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ニューゲーム  作者: ゴマダレ
いつかの出来事
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いつかの出来事

初めての投稿となります。

見苦しい点があると思いますが、温かい目で見てください

          第一章━━━━いつかの出来事━━━━

━━━それはいつかの出来事。

 まだ彼らが少年時代の話。

 いつか見たその光景は脳裏から離れることなく、彼らの人生の中で幾度となく思い起こされることになる。

━━━これから語る物語は彼らが体験した物語。


 十二月二十四日 午前八時三十六分

「圭太!起きなさい!今何時だと思ってるの!」

「うるさいなぁ・・・もう。」

クリスマス・イヴの朝。街は祝いの準備で人が溢れ、既に外には非日常的な騒音ばかりが耳に嫌でも入り込む。

 ちなみにあの怒鳴り声も騒音の一種であると言える。

「なにグズグズしてるの。起きなさい。」

「分かった。分かったから耳元まで来て怒鳴るのはやめてよ。」

「やめて欲しいのならさっさと起きることね。」

あぁ、クリスマス・イブの朝からこんな怒鳴り声のプレゼントとはサンタは中々良いセンスの持ち主だな。圭太は心の中でそんなうわ言を呟きながら、温もり溢れる布団から寒さが突き刺さるような外界へと出た。

 クリスマス・イヴの朝。外は澄み渡るような青空が広がり、目には焼けるかと思わんばかりに日光が射し込む。

 とある街角の一角に建つ、お世辞にも大きいとは言えない一軒家の自室の窓にて外をさも哀れそうに見つめる圭太と呼ばれる少年。

名前は西山(にしやま)圭太(けいた)。Y中学校に通う中学二年生である。小学生時代の西山は空手全国大会二位。書道毛筆・硬筆ともに一段。水泳の県大会一位など、輝かしい成績を収めた圭太だったが中学に進学して間もなく、何を思ったのか今までの習い事やクラブなどをスッパリと辞め、今は部活動に励むこともなく帰宅部として毎日を穏やかに過ごしていた。

 いつものようにノートパソコンを開き、現れる検索フォームをよそにお気に入りのボタンを押し、そこに現れたオンラインゲームのホームページのリンクを開く。いつもならばそこに現れる「ゲームスタート」の文字を迷わず押すのだが、今日はいつもとは違った。現れたその画面にはゲームスタートの文字はなく、「次へ」と書かれたボタンがあるだけだった。

「こんなの無かったのに・・・アップデートかなんかでできたのか。」

そしてそのボタンを押した。

 すると突然辺りがやけに静かになった。さっきまで騒がしかった人の声も、リビングから聞こえてくる油が焦げる音も、全てが異様なほど静かになったのだ。

「・・・おかしい。」

  PCの画面には派手な赤い文字で「welcome」と表示されていた。

「なんだよ、ウェルカムって・・・一体・・・。そうだ!携帯は?・・・圏外だと?そんな・・・。」

 今起こっている出来事が把握できずに、ジャージを着て外へ飛び出した。辺りには飾りかけの電光イルミネーションや、工具箱、梯子などがそこかしこに放置されていた。

「誰もいないのか?」

 皆どこへ行ってしまったんだろう・・・。いや、よく考えろ。皆が一斉にどこかへ行くなんてあまりにも非現実すぎる。まさか、俺自身がどうにかなってしまったのだろうか。

「とにかく、商店街へ行けば誰かいるはず・・・━━━━!」

商店街へと向かおうとしたとき、前方から黒い影がゆらゆらと現れた。それはこの世界の生き物ではないような異形を成していた。赤黒い目、黒く覆われた体毛、白い嘴、長く伸びた腕とその先には鋭く尖った爪が光っていた。

 こいつは無視して通れるような奴じゃないな。遠回りをしよう。その刹那、その考えを察知したかのようにその化物がこちら目掛けて走ってくる。

「やばいっ!」

とっさに反対方向へと走り出し、曲がり角を曲がり、その先にある公園のトイレへと身を隠した。

「はぁ、はぁ・・・。」

窓から外を覗くと、化物は迷わずこちらへと向かってくる。

「なんで、わかるんだ?」

圭太はできる限り息を殺し、気づかれないように身を縮めた。

「キィイイイイイ!」

しばらくして化物の唸り声がトイレに響いた。

「ドンッ」

「ドンッ」

きっとドアを片っ端から開けているのだろう。このままでは気づかれるのも時間の問題だ。

「・・・」

音がなり止む。

「行ったか?」

外を確認しようとしたそのとき、上に黒い影がこちらをにたりとした表情で覗いていた。

「ッッッ!」

驚きのあまり、腰を抜かして床にへたりこんでしまった。化物はいまにもこちら目掛けて襲ってくる体勢だ。

「どうすれば・・・。」

すると近くに置いてあった清掃用の柄付モップが目に飛び込んだ。

とっさにそれを手に取り、化物へと突いた。何回もつついていると、さすがに痛かったのか、ドアの外側へと落ちた。

「グゥウウウ」

次はさすがにこいつも何か手段を講じてくるだろう。ならば、これはもう使えない。もう観念して、外に出て応戦すべきか、それともひたすら逃げるのが吉か。

 しかし、逃げてもいずれは追い詰められてしまう。ならばここで気絶させてから逃げたほうが良い。

 圭太はドアを大きく開け放った。すると頭を片手で抱えながら、こちらを睨みつける化物がそこにはいた。

「来るなら来いよ!いくらでも相手してやる。」

モップの先端部分を折り、木刀のような形にした。

 化物は先ほど見せた笑顔をまた作りながら、こちらへと歩み寄ってきた。

 まずは一撃。横に振った棒は化物の頭部を直撃した。化物は後ろへよろめきながら低い呻き声をあげる。

 次は縦に振ると軽々と避けされてしまい、反撃を食らった。

 物覚えが早い。これじゃこっちが徐々に振りにななってゆくだけだ。どうすれば・・・。

━━━━僕が━━━━

「え?」

━━━━僕がついてる━━━━

「一体、誰なんだ?」

次の瞬間。手に持っていた折れた棒が青白く光りだした。辺りは光に包まれ。腕にはいままで体感したことがない衝撃が加わる。

 光でうまく見えなかったが、光が弱まりかけたとき、その光の正体が顕になった。

 まるで槍のような、しかし柄がついておりその先には刃がある。

「武器?」

そんなに考える暇も与えず、化物がこちらへ突っ込んでくる。

「一か八かだ。」

手に持っていた武器を化物に投げつけると、それは手から放した瞬間に、猛威的なスピードで加速し、化物の体を貫いた。

 化物は目を見開き、口を開け、後方へと飛ばされる。

 飛んでいった武器は公園のブランコの柱に突き刺さり、ガラスが割れるように砕け散った。

化物からは既に生気が感じられなかった。しばらくそれを見つめていると、化物の体が青白く輝き始め、やがて無数の光となり散り、空へ消えた。


      続く

もしも続きを見てくださるご奇特な方がいらっしゃれば、次章も随時掲載致しますので、見てやってください。

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