迷宮都市リッツ
今、門を越えた。
この街の名前は「リッツ」、しかも街の中に迷宮がある。
リッツ辺境伯様が治める迷宮都市だ!
見た感じ、木造の建物が並んでいる…そんぐらいかな感想は
人は…多い、なんか獣人っぽい人、エルフっぽい人。
いろんな種族がいるんだな。
人族とかはいってたか。
多分ライセルさんの中では遠い所から来た事になっている。
そこまでの常識ない人とは思われてないみたいだ。
言えないな世界が違うなんて…そこまでは…どうなるか分からんし、ちょっと心苦しいけど。
馬車での移動中にライセルさんが教えてくれた。
その時に街の名前などが聞けた。
街に入るにはお金がいる、入場税みたいなものが、銀貨1枚が必要だ。
これは街に入るにはけっこう高い。
ただその分兵士の質が高く、治安もいいらしいし、それに見合ったものみたいだ。
それにこの辺の冒険者が集まるから、そのせいもあるかもしれない。
気をつけよう。
そういえば、あれからライセルさんに思ったことをいくつかたずねたんだけど…
動物?なんだそれ?動くもの…あーゴーレム?って言われた……
ん?と思ってあの馬は?って聞いたら、「魔石のない魔物」と答えてくれた。
基本この世界は魔物ばっかりらしい。
この辺にはいないですね?って聞いたら…どうやら迷宮都市に近いこの辺りは、基本、魔物、盗賊は冒険者がサーチアンドデストロイしてるみたいだ。
だから道沿いは基本的にはいない。
その御蔭で安全が確保されてる。
外で魔物見たらとりあえず狩りましょうみたいな暗黙のルールがあるらしい。
他には外の魔物より迷宮内の魔物は凶暴みたいで、こっちは魔物がサーチアンドデストロイしてくる!
そして逃げない!理由?そう言うものだぞ?と答えてくれた。
こんな感じでいろいろ思い付く事を聞きながら街の門をくぐった。
「ありがとうございます…入場料まで…」
しれっと払ってくれました俺の分まで……
「んあ?いいよ、あれくらい…これからいくらあっても足らんだろ?、それにあれは、俺が貰いすぎだ!いいのか?本当に。」
俺が売った異世界の服の事だな…
「いいんですよ、命の恩人だし。まだ足りないくらいだと思ってますから!もらってくださいよ、ぜひ。」
いろいろ教えてもらった、馬車も乗せてくれた、飯もらった、魔法見せてくれた。
あのままじゃ死んでいた。
足りないでしょ、むしろ申し訳ないあれだけじゃ…
「は〜…、まあそこまで言うならもう言わん。
もらっとくけど……大したことしてねえからな〜本当に…」
それが言えるのがすげーなーって思う。
「冒険者ギルドまででいいな?登録料も俺が出すか?それぐらいならいいぞ?」
さすがにそれは…
「い、いえいえ、もう大丈夫ですって!お金貰いましたし、銀貨1枚ですよね?大丈夫です。十分ですので、ありがとうございます。」
「………そうか?まーそれならいいが…さっき話したように冒険者の最初は幾らあってもいい、あんまり遠慮しなくてもいいんだがな……」
ライセルさんが納得のいかない顔をしていた。
「着いたぞ!ここだ!」
木造の2階建ての落ち着いた感じの無骨な建物だ。
看板は冒険者ギルドと書いてある!
「何から何までありがとうございました。この御恩は一生忘れません。ありがとうございました……」
馬車から降りて90度頭を下げた。
初めて会った異世界人、初めて話した異世界人、いろいろ教えてもらった。
………ちょっと、いやかなり、寂しいな……
「よせよせ、そんなことされる人間じゃねーよ!、元気でな!死ぬなよ!じゃあな!」
そのままゆっくり馬車は行ってしまった。
なんとなく見えなくなるまで見送っていた。
ありがとうライセルさん。
最初に出会ったのがライセルさんでよかった。
恥ずかしいのでそれは本人に言えなかった…いつか、強くなったら言おう、こっちから探して…
そん時に嫌がるくらいいろいろ渡そう!こんだけせわになったんだぞ!って、感謝してるんだぞって!
そこまでやろう…それくらいまでやろう…
冒険者をやろう…不安はあるけどね。




