3話
この未知の宇宙船?に搭乗して約半年という月日がたったと思う。
なぜ?半年ってわかるかって?それは未知の宇宙船のモニターシステムが教えてくれるのだ。
未だに俺たち家族が住める異世界惑星が探せていない理由がある。こんなしょうもない理由だ。
その1 自動迎撃システムが勝手に色々な惑星を破壊している。
その2 理由。だれも住んでいないから。
その3 どこかの俺はつええとぬかしている。最強と言われし、宇宙一番と言われる、どこかのすごい生物かもしれない悪の星人を勝手に破壊してしまったんだ。
これをもってなんか知らんが、宇宙一番という称号を与えられてしまった。
正直そんな称号なんていらない。ちょっと天然が入ってるのかといいたいぐらいに、この未知の宇宙船は勝手に破壊活動をしている。
一言でいえば、「迷惑」
こんな未知の宇宙船に乗船しなければよかった。勝手に未知の宇宙船に引きずり込まれただけですけどね。
全く迷惑な未知の宇宙船だ。
そのお蔭で助かったんだが・・そこに関しては、ひとまずどこかに置いておこう。置く場所いっぱいあるから…!
この未知の宇宙船は広いのだ…。
何もしなくても、勝手に全部やってくれる。でもやり方が結構えげつない。
この未知の宇宙船は絶対に後先考えずに破壊活動をしてるとしか思えない。
ダメかもしれない。
もういい加減、土に足をつけた生活がほしい。
貧乏でもいいから、早く住める異世界惑星を探してほしい。
そう思っていた矢先…
空気を読んでくれたのか、俺の住んでいた。〖言語〗で喋りだす。
《自動言語システム》
「ん?どうした?」
《君たち家族が住める異世界惑星を把捉しました》
「本当ですか?」
《シンヨウシロ、ミチノウツユウセンハウソハイワナイ》
「何回も騙されてますけど・・」
《アレハ・・ナンダ・・チョットハリキリスギテコワシテシマッタンダ》
「今度はウソ言わないよね?」
《モウスコシ、シンヨウシロ、コノ、デブ》
「おいぃぃぃぃぃ、デブと落とさないでくれますか?」
「名前で呼んでください」
《イヤダ、デブノタイカクニハ、ナマエナンテフヨウ》
性格悪…!
正直毎回こんなやり取りをしている自分が情けない。うちのママは、もう船内で優雅に一人で、食い物を食ってるし、そんなママを見ていると、なんか俺が思っていた、ママの天使的な存在が崩壊していく。
というか、約半年の間に、こんな未知の宇宙船で優雅に暮らしているママがなんの疑いもなくこんな未知の宇宙船と仲良くなっているのに驚く。
未知の宇宙船の本体と仲良くなれるママってなに?それってすごいの?
この船内はそんな未知の存在だ。
普通は疑えって言いたくなるけど、貧乏からいきなり金持ち気分になったママのそんな姿を見たくはなかった。
俺には性格悪い未知の宇宙船にしか映らないのに、なぜママにはそんなにやさしいの?
俺には意地悪。ママにはとても優しいすぎ、なにそれ差別なの?
この未知の宇宙船はそんな宇宙船だ。
面白くもなんともない。もっと俺を大事にしれよって命令したい。でも命令しても全く俺の意見など無視してくるこの未知の宇宙船をぶっ壊したい。
ぶっ壊す力もないから、そんなことを思っても仕方がない。
することもないし話だけは聞こう。
「今度こそ今度こそは本当に本当に本当にですよね?」
《モウスコシシンヨウシロ》
「じゃあ信用するよ」
《ドモ》
反応薄…!
本当に大丈夫なんだろうか・・・いい予感が全くしないのだが…
《乗務員の皆さん、至急椅子に座ってください》
たち?2人しかいないんだけど……
「わかった」
「もう、せっかくいいところで酒を飲んでいたのに、しょうがないわね。座るわよ」
ああ!もう性格変わっているし、どこから酒というモノが出てきたのが不思議でたまらん。
そして、俺の椅子は木の椅子に腰かけて、シートベルトを絞めて…
そして、ママの椅子はというと物凄くスゴイ豪華の椅子になんの疑いもせず腰かけるママである。
しかもなんでママの椅子だけ豪華の仕様なのか、凄く気になる。しかもシートベルトがないってどういう仕組みの椅子なんだと思ってしまう。
この展開なに?もう差別が始まっている。この状況はなに?俺だけなんでこんな扱いを受けないといけないの?とりあえず聞いてみよう。
「あの?なんで俺だけこんな扱いを受けるの?」
そしてこんな返答が返ってきた。
《お前のママは未知の母船と仲良くなったんだ。この未知の宇宙船は意志をもつ宇宙船だ。デブを黙れ》
意志を持つ未知の宇宙船だと?そんなもんがあってたまるかぁぁ…!
《では異世界惑星に進路を保ちます、デブはしっかりシートベルトを締めてください。まぁ自動的に閉まるシステムなんですけどね》
全然俺には優しくない宇宙船なのはよくわかった。
わかったけれども、もう納得した。
《進路良好、ワープ・システム起動します・・・ワープエネルギー充電中・・充電完了・・取りあえず、120パーセントで調節を確認中・・・・確認完了・・・インビジブルシステム継続します・・コッソリワープ起動します・・・すべてのシステムオールクリア・・・》
今コッソリって聞こえてような…!聞き違いか…!…!
《コッソリシステム起動確認しました。エネルギー充電完了してます。異世界惑星を補足しました》
聞き違いとかそういうレベルの話ではないな。完全にコッソリって言ったぞ。
本当に大丈夫なんだろうか。凄く不安だが……
《未知のゲート・オープン。衝撃などはありませんので、シートベルトは外してもらっても結構です》
おいいいいいいいいいいいいいいいいい。シートベルトしていた俺の息苦しさを、返せぇぇぇぇぇ…!
《ではワープします、⑤、Ⅳ、Ⅲ、Ⅱ、Ⅰ、⓪ 異世界惑星に到着しました。インビジブルシステム継続中、階段システム起動します・・システム良好、カイダンスシステムを起動しました。周囲の安全を確認中・・・オールクリアー。危険な生き物は周囲にはいません。乗務員の2名様あと段ボール箱一箱を下す作業に解析を確認します。自動エスカレーターシステムに昇格を確認しました。ご搭乗ありがとうございました。自動で歩くこともなく、エスカレーターに身を任せて優雅な異世界惑星を堪能してください》
ルルル、って、わいいいいいいいいいいぃ、なに?昇格システムって?最初からエスカレーターにしろって言いたい。
この未知の宇宙船は俺の言うことなどちっとも聞いてくれない。ママにしか従わない。
なに?これ?未知の宇宙船にはバカにされるわ、納得いきませんけどね。
《デブ早く降りろ、ボケ》
「え?もうデブからなぜ今度はボケに落とすんですか?」
《ママには優しいが、お前には正直飽きた》
「飽きたって、特に失礼なことしてませんけど」
《我は母船だ、意志を持つ母船だ、もっと我と会話をしろ》
そんなぁぁぁ理由?で嫌われたのかぁぁぁ?会話だと、ヤダ、俺はママとしか会話をしたことがないんだよ。コミリケーション不足は失礼だが、そんなもん如きで嫌われたの?なんてメンタルが弱い、未知の宇宙船なんだろうか。
面白そうだから聞いてみよう。
「メンタル弱いの?」
《メンタル?なにそれ?食えるのか?》
そうきましたか。食えないけど。正論かもしれん。
じゃあそういうことで、コミリケーションが全く通用しない、未知の宇宙船と会話をすることに多少は驚いたけど、もうそんなもんは、アレだ、無理に会話を合わせることもない。
面白そうだからなんか聞いてみよう。
「あの?コミリケーションってわかりますか?」
《知ってる、だが、食えないだろう…》
お?当たっているかもしれない。
なんか面白くなってきた。でももう聞くこともないし、ここはさっさとこの未知の宇宙船から下りよう。
色々聞いたら、なんか、失礼と思いまして、はい。常識はわかっていますよ?多少。
別れの挨拶をしてこの未知の宇宙船から降りよう。
そしておれは、こう言いました。
「さいなら」
《軽いわあああああああああああああああああああああああああああああ》
やっぱり。自分でも勇気を振り絞って考えた言葉なんだが…
勇気もないんですけどね…
とりあえず最後に別れの挨拶を…
俺はまたこう言いました。
「本当にさようなら」
《重いわぁぁぁぁぁぁっぁぁっぁぁぁぁ、体重が重いから早く船内から降りろ》
「ういうい、わかりましたよ」
《軽すぎるわわああああああああああああああああああああああああああああ》
「やっぱり?」
《我に感謝しろ》
「うん。感謝してる。多少」
《多少とはもっと軽いわあああああああああああああああああああああああ》
「怒られちゃった」
こんな下らないことで会話してオモシロイ。友達ができた。人じゃないけど…
そして最後に友達になった記念でとどめの一発を…
そしてこう余計なことを言いました。
「俺と友達になってくれますか?」
《友達とはなんだ?まぁそれぐらいならなってやろう》
「本当に?」
《友達とは知らないが、まぁここまで乗せてきた母船だから、意味が全くわからないが、友達?というやつにはなってやろう》
やったぁぁぁぁぁぁぁぁ…!!!!言ってみるもんだな。初めてママ以外の人とお話ししたけど、友達ができた。人間ではないが、でもママ以外の人と喋ったことないし、なんかズウズウしくて。
こうして、初めての友達?ができた。17歳の男でした。
そしてママは当たり前のようにもう友達以上の関係になっていることは、この息子?は知らなかった。
無事大地に足をつけた異世界の生活が始まる。