はそのまま花火大会を始めることとした。
すでにウッドデッキのダンボールは、俺と皇紀で開封し、ある程度並べておいた。
ロケット花火の特大のものを10本。地面に10センチおきに軽く突き刺し、皇紀に点火させる。
花火は次々と空へ上がり、意外に大きな花を咲かせた。
「じゃあ、みんな好きなものをやってくれ」
子どもたちははしゃいで大量の花火に取り付く。
大きな蝋燭を用意し、俺は好きにやれるようにした。
バケツに水を張り、一度そこに浸けてからポリバケツに入れるように言う。
時々様子をみよう。
一応、消火器も用意した。
響子も自分の足で選んで、花火を楽しむ。
六花がつねに傍にいて、一緒にやっていた。
他の子どもたちも響子に話しかけながら楽しませてくれた。
連続してやっているが、全然花火が減らねぇ。
俺は盛り上げるために、ドラゴンを両手に8個、口に二つ咥えた。
火を点けて、回りながら舞う。
「あ、フェラーリ・ダンサー!」
響子が叫んだ。
あの時よりも、一層派手に踊った。
子どもたちが拍手して喜んだ。
皇紀が同じように用意しているので、亜紀ちゃんが殴って止めた。
俺は笑って、両手にだけ持たせ、やらせる。
「ダサッ!」
「名画を汚すな!」
双子が酷いことを言った。
しかし皇紀は満足げに終わった。
子どもたちも、一本ずつではなく、複数本で楽しみ始めた。
双子がロケット花火を大量に抱えているのを見た。
「お前ら、皇紀に使おうなんてやめろよな」
「「チッ!」」
可愛そうに。
亜紀ちゃんは響子と六花と一緒に楽しんでいる。
俺が近づくと、六花がジャージのファスナーを半分ほど下げた。
また下着をつけてねぇ。
みてますか、という目で俺を見る。
無視して響子に話しかけた。
「響子、楽しいか?」
「うん!」
「亜紀ちゃん、こりゃ今日じゃ使い切れねぇな」
「そうですね、なんでこんなに買ったんですか?」
「肉屋も同じことを言ってたぞ」
亜紀ちゃんは声を挙げて笑った。
六花は一抱えの打ち上げ花火を持って、俺に火を点けてくれと言った。
俺は響子を少し離して、点火してやる。
15連発の花火が大量に打ち上げられた。
子どもたちが集まって眺めていた。
その光に照らされた六花の顔が綺麗だった。
一時間半も楽しんで、花火大会は終わりにする。
半分も減ってねぇ。
ショックを受けた俺を、亜紀ちゃんがクスクスと笑って見ていた。
子どもたちを風呂に入れ、俺はその間に、簡単に後片付けをする。
食材を冷蔵庫にしまっただけだ。
最後に俺と響子が一緒に入る。
当然のように、六花が入っている。
しつこく頼むので、六花に俺の身体を洗わせた。
響子が背中を向けて湯船に浮かべたアヒルで遊んでいるのを見て、六花は、俺を咥えてきた。
しばらく味あわせて、俺が六花の身体を洗ってやる。
六花は、ずっと、ここを洗えと指で示していた。
六花の頭を洗っていると、響子が見ていた。
「ほんとに仲良しね!」
俺たちは肩を組んでニコッと笑った。




