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第22話:守護騎士


 大きな広間がある神殿内部。

 真ん中にある他と装飾が違う道が、奥の玉座まで伸びている。

 左右には、オーガよりも大きな柱がいくつも並び、神殿を支えていた。

 一つ一つの柱に見た事ない生物が刻み込まれ、左右で二十を超える柱全て重要に思えてしまう。


 ――そしてそれを過ぎた先の玉座には、何もない。

 ただその少し前に置かれた台座には、輝く球体上の物が乗せられていた。


「ノエルさん、あいつです」


 その台座の横に立つ、騎士風の魔物が居た。

 それも、一体だけでなく、その反対側にも同種の存在が待ち受けている。


 左手に水晶玉を持つ個体の仮面は、どこか真新しく、私が戦った相手だと直ぐに分かる。その反対側にいる魔物は右手に水晶玉を持ち、傷ついた仮面をつけて同じようにもう片方で剣を握っている。


「二体居るとはね……」


「すみません。私の索敵ミスです」


 この広い空間に入るまで、この魔物たちの存在は分からなかった。

 それだけじゃない。

 あの台座に乗せられている物から発せられている魔力量は、計り知れない。

 アレ一つで、都市を崩壊させるには十分過ぎる程の貯蔵量だ。


「ノエルさん、あの真ん中にある球体、恐らくコアです」


 コアでなければ、本物のコアなんて見たくもない。

 これ以上の代物が出て来てしまえば、それは人が扱おうと思う事すら駄目な気がする。


「確かに、僕でもあの物体から出ている魔力が感じられるよ。あれが、ダンジョンコア……あれが手に入れば……」


 横目に見たノエルさんは、ダンジョンコアに見入っていた。

 まるで、宝箱を前にする子供の様に思えてしまう。

 

「ノエルさんでも、そんな顔するんですね」


「帝国でも、これ程までのダンジョンコアは、持っていないからね」


 純粋なエネルギーとして、ダンジョンコアは魅力的過ぎる。

 アレがあれば、本当に一生遊んで暮らせるだろう。

 それこそ、帝国内での地位も決まった様なものだ。


 それを手に入れる為には、あの魔物を倒す必要がある。

 どうして、その魔物がダンジョン内を動いていたのかは分からない。


「襲って……来ないね」


 私達が神殿内部に入ってから、暫くしても二体の魔物は動こうとしなかった。

 外に居た魔物達も、徐々に付近から離れて行っている。

 もしかして、中に入った事で私達の魔力も外から探知されづらくなったのかもしれない。


「襲って来ないなら、それにこした事はありません」


 真向から戦って勝てるのかと言われると、分からなかった。

 それも相手が二体ともなれば予測がつかない。

 片方だけでも、厄介だったのに。


「ノエルさん、私が此処から魔術で攻撃しますので、皆さんは下がっていてください」


「分かった」


 ノエルさん達を下げ、私は同じ場所に立ったまま魔術を使おうとする。

 立ち位置を不用意に変える必要はない。


 ――敵が動かない事を願い、私は魔術を起動し始めた。

 

「我が目下に広がる物を、瞬く間に凍らせ・広域魔術――」


 私の前方に魔力が溢れ出したその刹那、奥で二つの影が消えた。

 一瞬にして消えたのだ。

 捉えていた筈の二体の魔物の姿が。


 しかし――直ぐに魔物の姿は、視界に大きく映り込んだ。

 手を伸ばせば届きそうな距離に現れる。

 私の身体を挟む様に左右に立ち、二体の魔物は剣を振るっていた。


 ――左右から迫る刃が、私の首を斬り落とそうと流れる。

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