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俺の人生は雨のち雨!?  作者: へたれ度100%
第1章 俺の人生が180度回転!?
6/12

家族

部屋に閉じこもってどれほどたっただろうか・・・


俺は1つの決心を胸にドアを開き、再び基地司令業務室へと向かう。


道はまっすぐだったので、いくら物覚えの悪い俺でもわかる。

ただこの道が先ほどよりもずっと長いように感じた。


人もまったく歩いていない。

前を見れば、まるで北海道の道の室内版のような感じである。

そこは少しの寂しさを映し出しながらも、心が自然とゆるぐ。

この静けさとは逆に俺の決心はメラメラとうるさいほどに心のなかで燃え上がっている。



そんな果てしない道を歩いていき、ようやく基地司令業務室へとついた。

ゆっくりとノックをする。



「どうぞ。」


中からは竜胆の声が聞こえ、俺は静かにドアをあけて中に入る。


部屋のなかは先ほどと変わらず、重たい空気だ。

ただ、皆はもういなくなっていて、なかにいたのは竜胆たった1人。

それでもかわらないこの重たい空気は、基地司令官という大きな存在がいるからであろうと思われる。



「・・・どうだね?心は落ち着いたかね?」

「はい。」



机の上には、まだ先ほどの母のかばんの置いてあった。

「はい」とは答えたものの、やはりそれを見ると精神的につらいものがある。



「あの・・・皆は?」

「彼らは各自の部屋に戻ったよ。」


なんだ・・・

皆にも報告したかったのに。

そんなことを思う俺がいる。


だが、実際報告して何になる?

ここの基地司令は目の前にいる男である。

故に俺がどの部隊に配置されるかは、彼次第。


それに、まだ戦うということすら彼にはいえていないのである。



「あの・・・俺には「リクルート」の力があるってホントですか?」



先ほども何度もきかされたが・・・

やはり最終確認はしてしまいたくなる。


ここで「ない」なんていわれれば、それこそ俺1人ではしゃいでいたことになってしまう。



その答えに竜胆は黙って首を縦にふった。

それから少し俺の近くにやってきて、肩に手を置いた。



「もう少し肩の力を抜きたまえ、そんなに力んでも空回りしてしまうぞ?」

「は、はぁ・・・」



そんなことはいっても、俺はここに和みにきたのではない。

可哀想だと哀れまれたり、慰めてもらうためにきたのでもない。



「竜胆さん。そのリクルートの力を使えば・・・俺は役に立てますか?」

「・・・戦う道を進むのかね?」



彼は急に真剣なまなざしになった。

おそらく俺は試されているのだろう。



「はい。」

「・・・きみは何のために戦うのかね?」



家族の仇を・・・

そして何より、俺と同じように悲しい思いをする人を少しでも減らすため・・・



「俺と同じように悲しい思いをする人を減らすためです。」

「・・・」

「そのためなら、俺は・・・この命、捨てられる覚悟だってできてます。」



実際、もう人生なんてどうでもいい、と心の奥底で思ってしまっている俺がいたことに今気づいた。

当然といえば当然かもしれない。

何しろ、世界で一番大切な人たちを失ってしまったのだ・・・


ただ何もしないで死ぬよりは・・・

せめて人の役にたちたい!!


なんていうことを思っていたのかもしれない。



「死ぬ覚悟ができている・・・だって?」



だが、その言葉で竜胆の目つきはさらに厳しいものとなった。



「きみはゲルレレに殺された家族のぶんまで生きるべきではないのかね?」

「ッ!!」


竜胆の言葉は非常に重かった。

その言葉でようやく「死んでもいい」なんていう精神から目が覚めたのだ。


俺の家族は・・・

死にたくて死んだのか?


そんなわけないじゃないか・・・

俺の家族も、俺と同じように平和な日々を望んでいた。

それだけだった。



「たしかにきみには普通より強いリクルートの力がある。・・・だが、きみのそのような覚悟は認めることができない。もう少し考えたまえ。」



そういって、俺は部屋を追い出されてしまった。




だが、追い出された理由は正しすぎた。

正論すぎた。


俺は、生きたかった家族が死んでしまって・・・

つらい思いをした。

だからこそ、そんな家族の思いと思い出を背負って生きていかなくてはならないのではないだろうか。



「・・・」


自らの発した言葉に後悔を浮かべつつ、帰り道をゆっくり歩いていると目の前から1人の女性がたっていた。




「・・・レン。」

「・・・それ、コードネーム。本名は五十嵐だから。」


と、コードネームといえるべきか、非常に迷いどころなコードネームをコードネームといい張っている女性が言う。



「それに普段、お前に下の名前で呼ばれるのは気に食わない。」

「・・・ごめん。」



俺はそういい、彼女の隣を通り抜けようとした。

すると、彼女は静かにいった。



「お前はどうしたい?」

「・・・え?」



俺は・・・どうしたいのだろう?


戦う気はある。

それはたしかなことだ。

けど・・・戦いたいのだろうか?


本気で戦いたい、と思っているのだろうか。

本気で誰かのために死にたい、と思っているのだろうか。



「戦場ではね、覚悟の浅い奴ほどすぐ死ぬ。しかも「満足」って顔をしてね。」

「・・・」



それはまさしく今からいった俺の未来ではないだろうか・・・

と考えてしまう。



「でも、そんなの自己満足。単に役立たずなだけ。足手まとい。」


ものすごくひどい言い様である。


個人的にはもう少し温かみのある言葉を期待していたのだが・・・

ま、こいつのことだ、無理はないか。




「・・・そっか。」


俺は彼女の言葉に耐えられなくなり、その場をあとにする。


彼女のいう言葉は今からいった俺の将来になる可能性が非常に高くて、想像できてしまう。

だからこそ、それ以上ききたくなかった。



彼女は最後にこういって、逆方向に歩いていった。



「島風にでも相談してみたら?あいつバカだからあんたといい話し相手になるんじゃない?」



俺は今度は島風の部屋へといってみる。

あいつの部屋は俺の部屋に来る前に、紹介されたから・・・

大体の場所は覚えている。



「たしか・・・ここだよな。」



そういって、ノックをするも返事がない。



「・・・」


仕方ないので、とりあえず上がってみる。



「失礼しま~す・・・」


なんて恐る恐る入ってみると、そこにはある1つの写真を見つめ、深刻そうな顔をした島風がいた。


とりあえず、部屋がとにかくごちゃごちゃと散らかっていた。

これぐらい整理しろよ・・・

とか思ってしまう。



「・・・あの~・・・」


彼の私物を踏まないように、歩きにくいが、頑張って地道に進む。



「・・・ん?あぁ、よぅ。てめぇ、人の部屋に勝手に上がってくるなんて、どういうしつけを受けてきたんだ?」


ノックはちゃんとしたんだけどな・・・

それにノックして気づいても、これはすぐに片付けられるレベルではないだろう。




「その写真は?」


写真をのぞいてみると、その写真には1人の男が写っていた。

それは、ここに来る前に強大な力を感じたあの男・・・

「将軍」という名で呼ばれている、「フリューゲル」だった。



「・・・そういう趣味なの?」

「違うわ!!」


あ、キレた・・・

まぁ、当たり前か。



「俺の前のチーム、フレイバーとこいつとは因縁の仲なんだよ。」


フレイバー。

戦いのエキスパートたちらしい。

ということは先ほどにきいた。



「中東で、こいつとは何度もやりあった。が、結局やれなかった・・・」

「・・・」


彼は自らの愛剣、「神風」を見つめる。


それから少しして、フッと我に返ったようにこちらに向いて、「愚痴っちまってすまねぇな」というような苦笑をした。




「で?覚悟は決まったのかい?」


それから彼は俺にきいてきた。


俺は今までのことをとりあえず一通り話してみた。

それに彼は黙って聞き、俺がしゃべり終わると静かにいった。




「ま、最初はよくあるこった。」


意外と軽い答えだった。



「あのレンだって最初はお前みたいな感じだったんだぜ?」


五十嵐が?



「彼女も誰か失ったのか?」

「・・・お前と同じ家族だよ。」

「ッ!!」



家族を失った・・・

それはまさしく俺と同じ状況じゃないか。



「あの時はひどかったって、竜胆がいってたぜ?俺はその光景は見てないがな・・・」


と彼は椅子に深く腰掛けて、一息ため息をついていった。



「お前と同じ思いをしているあいつだからこそ、少し言葉はきつかったかもしれないがお前に考えさせたかったんだろうな。」



・・・意外といいやつだ。

なんて思っている俺がいる。




「ま、結論は、決心と覚悟は違うってことだ。」


決心と覚悟は・・・違う・・・



その言葉が妙に心に突き刺さった。

頭のなかで、グルグルとまわる。



「心のなかである程度の決心はついていても、覚悟ができてなけりゃ意味ねぇ。お前さんは、まだその覚悟ができてないんだよ。」



戦う覚悟が・・・完全にできていない。

だから「死ぬとき」のことを考えてしまう。



「さて、俺は基本的にお前さんが戦う、ってことに賛成だぜ。不死鳥のやつにも報告しにいこうぜ?」

「え?」

「あの天才坊やの意見も聞きにいくんだよ。」



そういって、半強制的に今度は不死鳥の部屋へと向かう。



ノックをすると、今度は「どうぞ」と、隣にいる男と違い、返事が返ってきた。



「邪魔するぜ。」

「失礼します。」

「おや・・・あなた方でしたか。」



部屋は先ほどの誰かの部屋とは違い、とても整っていた。

整理されていて、なんとも和む部屋である。



彼はそういうと彼は再びノートパソコンを見つめる。




「またオークションか?」

「これが結構安いんですよ。」

「知っとるわ!!お前に何度も聞かされたぜ。」



その言葉に不死鳥は苦笑する。




「・・・それで?私にどういった相談ですか?」

「おぉ、よくわかったな、相談って。」

「そうですね、初めての方が一緒ということは、多分そうなのではないかと思いましてね。」



初めてというのは多分俺だろう。

というか、俺しかいないだろう。


俺と島風は手早く今までの経緯について彼に話した。


すると彼は笑みを浮かべた。



「まさに五十嵐さんっぽいですね、ハハハ。」


いや、問題はそこじゃないし・・・




「たしかに西野くんの考えは不安定ですね。1つ伺いますが、あなたの戦う理由とはなんですか?」

「・・・」


それは先ほど竜胆さんにもきかれたことだ。



「俺と同じようなつらい思いをこれ以上出さないためだな。」

「あなたの目的は復讐ではないのですか?家族を殺されたためのゲルレレに対する。」

「・・・」



それは見事に俺の目的に命中していた。

実際6割は復讐、たかが4割と半数以下の考えのほうを皆に言っていた。




「そちらのほうが大きいのでは?」

「・・・あぁ、そうかもしれないな。」

「だったら、そんな美化は捨てるべきですね。」


やはり彼の言葉遣いには温かみがある。

だからこそ、こういう厳しいことを言われたときのダメージは大きい。



「そんな美化で周りをごまかしても、竜胆さんのような方には効きませんし、あなたの思いも伝わりません。」

「・・・」

「ただ、憎しみにとらわれては自らの我を失ってしまう可能性も少なくありません。」



なら・・・

どうすればいいというのだろうか。



「まず、その憎しみを捨ててみたらどうでしょうか?」

「んなの、無理に決まってるだろ!!」


家族を殺されたこの怒りを静めろっていうのは、不可能は話だ。

そんなことをしたら、この怒りを静めた怒りが俺のなかでさらにわく。



「すべて、とはいってませんよ?ある程度捨てて気持ちを軽くするんです。」

「はい?」

「ですから、その怒りをコントロールできるぐらいに抑えるということです。」



コントロール・・・

感情をコントロールすることなんてできるのだろうか。


俺には到底できそうもない。


感情というのは時と場合によって生じるものだ。

それをコントロールできる人なんているのだろうか。



「少しは五十嵐さんを見習うといいと思いますよ?」

「・・・」



あいつは家族が殺されたというのにもかかわらず、戦いのときも冷静だった。

たしかにそれなりの憎しみはあるのだろう。

だから「ゲルレレをこれからも殺さないといけない」といったのだろう。


けど、今、俺が戦場にでたら果たして彼女のように冷静でいられるだろうか。

調子にのって特攻!!

そして玉砕!!!


という道になってしまう気がする。




「怒りと記憶というのは、時間によって薄められていくものです。ですので時間に頼るという手もありますが、それは正当な解決法ではありません。」


つまり、自らの意思で感情をコントロールすることが正当な解決法だというのだろうか。



「あなたには、正当な解決法ができると思います。」



その自信はいったいどこからくるのやら・・・

俺には全く自信がない。


この怒りが・・・ホントに自らの意思で抑えることができるというのだろうか。



「さて、五十嵐さんのところにもいきましょうか。」

「だな。俺らはいうべきことをいった。あとはお前と同じ思いをした五十嵐の意見を聞けば大丈夫だろ。」


何が大丈夫なのだろう?



俺は「感情のコントロール」という大きな課題を前に途方にくれていた。

この先が思いやられる。

天井をみて、少しため息をついた。



「おい、置いてくぞ?」

「あ、悪ぃ。」



そんな天井をボォ~と見ていたらいつの間にかおいていかれていた。



五十嵐の部屋へは意外と遠かった。

何度も曲がったので、もうどう帰るかはわからない。



彼女の部屋の前でノックをする。

が、返事がない。


俺はドアに触れようとすると、島風にとめられた。



「おいおい・・・女性の部屋に勝手に入るのはいくらなんでもまずいだろ?」

「そうですね。ここはもう1回ノックをして、彼女がでてくるのを待ちましょう。」



んなこといったって・・・

でてこなかったら、どうするんだし・・・



もう1回ノックをして、待ってみる。

すると、ドアが開いた。



「悪い、シャワーを浴びていた。」



彼女のいうことはホントらしく、髪が濡れていた。


とりあえず彼女の部屋にお邪魔する。




「何の用?できるだけ早く済ませて。もう1回シャワーに浴びたいから。」



・・・また入るのかよ・・・



「俺は・・・どうすればいい?」


とりあえず単刀直入にきいてみる。



「知らないわよ、そんなの。それにそういうのは自分で決めなさい。」



先ほど俺はこいつを「意外といいやつだ」と思ったが・・・

それは撤回しようか・・・




「私があなたの進むべき道を決めても、それはあなたの進むべき道の価値にはならないから。」


・・・やっぱいい奴かもしれない!



「俺は・・・家族を失った。この怒りはどうやって静めればいい?」

「完全に忘れたいなら、やってあげてもいいけど。」



そういうと、彼女は刀を持つ。



「ちょ!待て、それはダメだから!!」

「・・・そう。」



すると彼女はしばしの間、目を閉じた。

それからゆっくりと目をあけて、いった。



「もうきいたでしょ、そこの2人から。」

「あぁ、お前も家族を・・・」

「えぇ。でも、私はできることなら家族のことなんて忘れたい。」



どうしてそんなことがいえるのだろうか・・・

俺にはその考え方がわからない。




「いつまでも苦しい思いを覚えていても胸が苦しいだけ。だけど、忘れるわけにもいかないもの。・・・だからよりつらいの。」

「・・・」

「あなたもそうでしょ?ホントはつらい思いなんて忘れたい。けど、そしたら家族たちの「生きたかった」という思い出すら消してしまうことになる。せめて生き残った私たちにだけは生きて欲しいという家族の最後の思いすら・・・消えてしまう。」



その通りなのかもしれない。


俺も・・・ホントはこんなつらい思い出なんて消したいのかもしれない。

けど、何があっても忘れるわけにはいかないんだ。




「感情をコントロールするなんて無理。実際は耐えるしかないのよ。」

「・・・強いんだな。」



俺は気づいたら言葉がでていた。


彼女は強すぎる。

俺は彼女と違い、そこまで強くなんてない。

だから耐えるなんてこと・・・



「でも私は家族が死んだことを「はい、そうですか」で終わらせるつもりもない。だから「旋律の剣」に入った。耐えるときには耐えて、やるときはやるの。そうやって私はここで生活してきた。」



俺には、その「耐えるときには耐えて、やるときにはやる」といった区切りがどうしてできるかが知りたい。

今の俺は、もし彼女なみの力があればゲルレレに出会えば、おそらく絶対特攻をしかけるだろう。




「俺たちはチームだ。チームってのはいいもんだ。お互いの痛みも分かち合える。」

「えぇ。ですから誰かが狂気に飲まれたら、必ず止める。それがチームメイトとしての役割です。」


彼らの言葉が非常に心強く感じる。




「私のなかでは、このチームも家族同然。いや、生死をともにしている家族。」

「チームってのは、今では何より大切な存在だからな。」

「だから、仮にあなたが戦う道に進んだとすれば、あなたにもきっといい家族ができるかもしれませんね。」


と不死鳥がいった。




「さて、覚悟は決まったか?」

「あぁ。」

「じゃぁ、もう1度基地司令のところまでいきましょうか。」



再び基地司令業務室までやってきた。

今度は皆からきいたアドバイスを出し切っていくことにしよう!




「・・・少し頭を冷やしてこれたかね?」

「はい。でも俺の意思はかわりません。」

「・・・」


その言葉で竜胆は少し目を細めた。



「俺は戦います。」

「それでは先ほどと同じじゃないか。」

「ただ、俺は生きたいです。命を捨てるような真似はしません。どんなにつらくても、家族のぶんまで生きて、家族のぶんまで生きるとは別の意味の生きる意味をこの手でつかみとりたいんです。」


そう・・・

つかんで見せるんだ。



「本当に生きたいのなら、戦わずにいるべきだと思うが?」

「俺は戦いによって、大切な人を失いました。・・・だけど、そのぶん、戦いによって大切なものが生まれることもあるような気がするんです。」

「・・・」

「このままずっとうずくまっていても、大切なものなんてできるわけがありません。」



俺がその言葉をいい終わると、竜胆は静かに椅子に座った。

それから手を顎にあて、少し考えているようだった。




「戦うことによって、生きる意味をつかむ・・・か。」


竜胆は深くため息をついた。

またダメなのだろうか・・・



「・・・まるで傭兵だな。」

「・・・」

「だが我々「旋律の剣」も戦うことで生きる意味をつかむ者は多くいる。」

「・・・じゃぁ・・・」


もしかして・・・



「検討しよう。」



そう彼はいった。


その言葉で少し体の力が緩くなる。




「やればできるじゃないか。肩の力はそうやって抜くものだ。」


竜胆は満足気な笑みを浮かべていった。



「最後に聞きたいのだが・・・仮に君が配属されるならどこのチームがいい?」


俺が望むチーム。

それは・・・俺を救い、俺がこうして戦う身になるまで助けてくれた理想のチーム。



「俺は・・・ここがいいです。」


そういうと、竜胆は再び満足そうに笑みをうかべた。



「五十嵐がいて、島風がいて、不死鳥がいるこのチームがいいです。」

「このチームは、たった3人と人手不足全開だ。・・・多分決定だろうな、そこの配属は。」



竜胆はそう微笑みながらにいった。



後ろを向くと、微笑んでいる3人がいた。



「ようこそ、西野 騎士くん。」

「これで家族がまた1人増えちまったなぁ?ま、いいことなんだがよ。」

「私は家族が増えるという件については大賛成よ?」


俺は1人ずつ、握手をかわしていく。


その握手はどれも非常に心強い握手だった。

俺の怒りも、ほんの少しだけ和らいだのかもしれない。



「これからよろしく。」

「こちらこそ。」



俺は今度こそこの手で守り抜くんだ。

この第2の「家族」を。




                       「家族」 完


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