表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
死神コール  作者: かなえ
6/7

     オイデ…

頭の中に響いた声。


それは、オレを導いてくれる、天からの声。


オレの恨みを晴らしてくれる、


たった一つの鍵…





さあ、扉を開けよう。


オレの恨みを…




晴らして…っ!!
















不思議な声によって導かれてきた、あるサイト。

そこに書いてあるのは、メールアドレス。


その説明書きを読んだ。


[このアドレス宛てに消してほしい人の名前を書いて送れば

その人はいなくなります]


え…


いなくなる?



最後に小さく書いてあった。



[この世から…]






それでもいい…


もうどうでもいい…


弟なんていらないっ!


こんな弟なんか…


愛を奪った弟なんか…



イラナイッ!!!





『オイデ…』



「今行くよ…」









そこを見つけるのは簡単だった。

このあたりでただ一つの幼稚園。

そこで、親が迎えに来た時、子供の名前を、アナウンスで呼ぶのだ。




来た…


母さんが。




「大村卓也君〜。お母さんが…



え…



うそ…


だろ…



オレと…



同じ名前…



母さん…



茂みの中から見上げる。


懐かしい、母さんの顔。


そして…


幸せそうに笑う…



「大村卓也」っ…










《ユルサナイ…》



頭の中で響く、声。


この間の声とは違う…


怒り狂った…


自分の声。









件名 

本文 大村卓也を殺してください。




送信












「やった…」





やった…




消した…



憎かった弟…



愛を奪った


オレの弟を…!!





「サヨナラ…



 …くっはははは…

 …はっははははは!!!!」





オレからの罰だ…



報いを受けろ…



いい気味だ!!!















「話を聞いて…。」



オレはよく家に行くようになった。


気がついたら、足が動いていた。


弟は…まだいるらしい。





「…記憶が…なかったんだ…」




母さんの話…は…こうだ…


母さんは、弟の病気にショックを受けて、そのショックの大きさから、記憶障害になった。

父さんと弟は、一緒に居たから思い出した。


でも、オレはいなかった。


記憶障害になったとき、オレはもうすでにいなかったのだ。

いなかったから、思い出せなかった。


でも、『子供に《卓也》という名前をつけたい』という記憶…

いや、願いは覚えていた。


それで、弟は「卓也」になった。


役所にそれを出してから、父さんは気付いたらしい。







「父さん…昔っから忘れっぽくて…さ…

 すぐなくしものするんだ…昔っから…うっ…」



泣いた…



涙があふれてきた…



しょうがないじゃん…



しょうがなかったんだよ…っ!



だれも責められない…




《責められるのは、自分だけ…だね?》







え…







あ…






「ど…うしよ…

 どうしよう…っ!」





殺してしまう!



何の罪もない人を…



殺してしまうよっ!!



「あのっ、たく…

 オレの弟は、今どこ!?」


「えっ、え?よ、幼稚園だと…



最後まで聞かずに飛び出した。



心の中でアイツに話しかけた。


《あのメール、取り消して!たのむよ!オレの勘違いだったんだ!!》



『一度送ッタメールハ、削除デキナイ…』


「やだよっ…頼むよ!!」



言葉に出していた。




ナンノツミモナイヒトヲ


コロシテシマウマエニ!!











「卓也っ!!!!」













シンダ…



死んだ…



弟は…



死んだ…っ!?




「急にせきが出て、止まらなくなったの…

 発作が起きて…ぜんそく持ちだったのよ…そしてすぐに…うっ…うぅ…」


先生は泣きながら話した。



目の前には


動かなくなった


オトウト…











「うわあああああああああああああああ!!!!!!!!!」




















運命はきまっていた。


このことに責任を感じた少年は、


自らを包丁で…






少年は気付いていなかった。



自分も


「大村卓也」


だということを…






〜完〜

感想、またはアドバイスをください!!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ