Spica
未来はいつだって覗けるから大丈夫だ
そんなことを言っていた
僕らは周って、届かない場所で手を繋ごうとしている
約束はいつも胸の奥にあるから
旅は続けていてもなくなることはない
「行き先はどこですか?」
そう尋ねられれば、僕は答える
嘘をつかずに答える
それができるのは
線の繋がった大陸の向こう側で待っているから
空の繋がった場所で見送ってくれたから
空はいつの間にか移ろいだ
雲は太陽を遮り いつしか雨が降っていた
今度は薄汚れた商人に答える
「どこでも良いですから、連れて行ってください」
世界は暗くなり 歩いてきた道もわからなくなっていた
レンズのない望遠鏡は薄汚れている