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第13話:魔物……なの?


 ダンジョンに足を踏み入れた私は、地上よりも濃い魔力に触れていた。

 いつも感じる魔力とは明らかに違う。

 魔力の流れが妙に遅く、空気が淀んでいる様だった。


 視界はいつもより暗く、霧のようなものがダンジョン内に漂っている。その結果として灯りをもたらしている光苔や魔石、魔灯の光を遮り暗い視界となっていた。


「見づらいな……」


 視界に頼らず広げた魔力で地形を確認しつつ、魔物の気配が漂う方向へと足を向ける。

 

 どうしてだろう。

 ただ魔物を倒すだけなのに、向かおうとする足の動きが良くなかった。

 体調も悪くなければ、何か外部から影響を受けている訳でもない。


「もう、慣れたと思ってたのにな……」


 知っている魔物ではないという恐怖が、動きを鈍らせてしまう。

 誰も、隣には居ない。

 私一人だ。


 でも、誰かがやらないといけない。

 それだけを胸に、言葉を発した。


「行こう」


 言葉で無理やり身体を動かし、ダンジョンの奥に向かう。


 *

 

 そして――少し拓けた空間で私は、魔力を放っている存在と向き合った。

 魔力的には魔物ではあったものの、外見から一目で魔物と言うには迷いが生じてしまう。


「人……いや、でも……」


 全身黒い鎧を身に着けた上から黒いフードを被り、白い仮面に覆われた顔。

 左手には透明の水晶玉を持っているものの、右手には長い剣がしっかりと握られていた。

 黒いフードを被った魔物が、私に近づいて来る。魔物が背筋を伸ばし真っすぐ歩を進めるその姿は、魔術を扱うものではなく、威厳のある騎士だと私に思い至らせていた。


「魔物……なのよね」


 魔力以外を見れば、人だと言われるのなら信じられる。

 それ程までに、知性が感じられた。

 立ち止まった魔物が剣先を真上に向け、体の前でピタリと止める。そして、剣が綺麗な弧を描き下から右に流れたかと思うと、次の瞬間には私に迫っていた。


 返されたのは、言葉ではなく――攻撃。


 肉薄した魔物が、私目掛けて剣を左下から振り上げ始める。

 驚く間もなく、咄嗟に魔力で身体を横に動かした直後――目の前を剣が通り過ぎていく。

 恐ろしく速い剣速が風を切ったかと思うと、切っ先が触れていない地面が裂けていた。


「凍てつけ――」


 魔物が剣を持つ手に再び力を入れるよりも先に、私の足元から瞬時に氷が広がっていく。飛び退こうとした魔物のつま先を氷が捉えるも、直ぐに振り払われてしまう。しかし、ただ下がるよりも余計な力が加わった事で、思ったよりも離れられる事はなかった。


「――絶華(ぜっか)深霧(しんむ)

 

 手の平を前に向け動かすと、現れた白く輝く霧が瞬く間に敵に向かった。

 爆発的に膨れ上がる霧から逃れらず、魔物の体に触れた途端に体を凍らせる。


「炎よ――剣となれ」


 相手が動き出すよりも前に、炎の剣を右手に持つ。

 凍っていた魔物の体から氷の破片が崩れ落ち、直ぐに抜け出す。


 魔術を使おうと魔力を動かした、その刹那――魔物が動いた。

 気づけば目の前で振り上げていた剣を、振り下ろそうとしている。


 身体を回転させながら半歩斜めに動き、攻撃をかわした私は――炎の剣を振るった。

 振るうと同時に、魔力を帯びて伸びた剣先が、完璧な間合いで避けようとした魔物の仮面に鋭い裂け目を刻み込んだ。


 そして、攻撃を受け亀裂の入った仮面が――地面に向かって落ちていく。



投稿が遅くなってしまい、すみません。

明日は21時頃に、投稿予定です。


――海月花夜――

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