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掌編小説集4 (151話~200話)

衝動

作者: 蹴沢缶九郎

あるマンションの一室に一人暮らしの男がいた。男は最近、冷蔵庫の中の品物が無くなるという異変に気づいた。それは例えば、自分では飲んだ覚えがないのに、一日の楽しみに入れておいた缶ビールの本数が明らかに減っていたとか、朝ごはん用に買っておいた卵が綺麗さっぱりと姿を消していたとか…。


異変はそれだけにとどまらず、トイレットペーパーや風呂場のシャンプーも、冷蔵庫の中身同様減っていた。自分以外の誰かがこの部屋に侵入して使ってるとしか考えられないのだった。


ある日、男が仕事から帰宅すると、リビングからテレビの音がした。消し忘れたかなと思うが、そうではない事を知る。人のいる気配がするのだ。男は「こいつが品物消失事件の犯人だ」と直感した。


「犯人がすぐそこにいる…。」


男の中でふつふつと犯人に対する憎悪や怒りが生まれ、その感情はいつ爆発してもおかしくない状況にあった…。


男は息を殺し、足音を立てないように気をつけながらリビングに向かった。リビングのドアをそっと開けると、そこに見知らぬ、自分と同じ程の歳のスーツ姿の男がソファに腰を掛けテレビを見ていた。


自室で、足を組んで我が物顔でくつろぎ、テレビを観賞する他人の姿に、とうとう怒りが頂点に達した男は、スーツ姿の男に飛びかかり首を絞めて殺してしまった。


しばらくして冷静になった後、警察に捕まる事への恐怖やスーツの男を殺してしまった事に対する後悔は全くなかったが、ただ一つの心残りがあるとすれば、このスーツの男が一体誰で、何故自分の部屋にいたのか聞くのを忘れてしまった事だろうか…。

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― 新着の感想 ―
[一言] う〜ん どう考えてみても 推理してみても 何もわからないんですよね。 なんともモヤモヤと余韻の残る面白さがありました。
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