その日の終わりに
腰に武器をぶら下げたまま、宿へと帰る。
チラチラと短剣を見てしまう…
いや、なんかかっこいい!
服装は村人のままだけど。
宿に入って受付に向かうと…
受付には、先の美少女がいつの間にか大人になっていた。
「こんにちは〜、ようこそいらっしゃいました、こちらは夕弦亭です。本日は宿泊ですか?」
姉か母親か?
大きくなったら美人になる事がわかった、あの子。
名前を伝えてなかったな、そう言えば。
「えっと…すみません、2の1の部屋に泊まる予定なんですけど…」
部屋は覚えていた。
あの子どこいったんだろう。
「あら?少々お待ち下さいね。」
そう言ってカウンター裏の扉に顔を入れた。
「ロゼ!ロゼいる?ちょっといらっしゃい…」
しばらくしたらあの子、多分ロゼちゃん?が顔を出した。
「あ、おかえりなさい、ごめんなさい…ドムさんの所、新人が行くようなところじゃなかったみたい…怒られなかった?」
おっちゃん、ドムっていう名前なんだな…まあ体型的にはぴったりか?
「いや、大丈夫だったよ。ありがとう、おかげで助かったよ。」
本当にありがと、おっちゃんはいい人でした。
いい短剣も譲ってもらったし…感謝しかない。
「本当?よかった〜ドムさんコワイ顔してるから大丈夫かなーって思ってた。」
顔は関係ないな。
「ハー、この人があなたの受付した人?」
様子を見ていたお姉さんが、ロゼちゃんに声をかけた。
「そう!この人!」
「分かったわ、ありがとう戻っていいわよ。」
なんか別の仕事やってるみたいだ、手を振って奥に引っ込んでいった。
「うちの娘がご迷惑をお掛けしました…失礼ですがお名前を伺ってもよろしいですか?」
娘さんなんだねやっぱり、似てるもんな。
「いえ、こちらも助かりましたから…えー、私はタイガと申します、今後ともよろしくお願いします。」
最初に名乗るべきだったな、何も考えてなかった…
「これはご丁寧に有り難うございます、こちらこそよろしくお願いします。私はローラ、受付によくいると思いますので、何かあったら声をかけてくださいね?」
ローラさんね、覚えました。
「はい、よろしくお願いします。」
そうして鍵をもらい、夕食が食べれるとのことだったので食べてから部屋に戻った。
あーベッド最高〜
頭から突っ込んで体の力を抜く…………
一日大変だった…
長かったような、短かったような。
いろいろありすぎて頭パンクしそう。
でも、明日やることは決まってる、迷宮だ!
シンプルにそれだけ…
フフフ、勝手に笑てしまう。
どこまでやれるか分からないけど、ぶっちゃけ楽しみだ。
不安はなくはないけど…期待がそれを上回る。
向こうでこんな事なかったもんな……
正直言おう。
ぐぬぬぬ……ハー…
あの学校からの帰り道…
意に沿わない事言われただけでいじけやがってくそー!
何が全て噛み合わないだ!
自分から諦めて離れただけだろーが!
くそー、は、恥ずい……
ライセルさんに言われて、失ったのを気づいたとき……自分が、向こうで何をあの時考えてた?求めてたかも、薄っすら分かった…
簡単に言うと…ぐう〜っ!
かまってちゃん!かまってちゃんだった!
なんかわかんなかったんだって!
なんか!
向こうの世界で見えてるものが全てだったからか?なんか俺なんかって思ってしまった!自分からは、なにもせづに!
多分、弟みたいにちやほやされたかったんだよなぁ〜あれ…
ほんで家のことも、勝手に自分でやりだして褒めろよって……
何様なんだ貴様わ〜〜〜〜〜〜!
ぐう〜、恥ずい、ちょっと離れて考えればわかるじゃん、自分から、なんかこう…あるじゃん!ね!くそー!
気づいた時には、もうこっちにいた………
帰ることは絶望的な気がする………
帰っても、どの面下げてって気もする……
やっぱ迷惑はかけてんのかな…
分からん!
俺の事で、騒いでる想像がつかん……
悲しいけどね。
でもさこの悲しいのが、かまってちゃんな気もする。
ハー、どうなのか分からない…
ただ、忘れないようにはしよう。
思い返せば、恥ずかしい事ばっかな気するけれど、17年間一緒にいた。
いつからか俺は拗ねてたけど……
でも、それが俺にできる唯一の孝行な気がする…
自己中な解釈かな?
分からない…誰にも相談できないし。
世界違が違ってしまっている。
フフ、情けない愚か者の孝行…
これからこの世界で生きて、生き続けたとしても、それしかできない。
ちょっと涙でるけど、それしかない。
俺の精一杯だ。
まずは…明日。
そして、どんだけ情けなくとも、強くなる事はあきらめないでおこう!
今度は絶対に…自分の在り方は力ずくでもぎ取ってやれ!…………
赤子魔力どうしよう…
だ、大丈夫!それだけじゃないって!
いけるよね?ね?




