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JK無双 終わる世界の救い方   作者: 蒼蟲夕也
●書き下ろしSS
423/433

SS2『避難のススメ』

 終末のラッパがぷっぷくぷー。

 地獄の門がばたーんと開き、死者が世界をぶらぶらと。

 今、この世界では、空想の産物に過ぎなかったゾンビ・アポカリプスが起こっています。




「もう、何もかもおしまいだぁ!」

「ひゃっはー! 暴力が支配する世界だー!」




 みなさん、そんな風に考えていませんか?

 気持ちはわかります。でも早まってはいけません。

 髪をモヒカンに剃り上げ、極端に布地の少ないトゲトゲシャツに着替える前に、避難所での生活を試してみてはいかがでしょう。


 いつ事態が終息するかわからない以上、長期戦を覚悟する必要があります。

 我々人類は、協力してこの、神の気まぐれに対抗しなければなりません。

 みんなで力を合わせ、”終末”の世を生き抜きましょう!


 って訳で、良くある質問をまとめてみましたよ。

 気になるあなたは、ちぇっくちぇっく!




Q:家と避難所、どちらが安全なの?

A:圧倒的に避難所が安全です。

  と言うのも、避難所では多くの“情報”が集まるため。

  現代においてこの、“情報”ほど貴重なものはありません。

  自宅が安心できるという気持ちはわかりますが、それでは肝心なときに孤立してしまいかねませんよ。


Q:避難に必要な手続きって?

A:避難所に到着するとまず、雅ヶ丘高校、校舎内にある受付に通されるでしょう。

  そこで自分の情報(名前、年齢、家族構成、アレルギー、体調、特技)を記帳し、”ゾンビ”に噛まれた箇所がないか、簡単に検査されるだけ。


Q:避難後の住居は?

A:バリケード内にある、どこかの建物を割り当てられます。

  この時、通常の一軒家を何世帯かでシェアするようなこともありますが、それは希望者(以前からの友人、親戚など)に限られますのでご安心を。

  見ず知らずの他人といきなり同居する羽目に、……なんて心配はいりません!


Q:避難後の生活は?

A:15歳までの方……校舎内で毎日行われている授業に参加できます。

  16~19歳の方……自由参加の授業、あるいは大人と同様に仕事を割り当てられます。

  それ以上、成人の方……その方の特性に合わせた仕事を割り当てられます。

  ※決して、無理矢理”ゾンビ”狩りに参加させられるようなことはありません!


Q:避難に必要なものは?

A:衣料品……手持ちのバッグに入る範囲で、お気に入りのものをご用意ください。

  耳栓……バリケード内にいても、”ゾンビ”のうなり声が気になって眠れない場合があります。

  メガネ……予備を含めて、用意しておきましょう。決して壊さないように。

  タオル……超重要アイテム。どんな時でも、タオルの場所さえ正確に把握していれば人生安泰です。

  娯楽類……あまりかさばらず、手持ちのバッグに入る範囲で。ボードゲームなどあると喜ばれます。

  心の支え……家族の写真、推しのアイドル・キャラグッズなど。


Q:逆に、不要なものは?

A:食糧……食事は配給があるので、必要最小限度で。なお、各家庭にある食べ物は基本的に回収され、避難所全体でシェアする形になります。

  常備薬……食糧と同様の扱い。生理用品などを含め、避難所には十分な物資の備蓄があります。状態が深刻な場合は、”魔法”による治癒などのサービスを希望することもできるでしょう。

  携帯テレビ・ラジオ……避難の定番ですが、今のところまったく役に立ちません。

  スマホ……わりとすぐに使い物にならなくなります。通話もできません。

  お金……今やお尻を拭く紙にもなりません。ごみ!







 ある日の深夜、零時過ぎ。

 雅ヶ丘高校、とある教室にて。




「……うーん。他になんか、書くことあったかなぁ」

「こんばんはぁ、センパイ」

「おや、君野明日香さん。こんな遅くに、何か?」

「いえ。なんで、こんな時間まで起きてるのかなって。――書き物ですか?」

「いやね。この辺り、バリケード外にある自宅で引きこもっちゃってる人、結構いるでしょ?」

「ああ。そういや、今朝の会議でも問題になってましたねー」

「そういう人向けのチラシの草稿を、佐々木先生に頼まれちゃって」

「ありゃま。センパイともあろうお方が、そんな雑事を」

「時間かけなくていいから、ぱぱぱーっと書いてほしいそうです」

「じゃ、そうしたらいいじゃないですか」

「私こういうの、手が抜けないタイプなんですよ」

「ふーん。なんだかセンパイらしいや。融通がきかないというか」

「大きなお世話です」

「でも、未だに自宅に引きこもってる人って、こっちに協力してくれないくせに物資だけ寄越せって、うるさいんですよねー」

「そりゃーまあ。被災時は支援が行われて当然って考え方がありますから」

「そういう人たちにも、物資の配給はあるんですか?」

「ええ」

「そんな自分勝手な人たち、放っておけばいいのに」

「そういうわけにはいかないでしょう」

「そーかなー?」

「人間、自分が可愛くて当然です。我が儘を言うのは、とても自然なこと。そうでしょ?」

「ふーむ」

「でも、だからといって、他人に迷惑をかけて良い理由にはなりません。……このチラシで、そういう人たちの考えが少しでも改まってくれたら良いんですが。誰しも、孤独に死ぬことを受容しているわけではないでしょうし」

「……むぅ。むむむむ」

「なんです? めっちゃジト目で見てくるやん」

「なんかそーいうふうに、『誰にでも優しくしよう』みたいなこと言われると、……私、困っちゃいます」

「へ? なんで?」

「これから私、お布団に入ろうと思ってたとこなのに。センパイのお手伝いしないと、なんだか悪いことしたみたいになっちゃうじゃん」

「そーぉ? 私は、別に……」

「いえ。もう遅いですっ。君野明日香は今晩、センパイのお供をするって、決めちゃいましたからっ」

「いやそんな、逆ギレ気味に言われても」

「でもセンパイのそーいうところも、――大好きだZE!」

「ああ、はい。どーも」

「そんじゃ、さくさくっと完成させちゃいましょー! この世から、ジコチューうんこまんが一人でも減るよーにねっ!」


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