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奴隷を競りに掛けます

私は、バグスと馬女を手伝って、美少女を全員家の中に収容すると、腕組みをして二人をにらみつけた。


「どうするつもり?」


「どうするって……」


「どうして女言葉なの? リリカちゃん」


馬女が聞いてきたが、今、突っ込むべきはそこじゃないだろう!


「この大量の美少女、どうするのって聞いてるのよ?」


「売るのよ!」


急に馬女が勢いづいた。


「高値で!」


「違法だって、さっき言ってたじゃないの」


「それは……。でも、罠は仕掛けても仕掛けても、作動することがなかった。こんなにうまくいった罠は外すのがもったいなくて」


バグスはぐずぐず言った。


「もったいなくってって……それはお金の話?」


バグスはちらりと私を見た。


「そうとも限らない。でも、ほかの美少女は……」


「ねえ、お金が問題なら、もっといい方法があるわ」


私は悪魔のような微笑みを浮かべて言いだした。

悪魔のような微笑みとは、自分で言ったわけじゃない。後になって馬女が名付けただけだ。


「そして、跡が残らない方法」


バグスと馬女が懐疑的な視線を私に向けた。


「お金になる異世界人を紹介してあげる。宝石とか真珠で利用料を払うわ。どう?」


私の世界なら養殖真珠や本物と区別のつかない人造宝石がある。


他にも薬なんかもあるが、半分動物の彼らに効くかどうかよくわからない。即物的に喜びそうなものの方がいいんじゃないか?


「宝石? ダイヤとか?」


馬女が食いついた。


私は鷹揚にうなずいた。




結果としてバグスは同意した。


私は、タクマのところに行く許可を得た。今考えているプランだと、帰宅部で影の薄い私より、野球部主将の彼の方が有望だ。


「コスプレ遊び?」


タクマは首をひねったが、私は真剣に力説した。


「需要は絶対あると思うの」



私は残り、タクマ以下野球部員は、学校の掃除当番の手によって、元の世界に繋がるドアを開けてもらうことが出来たのだった。



ドキドキしながら待っていた私のところに最初にやって来た客は、すらりと背が高く、冷たく整った顔立ちに、あふれんばかりの色香を漂わせた豊満な美女だった。


校長だった。



次に来たのは、長めの髪が顔にかかり、烱々とした眼差し、すっとそびえた鼻が印象的な男性だったが、クラッときたのは六つに割れた腹筋だった。


PTA会長だ。



解説しよう。

ウチの学校のような私立校のPTA会長は、くじ引きで不本意ながら当たったのではない。立候補制で、それなりの熾烈な競争を勝ち抜いて得た立派な名誉職だ。なにしろ有閑マダムが多いんだから。ウチの母? パートに出ている。



よくやった! タクマ!

PTA会長の同行はちょっと意味不明だが、あの異世界に繋がる窓の管理者の校長を、よくぞ口説き落としてくれた。



「ようこそお越しくださいました」


私は一礼した。


バグスと馬女は、呆然として妖艶な校長を見つめている。


「美少女もいいが……」


バグスが言い出した。


「熟女の妖しげな魅力が……」


バグスの趣味はよくわからない。馬女の目も校長の肢体に釘付けだ。


「憧れる。憧れちゃうわ……」


二人ともそっちなのか。仕方ないなー。


私は趣味じゃないがPTA会長の機嫌を取ることにした。


「ようこそ」


そしてイケオジの手を取ると、そっと頬に押し戴いた。


手にキスするのは、衛生上問題があると思うんだ。

効果から言うと、こっちの方が爆弾だろう。


会長のイケオジはみるみる頬を染めた。


そうだろう、そうだろう。今の私は破壊力抜群の美少年だからな。このイケオジの中身は、メガネをかけたBMI30超えのオバサンだ。


少し離れたところから、押し合いへし合いしながら見物していた獣人達が叫び始めた。

遠く町から参加した者もいる。


「見せつけるのはやめろ!」


「早く! 早くセリを始めろ!」


私はPTA会長の手を離した。


「それではお楽しみのセリを始めましょう!」

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