ゴブリンに転生した男は何を思うか ~輪廻転生~
初投稿です。
「ちょっと異世界もの書いてみ?」と言われて書きました。
鼻歌交じりに書いたらなんか韻を踏む文章が多くなってしまい・・・・・・
なお、他人に読めるかは考えてないんです。
許してください。
――――――?
ふむ、人間界から抜け出したか。
まあ君はまだまだ因果の道理、廻り回ってきてちょうだい。
――――――。
え、異世界転生ものみたいに面白く自由にリア充したい?
うーんと……君たちの言う教えで分かりやすく詠ってあげようか、特別だよ?
地獄が最も苦しくて
飢餓は飲まず食わぬまま
畜生、弱肉強食怖い怖い
修羅で争い絶えぬ傷
天上、あとは朽ちるだけ
さあ決めるのは君の『業』だ、一々世話してられないの!
――――――!
俺は名前はゴブリン。
いや違うな、俺はゴブリンだ。
名前は忘れてしまった、俺らは名前なんて付けないからな。
名無しなのにどう忘れられるんだって?
そりゃ俺が元人間だからだ。人だった時の記憶が残っているのだ。
どうやらマジで死んでから転生してしまったらしい。しかもモンスターに……
なんか唐突に事切れたような気がするんだけど事故ったのかなー
天国地獄なんて信じてなかったけどまさかモンスターになるとはなー
ちょっと女神に会ってチートとか手に入れてないんだけどー
しかもここ地球じゃないよねー
言いたい事は色々あるがブラック企業の社畜を抜け出せたし、人の英知というアドバンテージで無双してやる!
……とは言ったもののゴブリンに生まれ変わったのは良いのか悪いのか。
俺が生まれた群れは山奥の洞窟。
最初はなんとなくで生活してたんだが俺を生んだメスを弄ったり、倒したオスを食ってるうちに俺もこんな体じゃなかったか?と考えるようになったんだ。
違和感を覚えると記憶が開いたように思い出すことができた。
ゴブリンってのはとにかく増えるし、すぐ成長する。
また人になってたら幼少の記憶なんておぼろげだし前世の記憶なんてたどり着けなかっただろうし。
しかしゴブリンってのは馬鹿だ。まあ脳が小さいからだろうけど。
生活はじょう……えっと石器時代レベルだし、食料だって他から奪ってくる事しか知らない。
そして弱い。
食べ物を得るために攻めるのはいいが、攻められたらだいたいは全滅する。
俺がまだ洞窟から出る事がなかった頃だ。
冒険者が退治しに来たんだろう。
屈強な剣士と忍び寄る斥候、豊満な魔術師に狙い定める弓兵とテンプレなパーティーだった。
アホ共は餌がきたと突っ込んでは斬られ燃やされ穿たれて
俺は歩き回って見つけておいた抜け穴通って逃げたとさ
また死んだら人間なれる保証無し
だったらゴブリンのまま人間とコミュニケーションしてみるほうが良い。
それができる知能が俺にはあるのだから!
俺はヒトの村からちょっと離れた群れに入った。
小さな村だから滅多に冒険者は来ないし、俺みたいな単独行動は”はぐれ”として追っ払うだけだ。
ヒトの言葉を覚えるのはちょうどいい。
ただ、俺みたいな小さなはぐれはゴブリンの群れでもぞんざいな扱いで……
外で食料取ってこいと蹴りだされるわけ。
下手すりゃ他のモンスターにやられるかもしれないひどい役目だ。
ゴブリンはなんでも食う。だから木の実なんかを集め回ってもいいんだが、
巣で良い暮らしをするには肉を持ち帰るのが一番だ。
ここはひとつ、罠を張ろうじゃないか。
獣に追い立てられるように逃げまわり
小山の上に登ったら
陥没塞ぐ屋根崩れ
俺らの住処へご案内!
なに、もうケモノ臭いのはいやだ?モットイイニクが食いたい?
贅沢な……あー、あのパーティー。新米か?俺ら退治しに来たんかなあ……
やらなきゃこっちがやられるしヒトに通じるか試してみますか。
「いやあああ!やめてえええ!」
足が折れただけとは運がいい。しかも若いメスの声。
キモチイイし、ヒトの言葉も覚えて一石二鳥。
おらモットナキサケベ!
「ごめんなさいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!」
あー……痛ってぇ………………
あの冒険者は強かったなぁ……かろうじて生きてるか……
いきなり襲ってくるんだものなぁ。
俺がエサにしようと思ってないのに……ヒキョウじゃない?
ちっくしょー、巣も全滅だろうからまたどっか別の群れに……
いや、ダメだ。
また下っ端からじゃ精々エサの取り方に知恵を使うだけになってしまう。
俺がリーダーになって群れを統率してこそ、この頭も活かせるってものだろう。
まず群れを作る………………村のメス攫っていくか。
俺はアイツラが捨てた砦を拠点にした。
朽ちてるけど高い壁があり、内部も複雑。
粗悪だけど鳴子や毒罠も仕掛けた。
スミカが安定したらやっぱエサもしっかりしなきゃな。
俺がリーダーになったおかげで俺らはエサを育てる事を覚えた!
俺も栽培や《飼育》は手探り状態だったけど。
ゲギャギャギャ!けっこうなんとかなるもんだね!
オレがトップ!最高だ!
チート無しだよオレの頭脳!
バカなアイツラ返り討ち!
食うに困らにゃ娯楽がなきゃ!
キレイなメスをナカセヨオ!
そんなことしてたらなんか中ボスみたいな感じにされちゃったのかなー
アイツラが来るわ来るわ。
エサを攫う必要ないくらい困らないのよ。
オレ、悪い事してなくない?
うわー……強そうなの来ちゃったよ。
「我ら人の砦を使うとは猪口才な」
憤った顔を隠そうともせず、剣士にしては細い―――女剣士は唸った。
「しかも最弱のゴブリンがですよぉ、下級冒険者何人食われたか……」
こちらも嫌悪感丸出し、さらには侮蔑も篭めてしなやかに、しかし引き締まった体で
木の上から敵情視察する斥候。
「周辺の村からの被害は小さいけれど……たぶん《飼われて》いるんだわ」
パーティーの中で一番年上で、唯一既婚している魔法使いが落ち着かせるように考察する。
「辛い思いをしているはずです……大丈夫でしょうか」
哀しげな表情を寄せているのは見た人全てが癒されるような、清楚という言葉がぴったり当てはまる女神官。
「大丈夫なのかはあんたの方ですよぉ、こーんなふくよかな女性なんてきちゃったらゴブリンが群がっちゃいますぅ」
「いや、必ず私が守ろう。そしてここを皆で潰すのだ。」
「私はあなたも心配ですよ、貴族になにかあったらと考えると……なぜ、ゴブリン退治なんかを?」
「民はいつもゴブリンに苦しんでいる。我は民の上に立つ身。民の不安を取り除くのが使命だ。」
「へいへい、大層な志ですこと。ま、報酬の羽振りがいいのは感謝してますからぁ、きちっと仕事はこなしましょう」
女剣士は討伐経験はなかったが剣は誰もが認める腕だった。
そんな彼女に集められたメンバーは皆手練れだった。
囚われの人々は多い。隊で押し寄せるよりも隠密に、各個撃破して全滅させよう―――相手は最弱のゴブリンなのだから。
それが彼女の作戦だった。
そして彼女の過ちだった。
「あっ!!?」
ゴブリンにしては厳重な見張りと鳴子、音を立てない暗殺で集中力が途切れていたのだろう。
弱り果てていた女性を持ち上げたことによって撃たれる矢の仕掛けを見破る事ができなかった。
「大丈夫ですか!?」
女僧侶が刺さった斥候の膝を看る。
「すぐ『祈り』を……」
「いや、こんなヨレヨレの矢、痛み止めで大丈夫。それよりアンタの『癒し』……保つかい?」
黙る女神官。
「くそっ、こんな女性を備品みたいに使いおって……」
それこそ《娯楽用》の女性は各部屋に一人ずつ居た。救助者はまとめているが端から面制圧してかなければならなかった。
「一旦、引いたほうがいいわね……」
「しかたない、現状で助けた人数ならなんとか撤退……」
ガシャァァァァァァン!!
「なに!?閉じ込められた!???」
ギャッ!ギャアアアアアアアア!グギャギャギャ!
「囲まれたわよ!―――こんなに!?」
「下がって!魔法を撃つわ!」
グギャーーーッ!
一面火の海!オレのナカマが丸焦げに!あっという間にやられちまった・・・・・・・
せっかくオレが増やしてきたのに・・・・・・
・・・・・・チクショウ、チクショウチクショウチクショウチクショウ!!
あんなウマソウなメス共に!
オマエラはエサだろうが!
許さねえ―――がどうすればいい!
見ろよアイツラの勝ち誇った顔を!雑魚がって見下した顔を!
・・・・・・・・・・・・油断している?
「なんとかなったか・・・・・・」
「所詮ゴブリンっしょぉ・・・・・・っ・・・・・・」
「っ!前方にゴブリン!」
「マッテ......ゴメンナサイ......」
おそるおそる出てくるゴブリンがいた。
「人間の言葉を喋ってる!?」
「タスケテェ......アヤマルカラァ......オネガィ......」
無様に地べたに這い蹲るゴブリン。
「どうするよぉ・・・・・・」
「殺すべきだわ」
「まて、言葉は通じるか?」
「ワカル......オレガイチバン......ミンナシタガウ......」
「なんと!……ゴブリンが人を襲わないようにできるか?」
「オクニイッテ......キノミタベル......オ、オソワナイ?......」
「まあ、こんなに賢いゴブリンがいるなんて・・・・・・神のお導きでしょうか!」
「オレ......シャベル......#'%&$......」
「はは、それはまだ通じないな―――」
それに気付く事ができたのは魔法使いだけだった。
人とは違うがそれは『魔』に触れる詠唱―――
「だめっ!」
剣士を突き飛ばした途端―――
ゴッ!―――魔法使いは炎に包まれた。
「なっ・・・・・・」
剣士は呆然とするしかない。しかし事態は止まらない。
またゴブリンが流れ込んできたのだ。
普段ならば即座に剣を抜いただろう。
だが今はできなかった。
―――あなた―――
夫を思い呟いた魔法使いの顔がこびりついている。
「きゃあああああああ!!」
すでに女神官はゴブリンの山の中だ。
「・・・・・・・・・・・・うぇっ・・・・・・・・・・・・」
横にいた斥候は崩れ落ちていた。
「え?」
また、守るべき者が零れ落ちてしまった。自分のせいで。
「あああああああああああああああああ!!」
グギャギャギャ!
オレも覚えたんだよネェェェ!マホウ!
ヤッカイモノはヤキニクだ!
さあさあミンナ突っ込め!
ナマイキそうなメスは……毒が効いてきた!
一番ウマソウなメスを無傷で捕らえたゾ!!
イッチバン!ムカツクメスは―――イイ顔ダァ!
オレにドゲザさせやがってゆるさねえ!
嬲られ食われるアイツラがヨォ!
オレラ殺して減らしやがった!
こうなったらまた攫ってオカシテ増やしてヨォ!
スミカを攻めて滅ぼすしかネエよなあ!
グギャアアアアアアアアアアアアアア!
「うへぇ、何人やられた?」
「ゴブリンといえどもあの大軍・・・・・・被害甚大だな」
「ほんと数の暴力ってね、でも最上冒険者様が居てよかった~、斬って蹴散らしなんとか水際で抑えましたよ~」
「防衛戦術も上手くいった。知恵に勝るものは無いな」
「――――――殲滅、完了。」
「まぁた、ゴブリンだぁ」
「前と違うやつかぁ、どんどん降りてきてねぇか?」
「そろそろ冒険者様にゃぁ、頼まんとぉ」
「金あつめんべ」
「またかぁ・・・・・・なあ、おいらたちになんとかできねえか?」
「やめとけぇ、降りてきたやつ倒すは簡単だけどぉ、巣ぶっこわすのは無理さ」
「なんでぇゴブリンにびびってんのかおめぇ」
「ちげえや・・・・・・群れたゴブリン程おそろしいもんねえってわかるんだぁ」
~♪
あー忙しい忙しい。
廻る魂不可思議な
虫も獣も魔も人も
違うの外の器だけ
次元も分岐も飛び越えて
あーもうこっちに影響ないようにするのってほんと手間なんだから。
結局輪廻転生って「りんねてんしょう」なのか「りんねてんせい」なのか分からない件