第24話:意思
魔力を当てたからか、触れている状態で突然目の前から姿を消した。
後ろを向くと、もう一体の方も居なくなっていて、二体とも元の場所に戻っている。
この場所に入って見た時と変わらない、台座の左右にただじっとしていた。
やはりあのダンジョンコアは、彼らにとってはむき出しの心臓の様なものだろう。
恐らくコアを壊せば、活動が止まる。
けれど私は、その台座を守ろうとする様子を見て戸惑っていた。
このまま、帰った方が良いのではないかと。
一度は地上に出ようとしていたから追って来たが、その時がイレギュラーだった可能性もある。けれど、人というのは、その不確定な状況を考慮して我慢出来る生き物でもない。
地上に上がって来る可能性があるなら、倒さないといけない。
ノエルさんを連れて戻った所で、再度大規模な討伐が行われるだけだ。
帝国がダンジョンに向ける余力がないとは言え、明確な危険があると分かっていれば早急に対処する筈だ。残していた所で後々の厄介の種にしかならないのだから。それに手に入れた時の恩恵が大き過ぎる。
だったら、どう倒すかだ。
「まるごと、破壊しようかな……」
「クロ殿!?」
「ご冗談を……」
近くに居た人が私を止めようとする姿勢を見せる。
「この建物は、歴史ある建造物に違いありません! それを壊すだなんて、流石に不味いですよ」
「そうです。それにそうなれば、ノエル王子も我々も! 此処から出て外の森に居ないといけないじゃないですか! そこには別の魔物がわんさか居て危険ですよ!」
思ってたよりも自分の命を大切にしてそうで良いなと思ってしまった。
必死に私を止めようとする二人の間から、ノエルさんが私に近づいて来る。
「僕が一体、引き受けたら。君がもう片方を倒せるかい?」
「えっ? ノエルさん、そんないけいけおらおら、戦闘狂だったんですか?」
思ってもいなかった提案をされ、自然とノエルさんの方を向いていた。
「いけいけ、でも。おらおらでもないよ。それでも、一体ぐらいなら、きっとどうにかしてみせるさ。こっちの理想ばかり条件に加えて、あの魔物を倒そうとするんだ、少しは無茶しないと割に合わないよ」
ノエルさんが剣を引き抜く。
「でしたら、我々を!」
「いや、攻撃しない者に反応しないのなら、君たちは下がっていてくれ」
「ですが――!」
「頼むよ」
ノエルさんの指示で、部隊が下がっていく。
その彼らの表情は、余り納得している様には見えなかった。
「ノエルさん、かっこつけようとしてません?」
「まさか。これでも剣術大会で、一度は優勝した事もあるんだよ?」
「連覇はしてないんですか?」
「僕には、体格の大きい兄が居てね」
「あぁ、それで」
以前お会いした第一王子を思い出し、確かにと思ってしまう。
けれど、それと同時に懸念が生まれた。
「ノエルさん。あの魔物、第一王子よりも大きいと思いますよ? 力も強いですし、何より速さは人の域じゃないと思いますよ?」
「それでもだ。どうにかするよ、だから君は、もう一体をお願いしたい」
「信じますよ?」
「あぁ、任せてくれ。無事に帰ったら、また甘い物を食べに行こう」
「ちょっと、ノエルさん……」
綺麗にフラグ宣言するノエルさんに、私は少し笑ってしまった。
「それは言っちゃ駄目なやつです」
「皆に知られたら、駄目だった?」
「いえ、それは構いませんけど……」
別の意味で返って来た事に驚きつつも、ノエルさん目を見て答えた私は、直ぐに視線を前に戻す。
「良かった」
隣から声が聞こえ、どこか安心する自分が居た。
――誰かと一緒に戦うって、こういう事なのだろうか。
この人となら――。
「勝ちますよ、ノエルさん」
「そのつもりだよ」
いつも『魔術師団の団長ですが』を読んでいただき、本当にありがとうございます。
※明日は25話と26話の2話分投稿予定となります。
こちらで少し活動報告をさせていただきます。
新規短編小説を投稿しました。
下記のリンクから、読んでいただけますと幸いです。
https://ncode.syosetu.com/n8949kx/
何卒、よろしくお願いします。
――海月花夜――




