家族と種族
「…………まともに扱えるようにはなったみたいだな…」
「あざっす!恐縮っす!」
「?まあ、最初はどうなることかと思ったが…それなりか…」
短剣を片目で眺めながらおっちゃんが褒めてくれた。
迷宮終わりにたまに短剣の調子を見てもらってる。
クリーンの魔法を一緒にかけるくらいしか手入れしてないからな…。
手入れの仕方知らない…。
「……ニヤニヤすんな!おまえさんはぜんぜんだったからこれくらいは当然だって話だ!褒めてるわけじゃねえ!」
「またまた〜」
「何がまたまただ!調子に乗るなと言ってんだ!分かっとんのか?」
おっちゃんは誰得なツンデレを発揮している。
スキルか何かだろうか?業の深いことである。
なんだかんだ言っていつも心配してくれている、ありがたいことだ。
向こうの世界でこんな態度とってたら、どんな温厚な人でもぶっ飛ばしてんじゃねーの?
でもやめられない、止まらない。
俺こんな奴だったかな?
異世界の影響か?怖い!
まっいっか別に、なんかこれでも冒険者にしては礼儀正しい方らしいし…
逆にどんだけなんだって話だよな…
マジで他の人知らんから分からないんだよな。
何してんの?マジで。
「そう言えばさ、おっちゃん昨日早くに店閉めてたみたいだったけど、なんかあった?」
「あ?昨日か…早めに家に帰っただけだ…」
「え?おっちゃんここに住んでんじゃあないの?」
「………いや、俺だけだたらいいが…流石に嫁と娘はここにはな…だから住んでない。」
「………………」
「お、おっちゃん…嫁さんと娘さんいんの?」
「………俺も里を出たんだ、独り身で過ごすつもりだった…余生を里で過ごし、そん時に探せばいいと考えとった……」
「なるほど」
「だが、何を考えたのかついてきた奴がいてな…里に帰らずずっとおったから、どーすんだと聞いたら結婚することになった。」
なんかいろいろ説明すっ飛ばしてね?
それずっと好かれてね?
里にいた頃から好かれてね?
「じゃあ、ずっと好かれてたのかおっちゃん。」
「分からん、小さい頃から知ってはいたな…」
「へ〜じゃあ奥さんと娘さんと暮らしてんの?」
「……今は嫁だけだ、娘は里に預けとる。」
あーなんか事情でもあんのかな?
なんか力になれることあるかな…
「別々に暮らしてんだね。」
「…俺と嫁はいい、ただ…娘まで人族の生に付き合わせるのはな…」
「どゆこと?」
「…お前さんらは早くに死んじまうからな…俺らよりずっと早くに…俺や嫁はそれを知って外にいる、だから覚悟もできている。ただ…娘にその覚悟をさせるのはな…」
「あー」
これは…種族的な部分だ…何とも言えない。
人族は100歳が長生き、ドワーフにとっては半分にも満たない…
それは辛いかもな…
「…その中でもし好きなやつでもできちまったら目も当てられねえ、娘が選んだ奴だ…ダメだとも言えん。」
「怒らないんだ。人族なんてって。」
「なんで怒るんだ?好きになっちまったら仕方ねえだろ?言って変わるもんでもねーよ。
嫁も変わんなかった、帰れって言っても聞かんかったしな…」
「言ったんだ、帰れって。」
「言った、俺なんかについてきても仕方ねえだろ?里の奴らの方が腕もいい、間違いない奴らだ。」
「おっちゃんはなんで里を出たの?」
「…お前さんみたいな奴らがいるからだ!必要とされてる所にいた方がいいだろ?」
おっちゃん!
「まあ、俺自身大した腕ではなかったからな…あのまま里にいても腐ってくだけだった…なら役に立てる所にいたほうがいいだろ?
だからだな……あんまり深く考えてなかったのもあるがなハッハッハ!」
「大変助かっております!いつもありがとうございます!」
マジでありがたい、おかげで生きて行けそうだし。
「………それで昨日の話だが、娘が会いに来とったんだ。
だから早く家に帰った…」
「へ〜よかったじゃん。」
「言い訳あるか!ひとり旅じゃあないにしろ旅自体が危険であることには変わりねえ。
だからやめろって言ってんのに聞きゃしねえ。
家族に会うのに理由は要らないっとかぬかしやがる!
流石に帰りは知り合いのAランク冒険者に頼んで護衛してもらうが、あいつはまったく…多分嫁に似た、まったく話を聞かん!俺の言うことなんて無視だ無視!困ったもんだ!まったく!」
おっちゃんは困ってんのか喜んでんのか分からん顔をしていた。
親元を離れて暮らしてる娘さんは実家でかなり可愛がられてるらしい。
だからあんなにわがままなんだとおっちゃんが言っていた。
ドワーフの子供自体が少ないらしいからみんなから可愛がられるらしい。
子は宝ってやつだ。
次第にニヤニヤしていくおっちゃんを見ながら話を聞き、いい時間になったのでまたね!と帰ることにした。
おっちゃん、奥さん、娘さん居たんだな。
まあ、あんだけいい人だもんな。
昔からいい人だったみたいだな、だから付いてきてくれたんだろうな。
俺にもそう言うのあるかな…
まあいつか…あるよね?
そんな事を考えながら飯に向かった。




