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第6話:帰還


 ルークを連れて辿り着いたダンジョンの出入口。

 外から差し込む松明などの明かりが、ダンジョンの中に流れ込んでいた。


「おい、誰か来たぞ!」


 歩く私とルークの人影を見つけた、人が振り返りながら叫ぶ。

 ぞろぞろと他の人達が集まり、入口から出る頃には人が溢れていた。


「クロ殿、クロ殿だ!」


「ルークも居るぞ! 急げ」


 そう言って駆けて来た人達が後ろで歩いていたルークに寄り添い、私にまで近づいて来る。


「私は、大丈夫ですから」


 そっと手を前に出すと、距離を取って歩いてくれる。

 そして私は、歩く先に居るノエルさんと目を合わせた。


「無事に、戻りました」


 私がそう告げると、ノエルさんはほんの少し目を細め、静かに頷いた。

 そして直ぐに、安堵したような声が聞こえて来る。


「仲間を救ってくれて、ありがとう。そして、君が無事で、本当に良かったよ」


 そう言って差し出された手を、私は少しだけ迷ってから握り返した。


「ありがとうございます」


「ダンジョンの中で、何か変わった異変は、あったかい?」


「いえ、特には。ただ、スケルトンなら居ましたよ。沢山」


「スケルトン? 変だな、スケルトンの報告なんて暫く……」


 考える様に俯いたノエルさんが、不思議そうにする。

 そんなに、スケルトンってやっぱり居ないよね。

 私も、帝国に来てからは見てないし。


「でも、倒せたので問題ないですよ。私が王国で相手してたのよりは、マシですよ」


「そうか……なら良いんだ。スケルトンが出た事に関しては、こちらで調べておくよ」


「お願いします」


 そう答えた私に、ノエルさんは頷いてルークの所に向かっていった。


 **


「約束通り、明日の昼過ぎに」


 ダンジョンの警備として残る私に向かって、ノエルさんが話しかけてきた。

 私としては問題ないけど、ノエルさんこそ大丈夫なのだろうか。


「私は大丈夫ですけど、ノエルさんこそ大丈夫なんですか? 他のお仕事とか」


「朝の内に終わらせるさ。それに、重要じゃない公務よりも、君に対する約束を優先した方が、他の皆も怒らない筈だよ」


 それはそれで、怖い気もする。


「分かりました。明日の昼過ぎ、ですね」


「君の方こそ、大丈夫なのか? 余り眠れないんじゃ」


「平気ですよ。朝に寝て、お昼に起きれば」


「余り、無理はしないでくれよ。君に倒れられたら、それこそ大変だ。でも、休みたかったら言ってくれ、元々君が居なくてもどうにかしてたんだ、一日や二日であれば、我々も対応する」


「分かりました。ありがとうございます」


 休みか。

 なんか、欲しいって思わないんだよね。

 私っておかしいのかな。


「必要になったら、言いますね」


 と、返したのは良いけど、このダンジョンがある限りそんな事は出来なさそうだけど。

 ダンジョンか……。


 出て来たダンジョンに目を向ける。

 何処まで続いているんだろう。


 王国で戦っていた頃は、南の大陸から魔物が来ていた。

 けれど、こいつらダンジョンの魔物は、何処から……。


 この世界には、解明されてない事ばかりだ。


「攻略とか、あるのかな」


 ダンジョンを消滅させられれば、私の仕事はなくなる。

 そうなれば、もう少しゆっくり出来そうだけど。


 一人呟いた私。

 それを少し離れた場所から、ノエルさんが見ている事に気づく事はなかった。

 次話エピソードタイトル:『これって、デートかな』

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