第七羽 Japanize Life独立
五月三十日、YouTubeで竹取物語のMVを配信をした。でも、再生回数が伸びなかった。
今週の土曜日、JLは無許可会議を始めた。
「三曲目は、米前稔貴の『京都旅行』を元にするのは。」
「いいね。」
「いいと思う。」
「私たち全員でやろう。」
「作詞作曲編曲、振り付け、MV撮影もやろう。」
「全員やって、日本武道館へ行くぞ!」
「おー!」
JL全員は日本武道館を目指すため、京都旅行の作詞作曲編曲、振り付け、MV撮影を自分たちで制作し始めた。作詞作曲編曲をする場所は一誓の家。振り付けの場所は、僕の家。MVの撮影場所は京都。春と秋は嵐山。夏は八坂庚申堂。冬は金閣寺。最後はPanelcafe京都。
子供たちは計画を立てた。ダンスのスタッフ、ダンス講師にバレることなんてない。なぜなら、ミッキーがマネージャーだから。大丈夫、安心安全だ。子供たちの未来は今、動いている。
一週間目の土曜日
「さぁって。今から作詞作曲編曲をするで。」
一誓は兄のパソコンを使ってみんなと作詞作曲編曲を始めた。
「まずは作詞からね。」
里沙は兄のテーブルにルーズリーフと筆箱を置いた。
JLは京都旅行の文章をそのままルーズリーフに写した。
「次は作曲だな。」
みんなはコミュニケーションを取りながら作曲制作を始めた。
作詞作曲が終わったら、次は編曲と確認。
曲のテンポは、Adoの『夜のピエロ』に少し似ている。
「ようし、これでOK。」
真吾が学校の宿題を終わらせた顔をした。
「じゃあ、今から、四本のUSBメモリに曲を保存しようか。」
晴子は赤、青、紫、黄色の四本のUSBメモリを出して、兄のパソコンに差した。
四十分後、四本のUSBメモリの保存が終わり、晴子は三人に三本のUSBメモリを配った。
里沙は赤。
香奈江は黄色。
真吾は青。
「みんな、いい、この計画は絶対にバレてはいけないから。バレたら、即効終わりだから。」
晴子は三人に注意事項をした。
「明日は、私の家で振り付けをやるから。バレないように来てね。」
「晴子さん、バレたらどうなりますか?」
真吾が右手を挙げながら晴子に質問した。
「バレたら、熱々のフライパンで叩き殺されるか、謎の部屋で子供用のスケボーパークが殺人事件の現場になる地獄絵図動画を見せられるかの地獄の選択。」
晴子は恐い答えを言った。
晴子が言った恐い答えは実際にあった小学校の怖い罰ゲーム。
二週間目の土曜日
みんなはUSBメモリを持って晴子の家に集合した。
「みんな、今から、ダンスの振り付けをするよ。」
晴子はNHKのタレントみたいに元気な声を出した。
枕草子の振り付けのテーマは和風。みんなそれぞれ振り付けをした。
五時間後、五人の振り付けが完成した。
「振り付けの確認ができたら、二週間後の土曜日、みんなで京都に行こう。」
五人はダンスの練習、リハーサルを重ねてから二週間後の土曜日の準備をした。
三がとんで四週間目の土曜日
ダンスのリハーサルが終わったJLは早起きをしてミスタードーナツ前の十三駅に集合した。今日はMVの撮影をするためミッキーとなっちゃんを入れて京都に行く。ふたりはJLが独立していることを知っている。
集合した七人はICカードを使って阪急電車に乗った。終点は大阪梅田。七人は大阪梅田から桂に行くつもりだ。嵐山に行くには、京都線の桂駅を降りて嵐山線に乗り換えなければならない。
嵐山に着いた七人は早速渡月橋をスマホやデジカメで撮影をした。
ミッキーはカバンからビデオカメラを出してMVを撮影し始めた。
MVの出演者はオレンジ色のカワセミ、前田ウィング。
二つ目のバースエメラルドを手に入れることを考えながら嵐山を飛び回った。
撮影終了後、七人は嵐山観光をしてから八坂庚申堂に行った。
八坂庚申堂に着いた七人は願い玉にそれぞれの願いを書いた。
オレンジ色の玉『バースエメラルド七つ全部揃って欲しい。前田ウィング』
赤い玉『歌とダンスが上手くなりたい。 里沙』
緑色の玉『歌とダンスが上手くなりたい。 一誓』
紫色の玉『歌とダンスが上手くなりたい。 晴子』
黄色い玉『歌とダンスが上手くなりたい。 香奈江』
青い玉『歌とダンスが上手くなりたい。 真吾』
銀色の玉『あの謎夢が見たい。 ミッキー』
ピンク色の玉『あの謎夢が見たい。 なっちゃん』
僕が願い玉を飾ろうとした時、あのアメリカ人の名前が書いてあった。
金色の玉『MWVSS・Z・H in大阪 ハチ』
ハチ、京都に来ていたのか。なぜ、ハチは僕の家を知っているのだろうか。もしかしたら、ハチは賢治さんの仲間なのか。
僕の頭の中はハチになった。
僕が考え事をしていると、香奈江が「ウィング、今から撮影するよ。」と声を掛けた。
声を掛けられた僕は七人と一緒にMVの撮影をした。
撮影終了後、七人は金閣寺へ向かった。金閣寺と言っても、雪は無いけどね。
金閣寺に着いた七人は早速MVの撮影を始めた。
僕は金閣寺の周囲を飛び回った。
撮影終了後、Panelcafe京都へ向かった。そこで最後のシーンを撮影してからふわふわのパンケーキを食べた。ほっぺが落ちそうで甘かった。
MVの撮影終了後、七人は京都河原町駅に向かった。
駅に着いた七人は京とれいんに乗って家に帰った。
一週間後、京都旅行のMVを公開した。
僕が京都の観光名所を飛び回っている姿がしっかり映し出されている。
再生回数は一億回。これで二個目のバースエメラルドをゲット。
僕とミッキーはビルボートランキングを見た。
デビュー曲の『満月桜』が日本とアメリカのランキングで一位になった。史上最年少だ。
翌日、ふたつ目のバースエメラルドが家に届いた。
ミッキーは段ボール箱を開けた。中身は水色のバースエメラルドと一枚の手紙。
ミッキーは手紙を読んだ。
「京都旅行のMV、一億回再生おめでとう。次のMVを楽しみにしています。 ハチより」
ピンポーン
JLの子供たちが来た。
子供たちは家の中に入って「お邪魔します。」とお辞儀した。
お辞儀をした後、子供たちはふたりの前に立った。
「実希人さん、夏さん、先週のMVの撮影の協力をしてくださり、ありがとうございました。」
子供たちはふたりの前で感謝の土下座をした。
次の曲もこういう感じで作っていくのだろうか。
僕は子供たちの成長を今でも見守っている。




