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死神コール  作者: かなえ
7/7

第参章 美里

「ふあ〜……。」

美里は、歩道を歩いていた。



―綾香とけんかした…

あんなに仲がよかったのに……




綾香とは、幼馴染だ。

幼稚園の時出会って、仲良くなった。

それはもう、双子のように―



小学校も中学校も同じ。それまで一度もけんかしたことなんてなかった。

なのに――





些細なことだった。

私が悪かった。


先生の花瓶を割ってしまった。

それは、綾香。

「いっけないんだ〜!先生に言ってやろー!」

男子たちがいじめる。



―いつもそうなんだ。

男子は綾香をいじめる。私は見ないふり……。

結局、男子が先生を呼んできて、綾香は大泣き。男子は怒られて、綾香は少し怒られていた。



帰り道、まだ涙の跡が残る綾香と並んで帰る。

「先生に何怒られてたの?」

私が綾香に聞く。


綾香は喋らない。


「ねえ、綾香?どうし「うるさい!!」


え?


綾香のこんな声…はじめて聞いた……


「あ…綾香?…どうした…の「あんた、うるさいんだよ!あたし、ようやく涙止まったのに、あんたのせいで、また出てきたじゃん…!どうしてくれるのっ!嫌な記憶を、ほじくりださないでよっ!!」



綾香はすたすた歩いて行ってしまった。


「あや…。」


メールをしても返事が来ない。

電話にも出てくれない。


綾香は、相当怒っている…



♪♪♪〜♪♪〜


ケータイの着信。メールだ。


件名 ウザい

本文 ウザい。黙ってて。

   あんたなんかキライ。

   消えてもらえる? 

   あたしの視界から。

   もう二度と見たくない。






―涙がこぼれる。


《返信》


件名 ごめんね

本文 ごめんっ、ほんっとごめんね!

   謝るよ、だから許して?

   もう二度と、ひどいことは言わない。

   約束するから。




《送信》






涙が止まらない…よ……

「ごめんね」でいっぱいだった。




♪♪♪〜♪♪〜




件名 ヤダよ

本文 あんたは何に対して  

   謝ってんの?

   思い出したくないことを  

   思い出されたこと?

   だったら許さない。

   あたしに対するいじめは、

   そんだけじゃないもん。

   あんたなんか、一生 

   許さない。

   もうメールしないで。

   迷惑メール。







ひどい…

ひどいよ…


あたしに対する、いじめといってもいいんじゃない?




……あたしも同じことを…


していたの…?





「ごめんっ、ごめんねっ!!わかったよ、綾香の気持ち!痛いほどわかったよ!苦しくて悲しくて…それでも耐えてきたあんたは偉いよっ!すごいよっ!!!」


同じ言葉を、綾香に送った。



件名は、『最後にこれだけ言わせて』…………



♪♪♪〜♪♪〜


件名 黙れ

本文 うっさいっつってんじゃん。

   偉いからなに?

   今更わかったって遅い。

   お前なんか、呪ってやる。

   苦しんで死んじゃえばいいのに。

   死んでよ。





っ………………





……何も言えない。

黒と白の画面。

絵文字も、なにもない、ただの黒い文字。

それを見ているだけで、

さみしかった…





「うっ…うあッ……ぐ…


突然の、はげしい痛み。

この痛みの原因を知っている人は、


―綾香だけだ。


   

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