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新撰部  作者: SHEN
5/34

「━━座って。紗月ちゃん、お茶を淹れてくれるかしら?」


「かしこまりました」




 言われるがままに三人の後をついて来た俺。


 連れて来られた先は、まるで来賓室の様な豪華な部屋だった。


 壁に飾られた絵画。棚に飾られたティーセットの数々に、綺麗に花瓶に活けられた花。



 その部屋の中心には二組の黒革張りのソファーが二組置かれていて、俺はそこに座る様に促された。



「楓くんは紅茶とコーヒーどちらがよろしいですか? 玉露茶もありますが」


「えっと……緑茶で」


「かしこまりました。伊織さまは紅茶でよろしいですか?」


「ええ」



 何でこいつ俺の名前知ってんだ? あの綾とか言う男もそうだけど。



「何であんたら俺の名前知ってんだよ」


「あら、だって同じ新撰組名だもの」



 女の子が淹れたての紅茶が入ったティーカップに手を伸ばしながらさらりと答える。



「それ、そこの綾って奴も言ってたけどどう言う意味だよ」


「あれ、楓くん新撰組って知らないかい?」


「そりゃ、知ってるけど……」


 京都で実在した歴史的人物だよな。あんま興味ないから知らないけど……。



「その新撰組の隊士に、沖田っているじゃないか。沖田総司」


「それと俺の名前知ってるのと何の関係があんだよ」


「いや、だから。俺の名前は土方綾ってさっき自己紹介したよな?」


「ああ」



 覚えてねーけど。



「そんで、あの今お茶を淹れてるのが山南紗月。こっちの女の子が近藤伊織だよ……っだっ」



 女の子を紹介すると同時に、綾の頭をめがけ茶っ葉の缶が飛んで来た。



「伊織"さま"だと何度教えれば覚えるんでしょうかねぇこの駄犬が……」


「すんませんすんませんごめんなさいーっっ」



 紗月が手をボキボキと鳴らしながら綾を見下す様に睨みつけると、綾は泣き叫びながら勢いよく謝りだす。



「ごめんですんだら陰陽師はいらねーんだよボケがぁ!」


「ひぃーっっ」





「…………」



 呆気にとられていると、伊織が「ごめんなさい」と謝罪を述べた。



「二人は仲良しさんなの。じゃれあってるだけだから気にしないで」


「じゃれあってる……ねぇ」


 どう見てもそうには見えないけど……。



「それでお話の続きだけど。私と紗月、綾はその新撰組隊士である近藤勇に山南敬助、そして土方歳三の子孫にあたる家系なの。そして貴方もね」


「は、俺?」


「ええ。貴方は沖田総司の子孫にあたる家系よ」



 突然何を言い出すんだこいつ。



「いや、確かに俺は沖田って名だけど、そんな名前他にもいんだろ沢山」


「ええ。だけど間違いないの。私にはわかるのよ」



 キッパリとそう言い切る伊織に、俺は眉をしかめた。



「何でそう言い切れるんだよ」


「伊織、えと……さまは千里眼の持ち主なんだ」


「千里眼?」



 たどたどしい言葉使いで綾が横から話に割り込んでくる。


 その横では紗月がギラギラと目を光らせ綾を睨みつけていた。



「伊織さまの千里眼ってのはちょっと特殊で、目でみた相手の過去・未来を見透す事が出来るんだ」


「過去と未来?」


「そうよ。だからわかるの。貴方が沖田総司の血縁だって」


 


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