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2018/3040

挿話: ネコ塗れ「秘密兵器」 Ⅱ

 「にゃー!(タカトラさんだったぜ!)」

 「にゃー!(すっげぇー! 久しぶりに近くに寄れたぁー!)」

 「にゃー!(相変わらずいい匂いだったぁー!)」

 「にゃー!(お顔に触っちゃったよ!)」

 「にゃー!(私、撫でてもらっちゃった!)」

 「にゃー!(まさか集会に出てくれるなんて!)」

 「にゃー!(また来てくれないかなー!)」


 「にゃー(みんな、良かったね!)」

 『にゃー!(はい! ロボさん!)』





 ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■





 ネコの集会の帰り、俺は上機嫌だった。


 「タカさん、いーなー」

 「石神さんばっかり!」


 亜紀ちゃんと柳がまだ言ってる。


 「お前ら、ちょっとクサイからな」

 「「なんですってぇー!」」


 二人が俺の背中をポコポコする。

 双子もネコ塗れになりたかったと言っている。

 うちはみんなネコが好きだ。


 「御堂にいいものもらっちゃったな!」

 「次の集会までとっときます?」

 「もういいよ、捨てておけよ」

 「はーい」


 あまり集会の邪魔をしたくない。

 ネコはネコ同士の付き合いがあるのだろう。

 よくは知らないが。

 




 ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■





 ある5月の土曜日。

 タカさんは六花ちゃんと吹雪ちゃんに会いに行っている。

 昼食には戻ると言っていたので、ちょっと顔を見るだけなのだろう。

 

 土曜日は家のことを重点的にやる日だ。

 みんなTシャツとジャージになってる。

 亜紀ちゃんはタカさんの部屋を中心に家の中全体の掃除。

 皇紀ちゃんはまだフィリピン。

 私とハーとでいつもの洗濯をしようとしていた。

 うちは人数が多いので、週に3回やる。

 今週は雨が降ったので、今日で2回目だ。

 タカさんが嫌いなので、なるべく乾燥機は使わない。

 それに土曜日はシーツやらも入り一番多くなる。

 終わったら庭の掃除と「虎温泉」の掃除だ。

 頑張らなきゃ。

 

 「私も手伝うよー」

 

 柳ちゃんが来た。

 柳ちゃんは鍛錬があるので、ちょっと家事は少ない。

 今日はウッドデッキの掃除のはずだ。

 本人もそのことを気にしているので、時々他の人の手伝いに来る。


 「「ありがとー」」


 ハーと一緒にお礼を言い、まず洗濯物の仕分けをした。


 「あ!」


 柳ちゃんが小さく叫んだ。


 「ちょ、ちょっとこれ借りるね」

 「ん?」


 柳ちゃんがタカさんの下着のシャツを持って出て行こうとした。

 慌ててハーと止めた。


 「何すんの、ヘンタイ!」

 「ち、ちがうよー!」


 両手を私たちに掴まれて、柳ちゃんが叫ぶ。

 なんか本能的に顔に当てて匂いを嗅いでる。

 柳ちゃんがムッツリなのは知ってる。


 「ちょっとさ、これを着て「猫三昧」に言ったらモテるかなって!」

 「「おぉー!」」


 ナイスアイデアだった。

 絶対にいい!

 三人でタカさんの下着を探して自分のTシャツを脱いで着た。

 タカさんは身体が大きいから、余裕がある。


 「そうだ、亜紀ちゃんも誘おうよ」

 「「うん!」」


 亜紀ちゃんを内線で呼んだ。

 柳ちゃんのアイデアを話すと大興奮だった。

 飛んで来る。

 

 「す、すぐに行こう!」


 亜紀ちゃんもTシャツを脱いで、タカさんのシャツを着た。

 柳ちゃんが下も脱いでいた。


 「柳ちゃん、何やってんの!」


 隅で隠れて、柳ちゃんがタカさんのパンツを履こうとしていた。


 「それはマズイよ!」

 「こ、これ履いたら完璧だよ?」

 「「「おぉー!」」」


 亜紀ちゃんも賛成した。

 もう、誰も止まらない。


 「あ、柳さん、鼻血……」

 「……」


 柳ちゃんはムッツリだ。

 みんなでタカさんの下着の上を着て、下はジャージの中にタカさんのパンツを履いた。

 タカさんはトランクス派なので、ちょっとヘンな感じがする。

 タカさんのパンツはZimmerliヅィメリーのオーダー品だ。

 世界中のセレブやロイヤルファミリーの御用達なんだって。

 こんな感じなんだー。

 シルクだよー。

 四人で出掛けた。





 「猫三昧」で大歓迎され、既定の料金を払った。


 「今日は猫神様は?」

 「出掛けてます」

 

 店長とタマさんは残念そうだった。

 だって、タカさんがいたら私たちダメじゃん。

 座敷の前まで来る。


 「あ、もうみんな見てるよ!」

 「なんか、匂いを嗅いでない?」

 「ほんとだ! クンクンしてる!」

 「これは期待できるね!」


 四人で座敷に上がると、ネコたちが寄って来た。

 私たちの身体の匂いを嗅いで、すぐに身体を預けてくる。


 「スゴイよ!」

 「大成功だね!」

 「ネコ塗れだよー!」

 「すっごい気持ちいいー!」


 四人で寝転がって、ネコに埋まった。


 「あんたら、何をしたんだい?」


 店長さんとタマさんがコーヒーを持って来て驚いて聞いてきた。

 タカさんの下着を身に着けてきたと話すと、大笑いされた。

 一杯のネコに擦り寄られて、大満足で「猫三昧」を出た。





 「おい! 玄関からなんか毛だらけだぞ!」


 出かけていたタカさんが戻って来て下で叫んでいた。

 階段を上がって来る。

 みんな急いでタカさんの下着を脱ごうとしていた。

 タカさんがロボを抱いてリヴィングに入って来た。

 脱いでる途中だった。


 「お前ら何か知らな……」

 「「「「!」」」」


 「何やってんの?」

 「「「「……」」」」


 「脱げぇー!」

 「「「「はい!」」」」


 柳ちゃんだけ、直接タカさんのパンツを履いてた。

 下半身がスッポンポンだ。


 「柳、お前……」

 「「「……」」」

 「ごめんなさい……」



 



 久しぶりにぶん殴られた。

 四人で一生懸命に玄関から掃除をし、洗濯の続きをした。

 私たちのジャージのネコ毛がタカさんの下着に一杯ついて、また怒鳴られた。

 タカさんの下着だけ丁寧に毛を取ってからまた洗濯した。


 柳ちゃんの変態ムッツリのせいだ。

 

 

 

 

 柳ちゃんが、洗濯当番から外れた。

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― 新着の感想 ―
[一言] 柳w これはこれで可愛いかもですが残念な感じでw
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