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JK無双 終わる世界の救い方   作者: 蒼蟲夕也
フェイズ1「ゾンビだらけの世の中ですが、剣と魔法で無双します」
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その4 ぼうけんのたびへ

 というわけで、部屋を漁って準備完了。

 装備確認。


 ぶき :かたみのカタナ(こうげきりょく +255)

 ぼうぐ:がっこうしていのジャージ(ぼうぎょりょく +62)

     うんどうグツ(すばやさ +57)

 そのた:くろぶちメガネ(めいちゅうりつ +100)

     かみどめゴム(すばやさ +9 めいちゅうりつ +5)


 まあ、()内のパラメータはテキトーなんですけどね。

 気分です。

 ちなみに、リュックの中身は、


 どうぐ:おいしいみず(のむとHPがかいふく)

     カロリーメイト(ウマすぎる)

     ばんのうぼうちょう(よびのぶき)

     かいちゅうでんとう(おばけなんてこわくないぞ)

     よびのパンツ(うらがえせばふつかぶん)


 こんな感じでした。

 準備万端、いざ出かけようとドアノブを握った後、一瞬だけ我が家を見返します。

 故・田中さんのお陰で早くも死臭が蔓延してきている我が家を。

 うーん、未練なし。

 ではでは、外へれっつごー。

 扉をガチャリと開けると、まだそこいらでたむろしていた“ゾンビ”(最初に見かけたやつです)と眼が合いました。


『うがっ』


 彼が何ごとか言い終える前に、


「よいしょ」


 私は、最小限の力で“ゾンビ”の眉間に切っ先を突き刺しました。

 がくーんとスイッチが切れたみたいに足元から力を失う“ゾンビ”。

 あっさり無力化成功です。

 ふっふっふ。“ゾンビ”というのも、思ったより大したことありませんな。

 ……などと余裕ぶっている暇もなく。

 最初の“ゾンビ”の背後から、眼鏡をかけたロングヘアの女性“ゾンビ”が飛び出します。


「こらしょ」


 今度は少し力を入れて、女性の眼鏡ごと脳を破壊しました。


 さらに、もう一匹。

 廊下の奥の方から、よたよたとした足取りでこちらに歩いてくるのが見えます。

 そこで、ちょっとした実験を思いつきました。


 こいつら、どれくらい傷めつけたら死ぬのかな、と。


 ……あっ、一応言い訳させていただきますとこれ、隠れた残酷趣味の発露とか、そういうんじゃないですよ。

 今後、“ゾンビ”どもと一進一退の攻防を繰り広げる(予定)にあたって、今のうちに彼らの生態を研究しておくのは非常に重要かつ合理的だと思ったわけです。

 ピンチになって初めて“ゾンビ”の生態を知る……みたいな展開は避けたいんですよ。

 こういうことをするのも、余裕のある今のうちだけです。


「そんなわけで、ごめんなさいね」

『こおおぉおおおおおおおお、おおおおおお……』


 ご本人の確認もとれたことですし、さっそくはじめましょう。


 例えば、映画なんかでよく聞く“ゾンビ”の生態としては、「頭部の破壊によってのみ死ぬ」というパターン。


 私は、数メートル先をゆらゆらと歩く“ゾンビ”の心臓めがけて、思い切り日本刀を突き刺しました。

 肋骨を砕いて、肉を裂く感触がします。ぴっと頬に赤黒い血液が跳ねますが、気にしません。田中さんを刺した時にあった嫌な気持ちは、すでに消失しています。私、順応性高い系女子なので。


「えいやっ」


 刀を突き刺したまま手首をひねると、“ゾンビ”の胸にじわりと血が広がりました。

 ですが、


『うヴォォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ』


 残念、彼ったらぜんぜん元気そう。

 ではでは、と、私は剣を引き抜きます。

 そして、こちらに向けて伸ばされた両腕を一刀のもとに斬り捨てました。

 ぽーんと両腕が宙を舞い、ぽてりと床に落ちます。


「もいっちょ」


 呟きながら、私は目の前の彼の両足をばっさりとやりました。

 ヒザ下を失った彼は、べしゃっと汚い赤色を辺りにぶちまけながら、血の海に横たわります。


「ふうむ……」


 そのまま、ぼんやり待つこと数分。


『う………ウボ………が……』


 元気はなくなっているように思います。

 ですが、やはり頭部を破壊しないと死ぬことはないらしく。

 放っておくのも可哀想な気がしたので、私は彼の頭に刀を突き刺しました。

 すると、芋虫のように蠢く“ゾンビ”はあっさりと動きを止めます。


 実験のご協力、感謝でした。名も知らぬ“ゾンビ”さん。


 あと気になるところと言えば、変異の条件とかかな。

 さすがにわざと噛まれる実験はやりたくないですし、多分噛まれたらアウトのタイプでしょう。田中さんも一噛みで変異しちゃったみたいですし。

 問題は、空気感染とかしちゃうタイプ。

 もしそのパターンだった場合、ちょっとどうしようもないですね。防ぎようがないです。

 私がまさしく“神に選ばれた”的存在なら、生まれつき抗体を持ってるとかそういう感じの設定が後々登場したりしてへっちゃらなんでしょうが。


 ただまあ、こればっかりは、くよくよ考えても仕方ない。


 この件については深く考えないようにしましょうそうしましょう。

 完全なる安心を得るためにも、人が集まる場所に顔を出して、色々と情報共有した方が良さそうではありますが。


 フウム。


 そうなると、次に行くべき場所が絞れてきましたよ。


 そんなこんなで、私は足早にボロマンションを後にするのでありました。


 さらば我が家よ。気が向いたら戻ってくるぞよ。

 掃除とかしに、ね。


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