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000.Prolog
「やはり、ここは賑やかだな」
一人の男は、喧騒で賑わう花街の中を一人歩いていた。その胸に光るのはサンクティアの――カースト最上位の紋章。一体そんな男が花街になんの用だろうか。答えは簡単。暇だったからである。無理やり有給を取らされたのはいいがすることも無く、フラッと街に出てきたのだ。……途中で道に迷ったとか、決してそんなことではない。
そんな男は、何か面白いものでもないかと辺りを見渡す。そして、ある所で目を止めた。
(なんだあれは……?)
一角だけ人が全くいない場所がある。まるで意図的に避けているかのように。
男は気になって近づいてみることにした。すると、そこには――
「おい、大丈夫か?!」
意識を失っている、1人の少女がいた。