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プルーフ③市長編

 カナディアンは聞いていた通りに不思議な力で言葉を引き出された。

 そして、それから1か月かけてカナディアンとプルーフは剣の修練を行った。

 カナディアンはとんでもないスピードで筋力、剣筋、動体視力が上昇していくのを感じていた。


「俺の剣はすでに天井だった。しかし、この一か月でこれまでの自分が嘘みたいに思えるほどの成長と遂げた。プルーフ君ありがとう。君のおかげだよ。だから、約束通りにセリーグを助けに行こう」


 カナディアンは幼少のころから剣術の才能があった。そして、10代後半には道場を経営するまでになっていた。しかし、タリクソンの甘い言葉に誘われて、闘技場で腕試しを行うことになった。カナディアンは闘技場においても敵なしで連戦連勝をもぎ取ってきた。戦えば戦うほど報酬が入ってくる、若かったカナディアンは道場をそっちのけで闘技場で剣闘士として名声を得ていた。しかし、タリクソンの罠はすでにカナディアンをからめとっていたのだった。


「カナディアン君、君の力をさらに活かせる場所があるんだが、試してみないか?金は今の10倍稼ぐことが出来るぞ」


 若かったカナディアンは自分の力がどれほどなのか試したかった思いもあったが、これまで稼いできたお金が10倍になるといわれた誘惑に駆られてタリクソンの言う通りに従った。

 カナディアンが連れていかれた場所は、裏闘技場だった。そして、そこでは最初からカナディアンが戦えないようにするための罠が仕組まれていた。その結果、カナディアンは自分の右手の健を切る大けがを負った。カナディアンは悔しくて、悔しくて、しかし、右手は以前のようには使えなくなった。それでも、闘技場でのきらめいた時間が忘れられなくて、闘技場に入り浸っていた間に、道場はつぶれ、ついにカナディアンは冒険者としての道しか残されていなかった。しかし、冒険者としても自由に使えない右手では命にかかわるため、何度か両手剣のカナディアンとして、ほそぼそと命をつないでいた。


 そんな時、パリスさんから声を掛けられてセリーグを救う依頼を受けていたのだった。タリクソンに仕返しが出来るという言葉にカナディアンは二つ返事で了解をした。


 セリーグを救うためのプルーフの計画は、タリクソンの金銭のもとであった、裏闘技場を潰すことだった。そして、裏闘技場の事実を明るみに出すことで、タリクソンを今の市長としての地位から引きづり下ろすことだった。


 久しぶりに裏闘技場に現れたカナディアンは観客からブーイングを受けていた。


「てめぇなんかは、ここに来る刺客はないだろうがぁ」

「今更来たって、ここで死ぬだけだろう」

「ここを墓場とする観念が出来たってわけか。わはははは」


 それでも、リングに立ち最初のリングの鐘がなって、10秒後にはブーイングだった声は、一気に歓声へと変貌していた。その後、5戦と立て続けに勝利して、そして、ついに裏闘技場でのエースであるトレンドルが現れた。


「きさまなんなあっという間に、この斧のくずにしてやるぜ」

「早くしろ!トリノクズだっけか。はははっくずがっ」


 トレンドルの罵声に対して負けない罵声をとばして返した。真っ赤になって、ゴングも待たずにトレンドルが攻撃してきた。しかし、トレンドルですら1撃で倒していた。

 そして、その後に、姿を現してきたのが、タリクソンその人だった。


「いやぁ、カナディアン君、君凄いねぇ。これからこの闘技場のエースとしてやっていかないか」

「まんまと姿を現しやがって、俺の本当の狙いははなからお前の首だったんだよ」


 そういうと、カナディアンの後ろから、フードを被った男が現れて、おもむろにフードを下した。


「おっ、お前はプルーフかなぜカナディアンと一緒なんだ?」

「目的は一緒だよ、やれよ。カナディアン」


 プルーフがカナディアンに合図すると、カナディアンは一閃のもとで、タリクソンの首を落としていた。


「何をしているんだよ、きさまら、おやじの仇だ。やってしまえ」


 タリクソンの子分のような男が現れて自分達を殺そうとしてきた。それに対して、カナディアンは本気を出して戦った。これまでの裏闘技場での戦いが子供だましであるかの如く見えた。そして、1時間後、観客以外のすべての裏闘技場関係者の血で辺り一面が埋め尽くされていた。しかし、そこにセリーグの姿は見られなかった。


 翌日には裏闘技場を行い、極悪非道の限りを尽くしていたタリクソンの裏の顔が公になった。そして、それを成し遂げたカナディアンは英雄として祭り上げられたがタリクソンの悪事を暴いたのはプルーフのおかげだと公表した。タンク町長で会ったプルーフはタリクソンによってあることないことを吹聴されていた結果悪い印象を持たれていたことも判明した。その結果、周囲の貴族たちからタリクソンの代わりに市長になればいいじゃないかと勧められた。

 カナディアンは自分は市長のガラじゃないと言って、プルーフをタンキーラ都市の市長に進めた。プルーフはあれよあれよという間に市長としての椅子に座ることになった。

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