不条理
ぐっあああああアアア!
繰り返す暴走。
止めること叶わず…
あー、ハー、だりー…
2000でまたやってきた…
今だに原因がわからない…
ただ体の中で暴れ回るだけならいいけど…やる気根こそぎ持ってかれるからな…
地面にうつ伏せになりながら考える。
土とか気にならない…
それくらいに精神的にやられている。
…思い当たるのな~んにもだ。
分かったのは1000を超えたら起こるってことだけ…
覚悟を持って迎えたらなんとかならんかな?
…いや、今回は予想してたか…
恐る恐る増やしたもんな。
まとまらない頭を持ち上げ、次の目的の為に動き出す。
帰ろ…
長く冒険者を続けてるだけあり、街を歩いていると知り合いに声をかけてもらえる時がある。
当たり前か…そりゃ…
「お疲れ様です…大丈夫ですか?タイガさん!顔色悪いですよ?」
俺の顔を少し首をかしげながら覗き込み、心配そうに声をかけてくる。
明るい髪をしたとても優しそうな目をした美少女に見える。
そう、見えるだ!
見えるだけ…
パーティー義の羽に所属する、男性冒険者だ!
普通に?男だ。
「い、いや、ちょっとな、想定外の事が起きてビックリしただけだから大丈夫だ、問題ない。」
いつも出会えば接近戦!
かなりのインファイターだ!
間違いない!
「腕をなくしたと聞いたときも…とても、とっても心配しました…何かあったら言ってくださいね?必ず力になりますから…どんな事でも…」
目の中に優しさをにじませて、とても柔らかく口ずさんでくる。
そして、その奥には常識すらも塗り替えんとする確かな色があった…
彼もまた俺の目を覗き込んでいる。
俺の目の中にある恐怖は見えているはずだ。
しかし、それすら許し飲み込もうとする気配がある。
俺にはそれがわからない…
何がそこまでさせるのか…
「あ、あ、ありがとう。その時は頼らせて貰うよ…」
「フフッ絶対ですよ…いつでも待ってますから…」
そう言って小さく手を振りながら去っていっ
た。
彼の…エリオの事は嫌いではない。
いいヤツなのもわかっている。
普通の冒険者より華奢で、儚げな見た目をしている。
が、かなりの実力になっているらしい。
俺と似たスタイルで戦ってるみたいだ。
他の義の羽の奴が教えてくれた。
確かにあのするりと接近してくる足運びはかなりのもの…
俺に使うなとは言いたいけど…
俺の中の童貞と言う賢者がいつも忠告してくる。
奴はヘビだと…
けして自ら仕掛けてくることはない…
怪我のふりをしたウサギを演じ、飢えたオオカミの前をうろつくのだ。
いつでも食べてくださいと、食べられても構いませんと…
賢者は謳う…
それは…女より容易く…
そして…甘く優しい…
一度口にすれば…二度と元の理に戻れず…
戻らなくても構わないと思えるほどの密で満たす。
アダムとイブさえ目を背けるほどの…禁断の果実…
儚く美しさを理の外で謳う…
人が何が好きでも俺は構わない。
ただ、俺は女好きだ…
そこは譲れない…賢者もそれを許さない。
賢者がいてくれて助かった…いなかったらどうなっていたか…
ハニートラップは何も女だけの武器ではない。
男が仕掛けても構わないのだ。
世の厳しさをまた1つ噛み締めた…
彼が俺のメインヒロインではないことを願いながら…




