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星の家族:シャルダンによるΩ点―あるいは親友の子を引き取ったら大事件の連続で、困惑する外科医の愉快な日々ー  作者: 青夜


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別荘の日々 Ⅵ

 夕方に響子と六花が起き、俺は響子を抱き上げ、別荘を案内する。

 響子は寝起きでぼうっとしており、俺に抱きついて甘えている。


 六花は意図的なのか、しょっちゅう胸をぶつけてくる。

 見ると、ジャージのファスナーを降ろし、下着が無いのを見せ付けた。



 無視。




 夕飯はシチューとパスタだ。

 響子が食べやすいように、ショートパスタにする。

 アスパラとプロシュートに、刻み海苔を少し混ぜる。


 子どもたちはこれでは足りないので、大量の唐揚げを作った。

 大皿に盛り、響子を楽しませつつ食欲を沸かせる作戦だ。


 響子は子どもたちのいつもの大騒ぎを喜び、六花も参戦した。


 「たんぱく質を補わないと!」

 わけの分からないことを言っていた。

 子どもたちよりも確実に多く取り、俺に親指を立ててきた。

 ハーに唐揚げをぶつけられた。


 


 夕食後、子どもたちに片づけを頼み、俺は響子と風呂に入る。

 響子の手術痕は、最近良くなってきた。

 血液などの数値もいい。

 もちろん、油断はできない。



 身体を優しく洗ってやり、湯船に腰掛けさせる。

 俺が自分の身体を洗っていると、響子が手伝いたいと言う。

 

 「じゃあ、オチンチンを洗ってもらうかな?」

 俺が冗談で言うと、突然浴室のドアが開いた。

 またこいつは。



 「不肖、一色六花、洗わせていただきます!」

 「お前、ふざけんな!」

 「いえ、響子にやらせるわけにはまいりません」

 「お前もだぁ!」


 響子が笑っていた。

 

 子どもたちに見られたくない。

 俺は六花とまた一緒に風呂に入った。





 響子はいつものように俺の足に乗り、背中を預けている。

 六花は俺の右側で両手を縁に乗せ、両足を思い切り開いて湯を味わっている。

 何も隠してねぇ。

 オヤジか。



 「あれ、タカトラ。何かお尻に当たってるよ」

 六花の裸に反応した。


 六花はがバッと起き、俺に迫ってくる。

 「ばかやろー! 離れろ!」


 「あ、また硬くなったよ?」

 六花がニヤリと笑った。


 「ああ、六花の身体が綺麗だったからな」

 「そうなの」

 「そうだよ」



 「響子の裸はダメなの?」

 ちょっと悲しそうな顔で言う。


 「そりゃな。響子が大きくなったらだな」

 「今はダメなの?」

 「今は響子がカワイ過ぎてダメだな」

 響子が嬉しそうに笑う。



 「響子、お尻だったら、グフォッ」

 俺は六花に湯をぶっかけた。


 その後六花が左足を伸ばし、俺に触れようとしてくる。

 そのたびに俺は湯を飛ばした。


 風呂くらいゆっくり浸かりたいもんだ。






 風呂上りに、俺は響子に少しだけ冷やしたミルクを飲ませる。

 小さなコップに注ぎ、一口ずつ飲めと言った。

 六花にはハイネケンを缶のまま与えた。


 「御褒美だ。味わって飲め」

 「そんなぁー!」


 泣きそうな顔をするが、それでも嬉しそうに飲んだ。




 子どもたちも風呂を使い、しばらくリヴィングで雑談をする。


 俺は響子用に少し砂糖を入れたホットミルクを作り、小さな魔法瓶に入れる。

 子どもたち用にはミルクティーを作り、氷と共に昨日の魔法瓶に。

 俺は六花と一緒にハイネケンだ。



 俺たちは屋上に上がった。




 響子も自分で歩く。


 響子が目を瞠り、その光景に打たれた。

 エロ魔人も驚いている。


 「どうだ、響子。綺麗な夜景もいいけど、こういうのもいいだろう?」

 「うん、ステキ……」


 俺たちはテーブルに座る。

 俺と響子、右に六花と亜紀ちゃん、向かいに皇紀、左にルーとハー。


 俺たちはしばらく、空間の雰囲気を味わう。

 虫の鳴き声が聞こえる。



 「響子」

 「なに?」

 「アメリカ人は虫の鳴き声をうるさいとしか感じないって聞いたけど」

 「うん、そうね」

 「日本人は、虫の鳴き声を美しいと味わうんだよ」

 「うん」

 「どうだ?」

 「うん、美しい」












 「響子」

 「なに?」

 「今日のお前は本当に綺麗だ」

 

 響子は俺を見て、嬉しそうに笑った。

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