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町に服を買いに行って、美少女に出会いました

町もズートピアみたいだった。


町中、動物だらけで、全員、顔は人だった。

そしてデカかった。


みんながジロジロ見てくる。小さくなって歩いていると、バグスに励まされた。


「みんな、見とれてるんだよ」


「えっ、何に!?」


「お前にさ。だって、こんなにかわいいんだもん」


とろけそうな笑顔で言われて、心底、胃が痛くなった。ほんとはかわいくもないし、少年でもない。



町の服屋も顔色が変わった。


「これはまたお美しい……」


服屋は丸メガネをかけた羊だった。


ヤツは上から下まで舐め回すように見つめると、ゴソゴソと何点か服を引っ張り出してきた。


ここらでは、ピッタリした半ズボンと派手な上着が粋らしい。そうなの?


「とりあえず、試してみませんか?」


買う金がないので困ったが、バグスがニマニマしながらうなずいている。


仕方ないから服屋に安いのにしてくれと頼んだ。羊はとんでもない、みたいな顔をしていたが、自分の金じゃないのでと言うと、感激して泣きそうになった。


とりあえず、出来るだけ地味な、安いのにしてもらって着て出ると、バグスは、何を着ても似合うなと言いながら、もっと別の服もあったはずなのにとか余計なことを羊と相談し始めた。


「薄い青の生地のがあったと思うんだが」


「ございました」


「あっちの方が似合うんじゃないか?」


「手前もそう思いましたのですが、お客様が地味な方がよいとおっしゃられまして……」


「そんなことはどうでもいい! とにかく着せてみてやってくれ」


えー、なんか面倒くさいことになってるような。しかし、その時、私は目が、もう本当に点になった。


店内に、とんでもない美少女を見つけてしまったからだ。


「こんなん、着たくない!」


純粋なブロンドの髪に白い肌、ほっそりとした美しい手足、まるで人形のようだ。


ピンクと白のレースのドレスを着せられた美少女が、背中の曲がったラクダのオヤジに、駄々をこねている。


羊のパートナーと思しき、首の周りに巻尺を垂らした山羊っぽいのが、しきりとなだめていた。


「お嬢様は、こちらはお気に召しませんでしたか?」


「そんなに可愛いのに、何を言ってるんだ」


ラクダは少し苛立った様子だったが、赤らんだ頬の美少女がチラ見すると、たちまち顔がほころんだ。


私が驚いたのは、だが、そこじゃない。


お嬢様の脱ぎ捨てた服だ。


ウチの学校の制服だった。

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