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チュートリアル③

「では、ダンジョンコアの設置をしましょう。ダンジョンの細かいルールやDPについてはダンジョンコアの設置が終わったら説明します。さぁ、ダンジョンコア起動と言ってください。後は自動で行われます!」

「だんだん説明が雑になってきてない?まぁいいや、ダンジョンコア起動………………ん?何も―――」


起きないぞ?と言おうとしたが、それは激痛によって阻まれた。悲鳴を上げられないほどの激痛。身体が根本から破壊され、そして組み替えられている様な感覚がする。一瞬が永遠のように感じられる。


やっと痛みが治まると今度は大切なものを取りこぼしたかのような喪失感に駆られる。いや、実際に失っているのかもしれない。自分の胸の辺りからハンドボール程の大きさの光の球が出ている。それが全て出ると、俺は耐えられなくなって膝をついた。


「マスター!?大丈夫ですか!」


薄れゆく意識の中暗黒魔狼王の焦った顔が見えた。可愛い…





「マスター、お目覚めになりましたか?お身体に痛みはありませんか?」


目を覚ますと、暗黒魔狼王に膝枕をされていた。

確か、ダンジョンコアを設置したんだっけ。酷い目にあったな。


「ああ、大丈夫だ。ありがとう暗黒魔狼王。」


まだ意識がはっきりしていなかったのか無意識のうちに暗黒魔狼王の頭を撫でていた。

可愛いし、柔らかいし、ふわふわだし、もふもふだし、可愛い!


「ま、マスター…」


顔を真っ赤にして俺を呼ぶ声で正気に戻った。


「うほん、うほん。あー、それにしても酷い目にあったな。これなら事前に教えてくれても良かったんじゃないか、フェア。」


露骨過ぎたか?いや、暗黒魔狼王は何も言ってこないならセーフだ。完全なるセーフだ。


「うう、それは申し訳ないと思ってますぅ。でも、普通はこんなことにならないんです!本部に問い合わせたら、魔王様が転生者だから起こったイレギュラーだそうです。本来魔王は魔王として産まれてくるのですが、魔王様の場合転生者としてこちらに来ているために1度体を作り替える必要があったそうです。魔王様は先程完全に魔王となったので今後は大丈夫ですよ。」


本部ってなんだ…魔王の統括本部?俺を転生させてくれたお父様と関係あるのだろうか。


「まぁ、そういうことなら仕方ないな。それよりダンジョンコアはちゃんと設置できたのか?」


「はい!そちらはばっちりですよ。すぐにでもダンジョンを創り始められます。では、そちらについて説明を、まず…………」





恒例になりつつあるフェアの妖精辞典(フェアペディア)を見ながらのたどたどしい説明が終わった。要約すると



コアを破壊されないようにダンジョンを作ろう

ダンジョンを作るにはDPが必要


DPの稼ぎ方は以下のようで

侵入者などダンジョン内にいる生物から入手、殺すことで一度により多くのDPを回収できる

金銀や財宝など価値のあるものをダンジョンに取り込む

土地に流れる魔力をダンジョンが吸収することによって得られる(他に比べ少ない)


ダンジョンの設備や壁は基本的に破壊不能になっている

ダンジョンには細かいルールがあり、コア部屋に繋がる通路が無いなどの攻略不可には出来ない(攻略不可になるとダンジョンの破壊不能が機能しなくなりコア部屋まで掘り進められるようになるらしい。)



とてもゲームっぽい。本部とかあるくらいだからちゃんとしたルールがあるんだな。ゲーム脳を活かして作りますか!



「とりあえず、今使えるDPは…100,000DPか?これは多いのか?少ないのか?」


「初心者魔王にとっては大金ですよ!ダンジョンを創る初期費用として1度だけ支給されるものですので、計画的に使って下さいね。」


「了解、装飾とかは考えずにとりま創ってみるか。」



ダンジョンのカタログなどを見ながら構想を練ってダンジョン構成の案を完成させる。かかる費用は5万DPほど。DPを支払い、アクティベートすると地鳴りのような音と共に今までいたコア部屋に通路が出来ていく。


俺が創ったダンジョンはシンプルな迷路型。DPを節約しつつコア部屋までの所要時間をできるだけ延ばそうとした結果だ。所々に罠が設置されていて集中を切らすことは出来ないようにしてある。


迷宮を攻略するとボス部屋となる。ボス部屋はダンジョン機能によってボスを倒さないと次の部屋に行けないようになっている。

ここに暗黒魔狼王を配置すれば事実上攻略不能じゃないかと思ってしまう。いや、慢心は良くないな。この世界の基準が分からないので実は暗黒魔狼王がスライム並みの雑魚の可能性も…流石にないか。ま、情報がない以上慎重になるべきだな。



「おおー、私がアドバイスするまでも無く普通のダンジョンが出来ましたね。この迷路に更に魔物を放つことで一旦は完成ですね。」


「魔物か、DP召喚だよな。あまり高い魔物は召喚出来ないからやっぱりスライムとかゴブリンになるな。とりあえずスライムを召喚してみるか。」



スライム一体のお値段なんと、5DP。お安い。残りのDPで1万体近く召喚できるぞ、しないけど。

決定のボタンを押すと、目の前に小さな魔法陣が出現する。暗黒魔狼王を召喚した時のものとは比べ物にならないくらい簡素なものだ。


光が収まり出てきたものは……




粘液の水溜まりだった…………汚い。


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