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食堂にて



 「迷宮内は人が見てるところでは魔物が生まれないって知ってるか?」


 デルトが話を振ってきた。

 今日はデルトだけみたいだな。


 「知らん。」

 「昔な、それを証明するって言った国があったんだよな。

 その迷宮は1層がそこまで広くない上に壁もなかった。だから魔物を全滅させながら人を配置して常に視界にが途切れないようにした。

 そしたら湧いてこなくなった。」

 「ほ〜ん」


 なるほどね…たまにわけわからん話振ってくるからなデルトは、面白いけど。


 「それに気をよくしたその国は、そこに街を作ろうとした。

 魔物がいないなら安全だろってな。」

 「ん〜、どうなんだろな。」

 「まあ聞け、それは成功した。

 魔物も来ず、迷宮探索もすぐ行ける。

 国の自慢にもなったし、人も来た。

 だからだろうな、その国は全ての層も街にしてしまおうと考えた。」

 「………」


 まあそうなるよね。

 俺は気にしてないけど、迷宮には珍しい薬草や、鉱物資源、食べ物がいっぱいある。

 ただ、知識ゼロで触るもんでもないからな。

 一から勉強しないとって考えると…剣振るってたい。

 はっ!脳筋じゃね?俺…まいっか。


 魔物が出ないんなら全が手に入る。

 そう考えてもおかしくないわな。


 「特に問題なく1年で一層、2年目に2層、3年目に3層に取りかかってた。

 所々に兵士を配置しなきゃならない問題はあるが、けっこう順調にいったらしい。」

 「じゃあ今でもあんのか?地下都市が。」

 

 いつの話か分からんけど…昔って言ってたしな。

 どんぐらいまで街にできてんだ?

 ちょっと見てみたくはあるな。




 「いや、3年目にな物資運んでる馬車が事故したんだよ。

 ちょっと積み荷の固定が甘くて倒れた程度のもんだったらしい。

 ただデカい音したらしくてな…みんなそっちを見ちまったんだよ…

 直ぐに視線を戻したらしいんだけど、そこには見たこともない、羽の生えた禍々しいスケルトンがいたらしい…」

 「どうなったんだ?それ…」

 「強さ的にもとんでもなかったらしくて、もともとスケルトンが湧いてた所に出てきたから、ちょっと強いだけだって油断したのもあったのかもな。

 人を狩りながら肉をつけていき、街は1日かからず全滅したらしい、しかも地上にも出て来て暴れ回った。

 そのせいでその国は滅んだってよ。」

 「ヤベーな、暴れ回った奴は?」

 「Sランク冒険者で囲んで、やっと倒せたってよ!」

 「……………」


 すげーのか、こえーのか分からん話だな…

 いや、怖い話か?こっちの世界の?


 「有名な話なのか?」

 「ん?まあそれなりには知られてんな。よく夜に話されたりしてる。」


 怪談じゃねーか!それ!分からんわ!


 「でもなんで人が見てるところじゃあ魔物湧かねーんだろな、そこが不思議でよー」

 「…創造神は同じ、でも司る神は違うからとかじゃないか?」

 「………なんで司る神が違うと生れねーんだよ?」

 「共存できないようにとかじゃね?詳しくは知らんけど…テキトーだよ、テキトー。」


 なんとなくそう思っただけだしな。

 テキトーなようなそうでないよーなそんな感じ。


 「ほーん、考え方としてはおもしろいんじゃねーの?」

 「そりゃどーも」


 別に嬉しくはねーな。


 「そう言えば、魔物の話で思い出したけどよ。

 おまえ…ランク試験の時に剣教えてただろ?カトラに。」

 「あー教えたね。」

 「あいつブンブン振り回して暴れてんぞ迷宮で!二つ名までついてやがる!」

 「…………」


 …別に、俺悪くないよね、何してんのあいつ。


 「旋回鬼だってよ!旋回鬼。」


 やめたげて!扇風機みたいなノリで二つ名つけるの!

 しかも姫じゃねーし、鬼て…

 どんだけ暴れ回ってんだ!


 「まーそんな顔すんな、頑張ってんだよあいつも、誰かさんに追いつきたくてな!」


 ニヤニヤすんな!テメー!


 「……冒険者の中にはな、けっこう多いんだけどよ。」

 「なんだよ急に。」


 真剣な顔してデルトが話し始めた。

 珍しいな。


 「カトラみたいに魔物を殺す為だけに振るう剣の奴がいる。

 そういったやつは大概、復讐者だ。

 魔物に大事なもん奪われて冒険者やってる。」

 「………………」


 ………だから、あいつは…カッコいいって言ったのか…

 魔物に囲まれても、倒せる技、払い除けれる技だから…

 ………だから喜んだ…

 大事な人達を数で奪われた……

 突発的なスタンピード、この世界で国、街、村がなくなる理由。

 分かんなかったな全然。

 生きてれば必ず人には人生がある。

 そうなった理由があったりする。


 「気づいてなかっただろ?おまえ…まあ、俺もいろんな冒険者を見てきたから知ってるだけだけどな…

 たまにいるんだよ魔物殺しながら、自分まで殺す奴が。

 まあ、カトラの場合は心配なさそうだけどな、誰かさんのお陰かな?ん?」

 「いや、チゲーだろそりゃ。」

 「…まあ、お前がそう言うんならそうかもな、ただそういう奴もいる。

 これだけ覚えといてくれ。」


 なんかあったんだろうな。

 デルトがちょっと遠い目をしていた。


 「……変わんねーよ、過去に何があっても結局は変わらない、そのままの自分で居るだけしかしてやれんだろ?結局は。」


 デルトが笑った。


 自己中だけど…

 寄り添うってのは難しいからな…

 ましてや俺なんて相手の気持ちとか分からんからな。

 変わらずに居てやるくらいしか出来んよな。

 魔法で心読む?向こうの世界ではネタバレは嫌われてるだろ?変わんねーよ。

 

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