撤退
ハァハァハァ
呼吸が荒くなっている、けっこう消耗していた…
体からはプスプスと音を立て煙が立っている。
クソ野郎の火球は側を通るだけで火傷するらしい…
イライラするが階段登るのを優先する。
中間のスペースで壁を背にして座り込む。
抱えてたのは、とりあえず放っておく。
左腕でポーチを探り中級ポーションを口で開けながら振りかける…
とりあえず4本全部使い切る。
火傷はなんとかなったか…
煙も収まった…
今の所は誰も降りてこないな…
……疲れた…
ただ…疲れた…
だからイライラすんのか?
隣で起きた気配があった。
「!……何をしたの!…なんのつも」
すまん、今余裕がない。
「やかましい!黙ってろ!」
「!……」
怒と共に気力を発した気がした…
「すまんな、とりあえず階段を降りそうなやつは止めてくれ。下にドラゴンがいる、他のやつみたいに消し飛ぶぞ!俺は少し寝る…」
「!?…ホントなの…」
「ああ」
左腕を下にして転がる。
ポーションでは体力までは回復しない。
寝れはしないが上に行く体力がいる、そう思いながら目を瞑る。
しばらくして人の気配が引っかかった。
「あ?何のつもりだ?!お前!そいつに何しやがった!タイガ!おい!タイガ!しっかりしろ!」
知り合いの声がこんなにも嬉しいなんて知らなかったな。
デルトが声をかけてくれる。
「ああ、デルト、下にドラゴンがいた、名前持ち。俺とそいつ以外ブレスで消し飛ばされた…上に連れてってくれ…」
「分かった任せろ!」
「1人、下に行かせないよう頼む…」
「分かった、分かったからな…大丈夫だ俺達が来てやったんだ、大丈夫だ!」
左腕の下に手を通し、担いでくれた。
なんでお前が…
そんな声が聴こえた気がした…
「5界層にドラゴンが出た、至急討伐隊を組んで欲しい、名前持ちだ!ブレスの威力がおかしかった…Aランク以上でないと消し飛ばされる。目の前で鎧着てたのが触れただけで消された…様子見は十分気を付けて欲しい………頼む。」
それだけエルミルさんに一気に伝え、宿に帰った。




