赤ちゃん!カワイ!
もう、戻れない。
それは、ハッキリしている。
家族、嫌いじゃない………何も返せない。
浮かれてる場合ではなかった、最初から。
この世界に、来た瞬間から失っていた。
その事に、気づかず、得られたと思って喜んだ……
後悔するのは今じゃない、今するべきじゃない!
この世界で生きたい、できることなら強くなりたい。
可能性は見せてもらった!
下を向くのは今じゃない!
知識がいる、生きるための情報がいる。
まずは聞こう、目の前の恩人に。
話を聞かせてもらおう、強くなるために!
「ライセルさん!お時間は大丈夫ですか?」
ただ…これは確認させて欲しい、申し訳ないから!
「ん?あー、まだいいぞ?大丈夫か?泣いてたけど…ん?」
「だ、大丈夫っす…泣いてないんで…」
「ほーん、あれでねぇ〜、まあいっか。いや俺も突っ込みすぎた!一応これでも人の親だからな…ちょっとな、すまんかった!
で!、なにがききたい?」
………まずは…
「俺、魔法はつかえますか?」
「程度によるとしか言えんなぁ、例えば俺が使った水を出すやつ!あれぐらいだったらいけるんじゃねーか?」
「なるほど…」
「攻撃に使う様な規模のやつは、スキルがかかわってくるしなぁ。後、魔力量もか。
先に言っとくが、あまり自分のステータスをベラベラしゃべるなよ?聞いて回るのもやめとけ。下手すりゃ殺される。」
「あ、ハイッ…」
覚えとこ。コワイ…カラ。
「その上でだ、一応教えるために聞くが、ステータスの魔力量はどんなもんだ?見えるだろ?」
魔力量とは?………意識するとわかるMPのことだ。
「えっと…100です。」
………………?
「ん?消費してか?」
なにを?…使い方しらないんですけど??
「満タンで、100です……」
ライセルさんがおどろいている。
いい意味だったらいいなー…………
「そ、そうか、なるほどな!
何か他にききたいことはあるか?、ほら、俺も元冒険者だし、知ってることけっこうあるぞ、ランクAだし、な!聞いとけ聞いとけ、な!困らんように、な!な!」
……………
「これってどれくらいの魔力量なんですか?一応知っておきたいんで、おしえてくれませんか?」
ライセルさんは腕を組んでうなり始めた。
「うーん…知りたいか?」
「ハイ、知っといたほうがいいと思うので…お願いします。」
「ハァー……あー、人はな魔力を持って生まれてくる。でだ、その時が……まあ100くらいだな…だいたい…………」
赤子並みじゃねーーかーー!!!
え?、期待してましたけど?どーすんの?これ?え?これからだよね?こっからだよね?
「ふ、増えたりはし、しますよね…さすがにねぇ〜ね!」
ライセルは右を向いている、目は合わない。
「人それぞれだが……少しづつ増えていってな、だいたい15才くらいで増えなくなる……人族は………」
赤ちゃん!カワイ!
ハッ!意識が何処かに…危ない危ない。
「いや、でも、レベルが増えれば…いけないですか?」
そう!まだこれがある!どうだ!
「……………………」
え?ダメですか……………?
「あー、まずな可能性がなくはない……が、そもそもの話、レベルは簡単には上がらん。普通の村人で死ぬまでに、1上がれはいいほうだ…………それにすがるのはなぁ〜…」
………………
「ちなみに、ライセルさんのレベルって聞いてもいいですか?」
「ん?俺か?引退したからいいぞー、まあ言いふらすようなことしないなら。」
「しません!絶対!」
「冒険者やってたからもあってレベルは4だな。一応上級冒険者だったな俺は。」
多分さっきAランクって言ってたから上から数えたほうが早いと思う。
すごい人なんだな。
「冒険者をやれば、レベルあがりますか?」
「正直言えば、分からん、一概にこうしたら上がるとは言えん。人によって違うからな…魔物を倒したら上がるやつもいるし、そうでないやつもいる……ずーと上がらんやつもいる。
俺は運が良かった方だ、上目指していろいろやってたら上がったからな。
だから冒険者だから上がるとは言えんな。」
簡単にはいかないか……
でも…
「俺は冒険者になれますか?」
これはやってみたい、やっぱり。
赤子魔力だけど……それでも…
強くなってみたい。
ライセルさんが眉をよせた。
「基本、誰でもなれる…………ただ、死ぬやつも多いぞ、こうやって会話したやつが明日には死体になってる場合もある、死体があるだけまし、そんな世界だぞ。」
「それでも…なってみたいと思うんです。才能はないかもしれないけど……やる前にあきらめるのは嫌ですね。やっぱり。」
正直に言ってみた。
その方が良い、冒険者してみたいから。
「ハー……、まあ、もともとやってた俺が言うのも違うわな。さっき言ったことばかりではないのも確かなんだよ。楽しい事だってある、何より手っ取り早く、金稼げる。いるだろ金!」
そうだ無一文だ…何にも持ってな!
いや、あるは!
「ライセルさん!これ!売れますか?」
転移した時、服着ていた!
カッターシャツに学生ズボンとローファー、Tシャツ。
やっぱり珍しいらしく、高く売れるといわれた。
ただライセルさんは手持ちが少ないらしく、街に行ってから売ったほうがいいとおしえてくれた。
金貨数枚の価値があると言われたが、無理やり渡して、銀貨50枚と、この世界の一般的な服装と下着数枚、サンダルを手に入れた。




