表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
星の家族:シャルダンによるΩ点―あるいは親友の子を引き取ったら大事件の連続で、困惑する外科医の愉快な日々ー  作者: 青夜


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

117/3162

怖い女

 結局、六花の「資料」整理は夜中までかかった。


 俺が東名をぶっ飛ばしたために、昼過ぎには病院へ着いた。


 響子の顔を見る間も惜しんで、途中で栞に頼んでおいたカフェイン剤を受け取ると、すぐに六花のマンションへ。


 最初に現況を確認した俺は、段取りを組んで六花へも指示を出す。

 その合間に、冷蔵庫を覗き、適当に食事を作って二人で食べた。


 マンションに着いて、そこまでで30分。




 そして俺が寝室のキャビネットのものを全部出していると、六花が全裸で現われた。

 両手に「器具」を幾つも抱えている。


 「何やってんだ、てめぇは!」

 「いえ、ちょっと使ってみたいと」


 俺は六花の尻を三発叩いて

 「さっさと言われたことをやれ!」


 部屋を追い出した。




 少し相手をして、圧力を下げてやってもいいのだが、俺が不味い。


 はっきり言って、俺と六花の相性が良すぎるのだ。

 どこまでも貪ってしまう。


 ここで貪れば、部屋の片付けなどまったくできないに決まってる。




 ヤバいものはすべて寝室に仕舞い、リヴィングのAVだのも何んとか収めた。

 もう、寝室に余分なスペースはほとんどない。


 『肛虐聖女諸君―みんな並んで3リットル』

 『マジいき天使―24時間入れっぱなし』

 『激汁バンバン』

 『先生、全部飲んでくれますか?―女子高生聖水放射』

 『激太医者と激狭ナース』


 こんなのが千タイトル。


 ちょっと六花と一緒に観たいのもある。





 午後23時58分に終わった。


 疲れが限界だ。

 早く帰りたい。


 「石神先生、お風呂沸きました」

 「お前はどうして、そんなに元気なんだよ?」


 今すぐ寝たいのだが、ここだけはダメだ。

  

 玄関で後ろから抱きつく六花をなんとか引き剥がし、俺はタクシーで家に帰った。








 「あ、花岡さん」

 「おはよう、石神くんはいるかな?」


 「それが、夕べ遅くに帰って、まだ寝てるんです」

 「やっぱり。石神くんの携帯にかけても出ないから、家の方に電話したんだけど」


 「1時くらいでしたけど、私がまだ起きてたんでお迎えしたんです。ものすごく疲れてて、「たんぱく質が足りない」って呟いてました」

 「たんぱく質?」


 「ええ、「何か作りましょうか」って言ったんですけど、手を振ってシャワーを浴びて、そのまま寝ちゃったようです」

 「そう。明日のことと、出張の様子を聞きたかったんだけど」


 「ちょっとお部屋に声をかけてみましょうか?」

 「ああ、いいわ。疲れてるんでしょうから、また夕方に連絡する」


 「すみませんでした」







 俺は午後の三時くらいに起きた。

 腰がちょっと痛い。

 下半身に鈍痛がある。




 「大丈夫ですか?」

 亜紀ちゃんが心配そうに聞いてきた。


 「ああ、大分疲れたようだな」

 理由は言えないけどね。


 「お昼の残りがありますけど」

 「え、残ったのかよ!」

 

 亜紀ちゃんは笑って言う。

 「タカさんの分を残したんです」


 「そうか、じゃあちょっと食べようかな」

 昼はパスタにしたようだ。

 温めてから皿に盛って、ミートソースをかけてくれた。


 俺が食べ始めると、亜紀ちゃんが卵とベーコンを出して、焼き始める。


 「ベーコンエッグを作りますが、何枚焼きましょうか?」

 「え? ああ、3枚もらおうかな」


 「やっぱり」

 「どうした?」


 「夕べ、タカさんが「たんぱく質が欲しい」って言ってましたから。

 俺、そんなこと言ってたのか?

 「ああ、助かるよ」


 食べている途中で、亜紀ちゃんから栞が電話してきたと聞いた。

 まだ、俺は履歴を見ていなかった。


 食べ終わってゆっくりとコーヒーを飲んでいると、栞から電話が来た。


 「あ、もう起きてますよ。今替わりますね」


 「花岡さん、何度もかけてくれたみたいで、すみませんでした」

 「大丈夫なの? まだ声が大分疲れてるみたいだけど」


 「久しぶりに長距離の運転で、思った以上に疲れたようです」

 「夕べも遅かったんだって?」


 「ええ、六花といろいろと話し込んでまして。今回の出張のことと、また来週はアビゲイルたちが六花のマンションに行きますから、その打ち合わせとか」

 「もう、無理し過ぎよ! 明日はやめにしない?」

 

 「いいえ、ルーとハーが楽しみにしてますから。それに院長に無理言って頼んでますからね」

 「そうだけど。本当に大丈夫?」

 

 「今日一日のんびりすれば大丈夫ですよ」




 そうなのだ。明日は院長をこの家に呼んでいるのだ。








 俺はフツフツと力が甦るのを感じた。

 楽しみだ。




 





 その後、スマホを見ると、130件の履歴があった。

 すべて栞からだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ