世界統一戦争終結
お久しぶりです。
なんか、降りてきました。本編はまだ先になりますが、暫しお付き合いください。
「王よ、お逃げください!」
「いや、無駄だ」
「その通り」
謁見の間に集まっていた家臣たちが息を呑む。
「さっすが獣人。すばしっこくて探すのが大変だった。だがここまでだ。貴様の首があればこれ以上無益な血が流れることもあるまい」
「血迷ったか、魔人の王よ・・・・!」
「いいや、冷静だ。冷静に。慎重に見極めた結果、この世界を我ら魔人族が統一することにしたまで」
「くぅっ・・・!我が首があれば、家臣たちには手を出さないと約束してくれ」
「がるぁ!」
「こういう馬鹿がいない限りは約束しよう。但し、火の粉は払うぞ」
「皆のもの!この場は手を出すな!」
王たちの会話に割って入ろうとした若者は焼け焦げて首を掴まれる結果となった。獣人は総じて身体能力が高く、危機察知能力も高い。魔人は魔力を始めとする能力が全体的に高い。若者の奇襲が失敗した時点でこの場にいる家臣たちは動けないでいた。
しかし、忠誠を誓う王の危機でもある。
意識は動けと命じ、本能は動くなと命じ、結果として獣人の家臣たちは血が滲むまで歯を食いしばり魔人の王の姿を睨むことしか出来なかった。
「では、さらばだ。獣人の王。これでこの世界は我ら魔人族のものだ」
「お待ちください兄上!」
謁見の間に現れたもう1人の魔人族の男に、獣人の家臣たちは警戒を強めた。
「もう、このようなことは止めてください兄上!」
「何を今更。戦争は終結させなくてはならぬ」
「ならば兵たちに知らせれば済むことではありませんか!獣人の王の御印をとらなくても、済む話です!」
「いいや。いいや、意味が違うぞ。私はこの世界が欲しいのだ。そこに他の王は邪魔にしかならぬ。よからぬ事を考える者も出るだろう。それらを無くすためにも、完全なる支配をする」
「兄上・・・・・すみませぬ」
「ぐあっ!」
魔人族の男の指から放たれた光が魔人の王の首を貫いた。
「貴様、ノアァァァ!」
「私が王として立ちまする」
次いで放たれた光が魔人族の王を確実に殺した。
「獣人の王よ。和平を結びたい。我こそは、新たなる魔人の王、ノアなり」
「かたじけない」
そうしてすぐに和平が結ばれたことは魔人族の魔法により世界中に知らされた。
「ノア、大丈夫ですか?」
「大丈夫、少し寝てしまったようですね」
正式な和平がなり、50年余り。ノアは王としての道を歩いている。その隣には獣人の姫がいる。
今は魔人も獣人も関係なく、全ての亜人が世界のあらゆる場所に行ける時代。戦争に使われた魔法は平和利用を計画され、即座に転用。人々の生活を豊かにした。
しかし、それはノアに兄殺しをさせた上での平和。たくさんの血が流れた結果の世界。
ノアの心を含めた犠牲の上での世界。
ノアの統治を心良く思わない者もいる。
またここに、新たな風が吹こうとしている。