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白豚貴族だったどうしようもない私に前世の記憶が生えた件 (書籍:白豚貴族ですが前世の記憶が生えたのでひよこな弟育てます)  作者: やしろ


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こういうのは意地悪じゃなくイケズっていう

いつも感想などなどありがとうございます。

大変励みになっております。

次回の更新は、5/30です。

『お前が反応するならもう災厄確定じゃないか……!』

『そんな怖い話聞かせないでよ!?』

「えー……でも心の準備は出来るじゃないですかー」


 それに運河からは昔々に持ち去られてるんだから、今は残滓みたいな物。然程怖がるような物ではなくなっている。

 いつか災厄がくるかも知れないと分かっていたら、それに備えることは出来るはずだ。

 私が言わなくったって、皇子殿下方二人ともそれはお判りなわけで。


『じゃあ、良い話というのは?』

「ラナーさんが必要なら責任もって、魔物討伐にお力添えくださるそうです」

『それは……帝国は名付きのドラゴンと友好関係を築けてるって宣伝になるけども』

「そうですね。何より私がタダ働きしないで済むし、今後面倒ごとを持ってきたらどうなるかご理解いただけると思うんですよ」


 勿論ラナーさんには協力してくれたお礼はする。

 菊乃井歌劇団の公演がいつでも見られるよう調整した遠距離映像通信魔術のかかった布を差し上げるとか、特別公演のVIP席の確保とか。

 出来る限りのことをしようって考えてる。

 その約束は菊乃井とラナーさん、もっと言えば私とラナーさんの間だけの約束だけど、それを知らない部外者から見れば、帝国は名付きのドラゴンと親しいように感じるはずだ。

 それが脅威となるか、世界に対する安全保障になるかは、帝国に対する立ち位置で変わる。

 帝国と友好国であったり同盟国であれば安全保障だろうし、敵対関係にあれば……。

 今のところ帝国と敵対関係にある国はない。表向きは。

 でもルマーニュ王国は依然仮想敵国だし、あっちも帝国をよくは思ってない。そしてルマーニュ王国は現行荒れに荒れている。

 巻き込むなよ?

 そういうサインは出しておいていいだろう。

 なお海の向こうの大陸にある国々は微妙。国交はあるけど、無関心に近いかな。

 海に棲むモンスターが強力すぎて、こちらからもあちらからも手出しできない。そういう感じだから。

 ちょっかいかけて来なきゃ、商売的には手を組みましょうね。それで終わり。

 まあ、でも、ちょっと最近微妙にバランスが崩れてる気はする。

 貿易摩擦っていうのかね?

 帝国からの輸出は増えてるんだけど、輸入はねー……。

 そこに関しては今のところ口を突っ込む気はない。だってまだそこまでの勉強が追い付いてないからな!

 今だって経済系の勉強はラシードさんと一緒に、ルイさんやエリックさん、ヴァーサさんに教わってるけど、ため息出るくらいよく分かってないことが分かる。

 皆、頑張ってるって言ってくれるけど、数字は苦手なんだよ! マジで!

 いや、よそう。出来ないことを数え上げても自分に腹が立つだけだ。自分の機嫌は自分で取る。前世の「俺」もそうやって自分をコントロールしていた。

 今は目先のお金が大事、やりたいことが出来たんだからその元手を稼がないと。

 というわけで、報酬次第で魔物討伐を菊乃井家で受けてもいい。

 そういう答えを返すと、皇子殿下方が頷く。


『運河自体は帝国の物流を考えれば必要なことだからな。父上にはこの話は伝えておくよ』


 そういうわけで、この話は終了。

 で、だ。


「今度帝都に行く時にお土産持っていきますね」


 にっと笑えば、統理殿下もシオン殿下もちょっと青褪めて「遠慮しておく」って首を横に振る。

 あるぇ、いいのかなぁ?


「そうですか。リュウモドキの特殊個体を倒したんでぇ、レバー手に入れたんですけどぉ。レバーペーストは要らない、と」

『ちょ!?』

『ま、待って!?』

「ロートリンゲン公の所にも持って行くしぃ、宰相にもお渡しするつもりだったんですけどぉ、殿下方が要らないと仰るなら無理には」

『要る! 要るって!』

『有難く頂戴するよ!』


 統理殿下もシオン殿下もめっちゃ焦ってて面白い。

 いうて、殿下達の分はちゃんと用意してるし、ロートリンゲン家や梅渓家、獅子王家や次男坊さん、ソーニャさんにお分けしてもうちの分は確保出来てるからね。

 二人の常にない様子を見られたので、良しとしておこう。

 お茶会に召集されるのは致し方ないとしても、そこで厄介なことが起きれば遠ざけてもらわないと。

 そのためのレバーペーストだからな!

 帝都に行った折にレバーペーストをお渡しするという約束で、会議は終了。

 そこからちょっとお仕事をして、お昼ご飯を食べてから定例の町の見回りに。

 アルスター地域が菊乃井になったから、見回る地域も増えた。

 けど今日は菊乃井の町の見回り。

 私の轡はロマノフ先生が取ってくれて、ひよこちゃんの轡は偶々顔を見せに来たベルジュラックさんが取ってくれてる。

 神狼族の長に呼び出されたから、里にちょっと帰ってくるって挨拶に来てくれたんだよね。

 なんか帰るの凄く嫌そうだったけど、原因はお見合いさせられるからだそうな。どこもかしこも結婚問題ってのは重要みたい。

 因みに私は颯に乗ってて、ひよこちゃんはグラニだ。

 そういえば馬車の件どうしよう?

 いい機会だからロマノフ先生にお訊ねすると、先生は颯を指差した。


「この子達に牽かせるなら、二頭引きで十分じゃないですかね?」

「二頭引きって、領地で使うにはいいかもですけど、帝都ではやらない方がいいとかじゃなかったですか?」

「普通のお馬さんならそうでしょうけど、妖精馬の四頭引きなんて皇帝陛下でもできない贅沢なんですから」

「じゃあ、妖精馬自体を使わないとか……?」


 そう口にすると、ロマノフ先生が笑う。


「ポニ子さんにまた『困ります~』という顔をされても良ければ」

「あー……それはちょっと」

「ですよね? というわけで、妖精馬の二頭引きで良いんじゃないですかね。寧ろ珍しいお馬を陛下に見せて差し上げられるじゃないですか。あの人、馬を見るの好きだから喜びますよ」


 なるほど、じゃあそれで行こうか。

 お馬さんの問題は片付いたけど、馬車の内装だよね。

 あの趣味の悪い壁紙、早く剥がして菊乃井家で使ってる壁紙に変えたい。そういう話にひよこちゃんが混ざる。


「あにうえ、あれ、やっぱりおれのははうえのしゅみじゃないんだって」

「そうなの?」

「うん。うつのみやがにっきよんでくれて、ばしゃのはなしがでてきたんだ」


 マーガレットさんの形見の日記は、私も時々一緒にレグルスくんと読ませてもらう。細々とした日常のこともあって、赤さんのレグルスくんの生活が垣間見れて楽しい。

 その日記に、どうやら馬車の記載があったらしい。


「あるひとつぜんばしゃをもってかえってきて、なかをみたらアレだったんだって」


 ひよこちゃんの眉間に凄く深いシワが出来てる。しょっぱいお顔も可愛いけど、その顔にベルジュラックさんがどう反応していいか分からなかったようで、すっと視線が明後日へ飛ぶ。

 そうか、とりあえずよかった。あのセンスを受け継いでないようで、心底安心した。

 ポクポク長閑にお馬は進む。

 途中で出会った町の人から挨拶されたり、手を振ったり。

 そうこうしているうちにお役所へ。

 運河の話やラナーさんが手伝ってくれる話もしてるから、もう少し詳しい話をということで役所の中へ。

 その間、ベルジュラックさんとレグルスくんが颯とグラニを遊ばせておいてくれるというので、そっちはお任せ。

 案内された執務室には、ルイさんがいて。

 それから秘書から副代官へと昇進したという女性が挨拶に来てくれた。

 彼女も副代官としてこれから会議にルイさんと一緒に、もしくは代理として加わる可能性があるとか。

 働く女性が増えてるんだね。

 彼女を交えて今の菊乃井の状況を確認して、それから運河やその工事再開に合わせて行われるだろう魔物討伐の話をして。

 宰相閣下がどれくらい吹っ掛けてくれるかで変わるけど、実入りがあるのは歓迎ってことで。

 難しい話が終わると、副代官さんがお茶を淹れに席を立つ。

 扉が閉まって私とロマノフ先生とルイさんの三人だけになると、ルイさんの表情がちょっと暗くなって。


「我が君、折り入ってご相談が……」


 え? なに?

 声がすっごく暗いんだけど?

お読みいただいてありがとうございました。

感想などなどいただけましたら幸いです。

活動報告にも色々書いておりますので、よろしければそちらもどうぞ。

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― 新着の感想 ―
いつも楽しく拝読いたしております。 ルイさんのすごっく暗い声から連想すること。 サンジュスト家にハイジさんが嫌いな虫系モンスターがいる。 または、毎晩のように訪問する神様がいて、睡眠が足りない。 後は…
レバーと骨にボーンと意識を持っていかれ(骨だけに...)したら、周回読みで『うぅん?ママさんには趣味はないけど...馬車を持ってきた理由が...アレさんの心に刺さってなら...センス..(´⊙ω⊙`)…
レバーペーストの辺りからニッポン娘さんを口ずさみながら読んでたら不穏なラスト。 また次話が気になります。
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