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喜びはいつも、いつでもそこにある。

いつも感想などなどありがとうございます。

大変励みになっております。

次回の更新は、4/15です。


 ルイさんは私がした話を、恐らくエリックさんやヴァーサさんに共有するだろう。

 街へと戻っていくルイさんを見送ると、私は部屋で着替えだ。それはエリーゼが手伝ってくれて、普段着で会場に戻る。

 同じく着替えた先生達もパーティーに戻っていらして、仕切り直し。

 勿論部屋から誕生日プレゼントも持ってきた。着替えを手伝ってくれたエリーゼには既に渡したんだけど、彼女にはソーニャさんと同じくまち針と針山。

 渡すと「今よりもっとお裁縫が楽しくなりますねぇ~!」と喜んでくれた。そして彼女からは、がま口の小銭入れを。手作りの品で「お忍びのときのおともにぃ~」って。


「お忍びしちゃっていいの?」

「後ろからぁ解らないようにぃついて行きますからぁ」


 にこってされちゃった。でもどうしても一人でお買い物に行きたくなったときは、頼もうかな?

 それで着替えて来た先生方にはそれぞれマジックバッグや持ち物に付けられるキーホルダーみたいな飾りを。

 げそッとした顔で「これって……」ってヴィクトルさんが言ったけど、ロマノフ先生もラーラさんも耳を塞いで「何も聞いてません。知りません」って言いつつ受け取ってくれた。

 だって床抜けそうなんだもん。

 ロマノフ先生からは古王国よりちょっと前の遺跡から見つかった組木細工の宝箱、ヴィクトルさんからはお箏の爪、それも名のある名工の作ったやつ。ラーラさんからは稀少な魔宝石で作った陣取りゲームの基盤と駒のセットをもらっちゃった。

 今年のパーティーも美味しいものを沢山作ってくれた料理長、料理人見習いのアンナさんにもプレゼントを渡せた。同じく見習いのカイくんは家族と新年を迎えるために帰ってるから、戻って来たら渡そうと思う。三人にはお揃いのスカーフ。料理人の白衣に合う色にしてみた。

 で、料理長とアンナさんとカイくん三人からボンボニエールをもらったんだよね。可愛らしい蓋つきの硝子の器で、アンナさんとカイくんの今年の目標は自分達の作ったお菓子で、このボンボニエールを一杯にすることだそうな。

 私が口に入れるものは厳しく料理長が監督してくれてる。その料理長が私に出して大丈夫って太鼓判を押してくれるように頑張りたいって。嬉しいよね。

 ヨーゼフからは単語帳を。

 ござる丸やタラちゃんとの会話がスムーズに行くように、彼らが言わんとすることを指差したり尻尾で指したり出来るように作ってくれたそうな。助かる。主にヨーゼフやラシードさん達がいないときとかに。

 ヨーゼフには腰のベルトに付けられる小物入れをプレゼントした。そこに動物たちのお手入れ道具をしまえるように、夢幻の王に協力してもらって空間拡張の魔術もつけておいた。いうて私の実力だと、同じ容量の小物入れがもう一つあるくらいの空間拡張しか出来なかったけど。

 源三さんからは「白い花の咲くヒマワリの種」をもらった。これは音楽を聞かせると踊りだすらしく、夏にきっと見事なダンスを見せてくれるだろうって。私が奥庭で一人寂しく歌ってたのを見て、その頃から手を尽くしてこの花を探してくれていたそうだ。せめて踊る花があれば、寂しくないだろうって。

 今は寂しくはないけど、歌うと踊ってくれる花なんて素敵だもの。きっとレグルスくんや奏くん紡くんアンジェちゃん達も、一緒に楽しく踊ってくれるだろう。

 そんな源三さんには感謝を込めて、ヨーゼフと同じような、でも鋏を入れるのに頑丈な小物入れをプレゼントした。空間拡張もちゃんと付けたよ!

 それでロッテンマイヤーさんだけど。


「グラスコード、眼鏡に付けて外しても落ちないように首のところに下げられるやつなんだ」

「ありがとうございます。大事に使わせていただきますね。ビーズもカラフルで、とても素敵です」

「そう? 良かった。弛んだり色々不具合が出たらいってね? メンテナンスするから」

「はい、ありがとうございます」


 翠と橙の、仄かに光るビーズを連ねたコードは、ロッテンマイヤーさんの眼鏡に早速付けられた。

 喜びつつ「なんだか目元の疲れが取れるようです」って言ってくれて。

 ヴィクトルさんが「だろうね……」とか呟いたけど、それ以上は何も言わないでくれた。

 姫君様は癒しの姫神様であらせられるし、えんちゃん様は生命を司る姫神様。その飼ってる古龍の鱗がそれ関係の付与効果を持っててもおかしくないもんね。

 ロッテンマイヤーさんからは、彼女の知り合いでウイラさん達の神話を原作に舞台の本を書いてくださった作家さんの新作を一番最初に読む権利をもらった。

 完全新作で、これからブラッシュアップしていくんだけど、その前に粗削りではあるけど読んでいいって。ただし私だけ。


「え!? いいの!?」

「はい。作者の方は旦那様に最初に読んでいただいて、ご意見が欲しいそうです」

「ご意見?」

「はい。今回は貴族の話を書いているので、間違っている所があれば訂正していただければ。それから感想などもいただければ、これからの励みになるそうです」

「解りました! 頑張ります! それからこんな貴重な機会をありがとうございます、とその方に伝えてください」

「たしかに」


 めっちゃ嬉しい。仕事の合間にはなるけど、気合入れて読まなきゃ!

 後は大根先生とラシードさんやイフラースさんなんだけど、ラシードさん達は現在仲直りも出来たことだし実家に帰ってる。

 南アマルナの情勢も聞いてきてくれるそうで、帰って来るのは七日後だ。あちらはこちらと違って新年を七日に渡って祝うそうな。

 大根先生も今日はお弟子さんと過ごすんだって。

 嬉しいことが沢山あった。

 けど本日のメインイベントが残ってる。

 あらかたご飯も楽しんだころ、私はレグルスくんと奏くん紡くん兄弟と宇都宮さんに揃ってもらった。


「若様、おめでとう!」

「おめでとうございます!」

「うん、奏くんも紡くんもおめでとう!」

「宇都宮からもお祝い申し上げます」

「宇都宮さんもありがとう、それからおめでとう」


 にこやかに返すと、皆も笑顔だ。でもひよこちゃんはなんかモジモジしてる。

 どうしたのかな?

 ちょっと首を傾げると「にぃに、おたんじょう日おめでとうございます!」と元気に言ってくれたから、気のせいか?


「レグルスくんもおめでとう。それから完成したからプレゼント渡すね?」

「え? もしかして!?」

「そう、ひよこファイブの制服!」


 告げるとレグルスくんも奏くんも紡くんも宇都宮さんも拍手してくれる。アンジェちゃんがいないのは残念だけど、また明日でも渡せるしね。

 お揃いのスカーフとそれを止める飾りボタンで作ったブローチを四人に渡す。

 スカーフを首に巻いてもらって、ブローチでそれを留めて。


「あのね、ブローチに触りながら『変身!』って言って」

「はーい!」


 元気にお返事してレグルスくんが「変身!」と、ブローチに触れながら叫んだ。すると眩い光に包まれて、レグルスくんの衣装が一瞬にして変わる。即ち何とか戦隊の戦士が着ているようなスーツに。胸には元気なひよこの刺繍を付けたひよこ仮面だ。仮面は後から自分達が作ったのを被る仕様だから、今は付けてないけど。


「おおお! すげぇ!! おれも!!」

「つ、つむも!!」


 興奮した様子の奏くんと紡くんも、レグルスくんと同じく「変身!!」と叫ぶ。そして見事に戦隊ものスーツに着替えた。

 その三人の視線が宇都宮さんに向かう。


「宇都宮さんも着替えてみる?」

「え? わ、私もですか?」

「うん。不具合でたら困るし」


 何の気なしに言えば、にこっと笑ったままで宇都宮さんが固まる。けどレグルスくんの期待に満ちた眼差しに、ぐっと何か決意をしたような目をしたかと思うと「変身!」と叫んだ。

 そしてメイド服に似た、どちらかと言えば「美少女戦士なんとか」って感じの服に着替えて。


「うつのみや、にあうよ!」

「うん、アリス姉かっこいいぞ!」

「かわいいよ!」


 そう口々に言われて満更でもないのか、びしっと宇都宮さんがポーズをとる。


「僭越ながら、菊乃井の平和は宇都宮、じゃない、メイド仮面V3がお守りします! 悪い人は旦那様に代わってお仕置きですよ!」


 なんだー、宇都宮さんもノリノリでごっこ遊びしてたんだねー。

 レグルスくん達と一緒に拍手を送ると、「頑張って~!」と先生達が宇都宮さんに声をかけた。

お読みいただいてありがとうございました。

感想などなどいただけましたら幸いです。

活動報告にも色々書いておりますので、よろしければそちらもどうぞ。

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― 新着の感想 ―
[良い点] ひよこファイブの制服出来たんですね! めっちゃ見たいです。 あとグラスコードいいですね。 この効果、つまり、肩こりが楽になるネックレスとか、腰痛にきくベルトとか、腱鞘炎にきくブレスレット…
[良い点] おぉ! 戦隊服! [一言] 戦隊ヒーローってそそられます。 ナニゴコロでそそられるのか適切なのがないから上手く表現できないけどそそられます。
[一言] 鱗、加工できる職人が菊乃井に居れば軍の装備品として支給できそう 兵士たちの傷病を防ぐ意味でも凄く有意義な使い道ではなかろうか
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