プルーフ②市長編
プルーフは町長になって、タンクの町が汚職まみれであることを知った。
不正を働いていた職員を次々に解雇していった。
そのため、プルーフは様々な陰謀で死にかけたことも何度もあったが、その都度、セリーグの力を借りて討伐していった。
陰謀を巡らせた貴族への報復は著しいものがあり、結果、貴族から巻き上げた金銀財宝でプルーフの政治は潤っていた。
「僕は政治に関しての知識は少ないが、善悪は判るつもりだ。これからは適正な政治経済を行う仕組みをつくっていく」
不正が減り、横暴な税金の取り立てがなくなり、適正な価格で商品が取引された。
結果、タンクの町は一気に活性化して規模が大きくなっていった。
大きくなると、さすがに1つの町だけではやりきれなくなっていった。
その時に、強力を申し出てくれたのが、隣町であるスキーラの町長タリクソンだった。
「プルーフ君、君の政治手腕には脱帽だよ。私も隣町の町長として、タンク町に貢献したく思うんだ。どうだろう、これから協力して盛り上げていこうじゃないか」
タリクソンはプルーフに物流や貨幣、商人のルートを手配してくれた。
時には、はやり病の薬を横流ししてくれるなど多大な協力をしてくれた。
タリクソンは父であるクリムゾンの後継者としてスキーラ町を受け継いだ。
指導者としての力不足があった父クリムゾンに川って、タリクソンは指導者として有能だった。
「スキーラ町は俺が大きくするんだ。みんな協力してくれ」
小さな農村だったスキーラ村をほんの10年でスキーラ町にまで発展させていた。
しかし、その裏では全うでない仕事も請け負っていた。
タリクソンの影響を受け、タンクとスキーラは共に爆発的な成長を遂げた。
タンク町とスキーラ町の商人ルートを10倍に増やしていった。
すると、当然、タンク町とスキーラ町の間に宿場町ができ、そこに人の流れが出来て行った。
人が増えると開拓も進み、何時しか、タンキーラ都市と呼ばれるようになっていった。
タンク町の町長になり3年が過ぎた。
タリクソンの知恵でタンク町はどんどん大きくなっていった。
しかし、いつの日かタンキーラ都市と呼ばれるようになってから、タリクソンはタンク町の政治にすら口出すようになって行った。
「プルーフ君、物流に関しては僕の知識が生きるから、すべて任せてもらって構わないよ」
「私は物流や商人のルートに関して苦手なので、タリクソンさんにお願いしたく思います」
そして、気が付いたら、タンク町の政治はタリクソンの手のもので埋め尽くされていた。
プルーフは飾りの町長となってしまっていたのだった。
プルーフは政治に疎かった。
それもそのはず、プルーフは畑と剣しか知らなかったのだ。
ただ、正義と悪はしっかりと区別し、悪を絶対に許せない性質だった。
それが、3年を過ぎたころには、プルーフは高い税金をむさぼり、町民に苦労を強いる町長と呼ばれるようになった。
「プルーフ町長は暴利をむさぼって、私服を肥やしている。どうして、プルーフが町長を続けているんだ。まるで、バイソンが生き返ったみたいじゃないか」
そして、さらに1年後には、タリクソンはいつの間にかプルーフを悪の権化と悪評を垂れ流していった。
プルーフの悪評を流した後、タンク町とスキーラ町を合併してタンキーラ都市の市長として名乗り出たのだった。
そして、プルーフはタンク町の町民から石を投げられ悪逆非道といわれ、タンク町から追い出されてしまった。
セリーグは今回の件に関して、何の弁解もしれくれなかった。
実は、タンク町の悪逆非道を行っていたのはセリーグだったのだ。
タリクソンに多額の賄賂を渡された結果、セリーグはタリクソンに従う他道はなかったのだ。
しかし、セリーグに裏切られたことすら気づかなかったプルーフはセリーグに会おうとしたが、会うことが出来なかった。
プルーフはセリーグに合うこともなく、最後はタンクの町を去っていくことになった。
◇
その後、プルーフはタンクの町から北に登っていったところにあるセイキの町で冒険者を続けていた。
これまでの経験から、プルーフはさらに人の手助けを借りることを拒否していた。
それでも、コツコツと依頼をこなして、このセイキの町でランクDを取り戻していた。
プルーフはセイキの町で冒険者を続けながらも、セリーグの事が気になっていた。
タンキーラ都市になってからもセリーグの名前は一つも出なかった。
一方、タリクソンの話は尽きることなく話題に上った。
再び以前のタンク町と変わらないくらいの、不正や汚職まみれの都市として、人口の流出が止まらないということだった。
◇
そんなある日、セリーグの友人だったというパリスという男が現れた。
「私はパリスといいます。タンキーラ都市でセリーグと一緒に働いていたんです。とても、よくしてくれたんですが、タリクソンの罠にはまってとらわれてしまったんです。何とか助けられないでしょうか」
パリスはセリーグがタリクソンの罠にはまり、抜け出せなくなった。
セリーグはタリクソンの行ってきた不正や汚職をすべて知っているために、タリクソンはセリーグを監禁しているということだった。
タリクソンはセリーグを葬ろうと何度も刺客を送ったが、ことごとく倒されているとのことだった。
パリスの希望とプルーフの希望は同じだった。
「セリーグは僕の人生の分かれ道を共有した仲なんです。できれば、救い出してやりたいんです。パリスさんいい方法はありませんか」
プルーフはセリーグがタリクソンからむごい仕打ちを受けていることに心を痛め、何とか救い出してやりたいとパリスに相談した。
パリスは知り合いに2刀流の剣士がいるが協力してはどうかと持ち掛けてきた。
プルーフは助けてもらうことは2度としないと誓っていたが、セリーグを救うためにはやむを得ないと思った。
そして、パリスの言葉を信じて2刀流の剣士を紹介してもらうことにした。
プルーフは2刀流の剣士カナディアンにお願いをした。
「俺はプルーフ、カナディアンよ俺を『助けてくれ』」
「俺でよければ『たすけよう』」