第五回石神くんスキスキ乙女会議 酷い話だから、良い子は次話をとばしてね!
「それでは、「第五回石神くんスキスキ乙女会議・リベンジ」を開催いたします」
「あ、ナンカ増えた」
「はい、そこ黙って」
一江に誘われて、はっきり言って栞は断るつもりだった。
理由など今更語るものでもない。
これまでの四回の惨状が物語っている。
もちろん、自分が元凶になっている自覚はないでもない。
しかし、それは物理的なものであって、決して原因そのものではない。
そう、言い訳めいたものもある。
何にしても、酒を一緒に飲むのはしばらく、少しの間は、ちょっとくらいは空けなければならない!
「あ、栞!」
「陽子も食事?」
「そう。ね、ここに座って一緒に食べよう」
「うん」
食堂でばったり会うことは多い。
なぜか、栞が食事休憩に出ると、一江に遭遇することが多いのだ。
一江のいる第一外科は、決まった時間に休憩がない。
石神が自由に休憩を取るので、部下たちも大枠の範囲で自由に出入りしているのだ。
だから12時台の食堂の混雑も、外に出るにしても、混み合う時間帯をさけてみんな休憩に出ている。
それなのに、何故一江は自分とよく会うのか。
「栞、そろそろアレじゃない?」
「アレって何?」
「乙女会議よ! 決まってるじゃない」
「えぇー!」
即効で断るつもりだった。
しかし、一江は角度を変えてきた。
「今回はお酒はなし! いい加減、ちゃんとした集まりにしないとね」
「それはそうだけどー」
「これまでの敗因って、栞とお酒じゃない」
「それはひどいよー!」
「だからぁ、次はお酒抜きで、お食事だけの会を開くのよ」
「それって、意味あるの?」
「オオアリクイ! 実績を作って、そこから徐々にお酒を少しだけ入れながら、階段を昇るのよ、一歩一歩!」
「趣旨は分かりました」
「それに、今回は特別メニューよ!」
「え、なにそれ」
「それはねぇー、スッポンよ、スッポン!」
「えぇー、ちょっと爬虫類は」
「何言ってるのよ、栞! スッポンのコラーゲンは、コラーゲンの王様なのよ、知らないの?」
「そうなの?」
「食べた翌日は、肌が甦るの! もう、三十代が若返るんだって」
「え、じゃあ私も十代に?」
「オフコース! これで部長も超夢中よ!」
「え、そうかな?」
「そうよ、そうよ。垂れてきた決戦兵器だって、もうパツンパツンよ!」
「ちょっと、私は垂れてない(ちょっとしか)わよ!」
「じゃあ、決まりね! もちろんスッポンの手配はこっちでやっとくから」
「うん、分かった。申し訳ないけど、お願いします」
「それじゃあ、いつものメンバーで、土曜の夜に会場でね」
「会場って、もしかして」
「もちろんあたしのうち。だって外で食べたら、とんでもなく高いんだから」
「スッポンって捌けるの?」
「大森がいるから大丈夫。まあ、女史四人もいれば、なんだって出来ちゃうわよ」
「そうね、私ももちろん手伝うから」
「じゃあ、5時集合で、よろ!」
「うん、楽しみにしてる!」
普通に集まれないのか、お前ら。




