とある一般冒険者のダンジョン攻略
〈とある冒険者視点〉
暗くて湿気のある洞窟は嫌いだ。まぁ仕事だから進むしかないがな。
俺はガイン冒険者だ。俺たち「闘牛の血」は全員がCランクのベテランパーティだ。そんな俺たちが何故こんな下級ダンジョンにいるかと言うと、指名依頼で調査を頼まれたからだ。しかもギルド長直々に。洞窟型じゃなかったら大歓迎なんだがな。
今のところは異常なし、典型的な生まれたてのダンジョンだ。この時期に規模がデカくなってると1年後のダンジョン攻略で失敗する確率が高くなるから結構重要な任務らしい。そういうのは排斥のベスタに任せてるから詳しくないがな!
にしてもこのダンジョンはイヤらしい。モンスターは雑魚しかいない癖に罠が厄介だ。一つ一つは俺でも解除できるものだが、少し気が抜けた時に設置されてあったりして常に警戒しなくちゃいけねえ。しかも宝箱がしけてやがる。下級ポーション1つじゃ宿代にもならない。とっととダンジョンコアを確認して帰りたいもんだ。
暫く進んでくとオークの一団と出会った。ゴブリンとは違いしっかりと武装してる。
「ベスタ、ルッソ援護頼んだぞ!」
俺の掛け声で戦闘が開始された。俺の得物は大戦斧、1人で前衛を受け持つ。ベスタは排斥で戦闘の時はショウトボウで援護とルッソの護衛だ。ルッソは何をしてるかって?詠唱だよ。時間がかかるが高火力広範囲で今みたいな下級魔物相手だと1発で決めてくれる。
そんなことを考えてると一撃を貰ってしまった。やべ、このオークやけに剣が上手い。
「ガイン、油断すんじゃないよ!」
「分かってるがこいつらは厄介だ。」
一体一体は俺よりも弱いが器用に入れ替わりながら攻撃してくるのは厄介以外の何物でもない。
「避けな!」
いちばん厄介なのがこれだ。ヒュッと耳のすぐそばを石が通過する。オークの奥に隠れているゴブリンが石を投げ邪魔をしてくる。それ自体の威力は低いが、狙いが恐ろしい程に良く的確に目を狙ってきやがる。今もオークへトドメを刺そうとしたら投石してきた。
こいつらは何で異種同士で連携なんかしてんだよ!
「準備が出来た、避けてくれ!」
やっとルッソの詠唱が終わったか。ルッソのファイヤランスは前衛にいた2体のオークを吹き飛ばした。死んではないだろうが復帰は無理だろう。
「ガイン!まただよ!」
ゴブリンの方向からまた投石が来たようだ。今度も耳のそばでポチャッと言う音を立てて…?ポチャ?
そう疑問に思った瞬間、視界を光が埋め尽くし全身に衝撃を受けて吹っ飛ばされた。
「ガイン!しっかりしな!」
一瞬意識が飛んだがベスタに叩き起される。ポーションを口にぶっ込まれて全身の痛みは引いたがこれ以上の戦闘は無理だ。
ルッソのファイヤウォールでオーク達を足止めして逃げることには成功した。ここのダンジョンは何かヤバい気がする。最後の爆発も結局なんだか分からなかったが、あれはヤバい。魔導師のルッソも排斥のベスタも爆発するまで気付けなかったそうだ。なんにせよギルド長にはしっかり報告しないとな。