その290 二面クリア
『STAGE2』は『1』に比べて、いかにもオーソドックスなクエストが次々と与えられる内容となっておりました。
まずAという課題があって、それをクリアするにはBという課題、それをクリアするにはCという課題があり、それらを順番に、絡まった紐を解くように攻略していく。王道RPGの醍醐味的な展開です。
黄豚『ところで、あの淫売婦が泣きながらボクにすがりついてきた時の話、した?』
白豚『へへへ。教えてくださいよぉ』
青豚『…………………』
赤豚『くそう…………くそう……………』
とはいえ、険悪な四匹の豚たちの道のりが平坦なはずはなく。
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町のおじさん『南の砦に攫われたスザクさまに会うにはまず、北の洞窟で”勇者の証”を手に入れるのだ』
黄豚『あれ? ”勇者の証”はどうした?』
赤豚『……知るかよ。黄豚が持ってるんじゃないの』
白豚『どうもどこかで落としてしまったらしい』
青豚『……また洞窟にもどるのか……』
町のおじさん『証を街の道具屋に見せることにより、”魔法の鍵”を買うことができるぞ』
赤豚『なんか売られてた鍵、不良品だったわ』
青豚『マジかよ、あの店主……殺す……』
黄豚『誰が鍵の購入を担当したんだ?』
白豚『お、俺ですけど……妙なところはなかったはず』
町のおじさん『”魔法の鍵”があれば、南東の沼地へ繋がる門を開けられるだろう。そこで賢者カマンベールの助言を聞くと良い』
赤豚『ぎゃあ! か、カマンベールが死んでるぅー!?』
青豚『嘘だろ……犯人はいったい……?』
白豚『いやお前だろ。ツヤツヤしやがって』
黄豚『どうすんだ、これ……』
街のおじさん『ただし気をつけなさい。その辺りは邪悪な魔女、ゴルゴン=ゾーラの支配下だ』
黄豚『ここまで完全な無駄足だった』
青豚『イヒヒヒヒヒ……』
白豚『結局、カマンベールの助言ってなんだったんだ』
赤豚『たぶん、「ぜんぶ暴力で解決しろ」とかそんなんだよ』
街のおじさん『ゴルゴン=ゾーラの弱点は、ダイサンの村で売られている”モッツァレラ草”らしい』
青豚『おら! 食えよ! お前の大好物だぞ! おら!』
黄豚『良ーく味わってしゃぶれ!』
白豚『あーあ、泣いちゃってるよ』
赤豚『やっぱ無力なゴミを一方的にイジメてる時が一番楽しいや!』
街のおじさん『ああそうそう。道中はサケルチーズを買い込んでおくと、おやつになるぞ』
黄豚『チーズうまいね』
青豚『うまい』
白豚『うんうまい』
赤豚『うまい』
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宇宙飛行士の訓練に、グリーンカードと呼ばれるモノが存在すると聞きます。
グリーンカードというのは、例えば訓練生の一人に『リーダーである○○の意見にすべて反対しろ』というような秘密の指示を与えることで、チーム全体のストレス耐性・トラブルに対する対応力を試す、というもの。
このゲームはその、宇宙飛行士の訓練に少し似ている気がしました。
ゲームそのものが、プレイヤーたちに何らかの精神的な負荷を与えるような作りになっているのです。
中ボスのゴルゴン=ゾーラを殺した四匹は、特に脈絡のないご都合展開により、南の砦へ向かう許可証を得ました。
その後の流れは『STAGE1』と大差ありません。敵から姿を隠しつつ先に進み、ボス敵を殺し、お姫様を救出する。それだけ。
ちなみに、今度のMVPは予定通り、藍月美言ちゃんがゲットすることができました。
というのもこれは、私が個別チャットにて彼女に指示を出しておいたためです。
私が仲間を引き留めている間に、賢者カマンベールから情報を聞き出し、殺してしまうように、と。
「く、くそ……、またやられたか」
しょんぼりうつむく”賭博師”さんの敗因は恐らく、――普通のゲームの感覚で遊びすぎている点。
『ポークマンズ・クエスト』は、事前に情報を独占することが最適解となるよう、かなり極端にゲーム・バランスが組まれています。
であるからして、通常のRPGとは違い、子豚たちをレベルアップしたり、強い装備を手に入れたりするよりも、いかに情報を先取りするかが肝要といえるのでした。
ちなみに、南の砦に捕らえられていたお姫様は、いかにも文武両道っぽい赤髪の女の子です。
スザク『やあ、強きものよ。私は君の活躍をずっとみていたぞ。並み居る悪党を次々と打ち倒す君の姿は、大変好ましいものだった。それで、――もしよろしければ、私と……夫婦になってはもらえないか?(ぽっ)』
この娘もたぶん、あっさり寝取られるんだろうなあ……。ごくり。
そして『STAGE2』終了のアナウンス。
そのタイミングで、――”賭博師”さんが全員に、休憩を切り出してくれました。
「結構頑張ったし、少し休もう」
「えーっ。面白くなってきたところなのにー」
「集中力が切れると、トークのキレも悪くなるからな。もうオレサマたち、六時間もしゃべりっぱなしだ」
「え」
驚いて私は時計を見ます。
”賭博師”さんが言うとおり、いつの間にかそんなに時間が経っていたみたい。
外はとっくに暗くなっていましたし、喉もからからでした。
「こんなに騒いだの、小学生のとき、祖父の家でマリカーした時以来ですよ」
「なら良かった」
楽しい時間って、すぐに過ぎていくものですねー。
”賭博師”さんたちがどう思っているかは知りませんが、暗躍する側のこちらはなかなかどうして、……うふふ。愉快に遊ばせていただいております。
「みんなで晩飯食ってシャワー浴びて、――そんでから、また再開しようか」




