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俺の人生は雨のち雨!?  作者: へたれ度100%
第1章 俺の人生が180度回転!?
2/12

脱出

俺の部屋はあまり広くはない。

そこには、謎の殺人集団3人と俺・・・

そして・・・まだ確認はしていないが、妹が倒れていると思われる。



「あちゃ~・・・完璧に怯えてやがる・・・」

「無理はないでしょう。」


男2人は話しているが・・・

これをみて怯えないほうがおかしいだろ!



「く・くるな!人殺しめ!!」


震えはとまるどころか大きくなっている。


「はぁ・・・」


すると女がため息をついた。



「・・・安心しろ、お前の命は奪わない。」


彼女はそういうと、剣を鞘におさめた。

いくら剣を鞘にいれたからといって、油断はできない。

何しろ、あんなに早くこいつは走れるんだ・・・



「あ、すみません、こっち向いてもらえます?」

「?」


俺はついそちらを向いてしまった。


向いた瞬間に青い光がパッとひろがった。



「・・・お前・・・」


槍をもった男と女はあきれている。



「こうでもしないとまともに話しを聞いてくれないでしょう・・・」

「・・・」


彼は苦笑している。


そのときは気づいてなかったが・・・

あの光を見た瞬間に、恐怖心が消えた。

それどころか、フツーの友達のように見えるようにすらなっていた・・・


これがあの青色の光が原因と俺が知るのは、だいぶ後になる。



それから少しの間があいてから、また女性が口を開いた。


「こいつらは「人」じゃない。」

「・・・は?」


どうみたって人だ。

今まで一緒に暮らしてきた、家族だ!

それを人じゃないなんて・・・

こいつら、何様のつもりだ!?


怒りが芽生えてくる。



「俺の家族が人じゃないだと?」



殺人犯の言い訳にしかきこえない。

こんな殺人鬼どもと・・・まともに話せている自分が怖い。


そしてこいつらは俺の家族を否定した。

それは非常にイラッ・・・

を越える怒りが芽生えてくる。

妹もこいつらに本気で殺されたかもしれない。


そう思うと怒りが抑えられなくなってくる。



「あぁ。こいつらは「ゲルレレ」と呼ばれる化け物だ。」



・・・これは「笑え」っていうことか?

そんなバカげた話、誰が信じるのだろうか・・・



「現に斬ったが・・・血などでていない。」



たしかにそれはそうだ。

よく見てみれば、血などでていない。

だからこそ、誰かが考えたイタズラだという考えが思い浮かんでいた。


けど・・・

今ではその考えも危うい。

こいつらは妹を殺したかもしれないんだ。



「まぁ・・・こんな話を急に言われても信用できませんよね・・・」


そういうと男は香水のようなものを出す。



「よく見ていてください。」


そういうと、それを倒れている妹にかけた。


やっと妹を確認できた・・・

だがそこには無残な光景しかひろがっていなかった。


その光景を見て、一気に肩の力が抜けた。

それは安心などではない。

絶望である。


すべてを失ったかのように力が抜け、ペタンと無意識に座り込んでしまっていた。



「おっと・・・これは失礼。」


彼は香水のようなもののふたをあけつつ言う。

そして再び青い光が光った。



「どうか目を背けずに見ていてください。」


さっきは見るな、といったのに・・・

よくわからない連中だ。


いつの間にかあんなに絶望したはずなのに・・・

妹の無残な姿をフツーに見ている自分がいた。


それから少しして・・・

妹の体が、ぶれ始める。

そして、だんだんと大きくなっていき、見た目もおかしくなっていく・・・


最終的には・・・

毛が長くモジャモジャとしている・・・

キバと爪がとんがっていて長い・・・

目が赤く、体系は人型のような二足歩行できそうな感じの・・・

醜いモンスターのようになった。



「これが「ゲルレレ」の正体です。もっともこいつは偵察が本業だったみたいなので、あまりいかつくはありませんが。」



・・・ありえない話だ・・・

そ・そうだ。

よく映画とかであるじゃないか、こういうの。

きっと何かのトリックがあるんだ・・・




「どうせなら、下に転がってる2体ででも試してみるか?」

「・・・え?」



転がってる?

・・・まさか・・・

まさか!!



「お前の母と父もゲルレレだった。」

「・・・どうしてだ・・・」

「は?」

「どうして殺したんだ!?無抵抗だっただろうが!」



母は叫んでいた。

あの状況から対応できるとは思えない。

父は「やめろ」といった。

無抵抗のしるし。

妹だって・・・何ももってなかったのに・・・




「命令だから殺した。それだけだ。」

「命令?」

「そうだ。」



なんだよ・・・それ。

こいつらのリーダーは命をなんだと思ってるんだよ・・・


俺のなかで怒りが爆発した。



「ふざけんなよ!!」

「さっき使ったばっかなのに・・・短気って嫌ですねぇ~・・・」


と彼は俺をおちょくるかのような言葉を放つ。

それと同時にまたまた青い光がピカッと光った。


「百歩譲って、俺の家族がゲルレレとかいうのだとしても・・・見た目が違うから・・・それだけでどうして殺すんだよ?同じように生きてたのに!」

「ゲルレレは危険以外の何者でもない。」



そんなの・・・わからないじゃないか。

人間が勝手にきめた標準でしかないかもしれないじゃないか・・・




「現にゲルレレに襲われて殺されている人々は多くいる。」

「・・・山のなかでか?」



からかいを入れる。

もうヤケくそだ。

ゲルレレとかいうのが、こんな体をしてるなら・・・

街中でやるのは無理がある。




「ゲルレレは普段・・・人になってごまかしている。」


俺の家族のように・・・

ってか?



「人が人を誘うのはおかしいことではない。人になりきって・・・人気のないところへ呼び、殺す。」

「・・・」



そんな危ない世界があってたまるか。



「それか・・・今の私たちみたいに時間をとめて殺しまくるか・・・どっちかね。」

「時間を・・・とめる?」



たしかに時計は止まっている。

だが・・・

それだけで時間がとまっているなんてわからない。


だが目の前でこれだけ意味わからないことが起こっている。

もう時間がとまったり地球が実は火星だった、なんて話しをされても俺は驚かないだろう。


ま、もちろん信じないが。



「まぁ、時間をとめても、私たちの同業者とゲルレレは動けるからあまり意味はないのだが・・・せめて、普通の人間を相手にしたくないときやバレたくないときに使う。現にゲルレレは時間をとめて人を殺しているから皆がゲルレレのことを知らない。」

「なぁ?じゃぁ、なんで時間をとめても意味がないんだ?いくらあんたらでも動けるだけだろ?」


動けるだけで相手の位置はつかめないだろう?

意味なくないじゃないか。



「時間をとめるというのは、その時間を束縛するということだから結構大きな力を必要とするのよ。その大きな力を私たちか、ゲルレレが探知して、向かう。」

「時間をとめるなんて・・・そうとうヤバイことをしてる印だからな。」


時間をとめると、相手にバレる・・・か。

ということは今も?



「だからあんまり時間がかかるとゲルレレの増援がきたりするのよ・・・」

「それって・・・今も?」



一応おそるおそるにきいてみる。



「えぇ。例外なんてないわ。」

「だから早く撤収したいんだがな。」


男は言う。


・・・ならいっそ早く撤収してくれ。

そのあとに警察に相談して・・・

逮捕してもらう。


いや、その前に風呂に入ろう。

いや、もう一回寝るのもいいかもしれない。


きっとおきたときには、「・・・という夢を見たんだ」というオチになっているはずだ。



「時間をとめているというのは何者かが何かをしているという証拠。だからそれを感じて、ゲルレレも私たちの同業者もやってくる。」



こいつらの同業者ということは、何か組織でもあるのだろうか・・・

だが、命令といっていたから・・・おそらく組織なのだろう。



「ちなみに時間をとめて動けるのは、私たちや同業者のような者か、ゲルレレか、あなたのような才能を持っている人よ。」


そんな才能なんていらない・・・


なんて思っていまさらながらに気づく。

不思議なことにこの話しを俺はいつしか信じ始めていた。

さらに不思議なことに、先ほどまであった恐怖心や怒りがなくなっていた。



「ねぇ、フェニックス・・・あとどれぐらいとめられる?」

「あと10分で限界です。」

「そう・・・さぁ、きて。」



彼女は手を差し伸べる。


誰がいくもんか・・・

いったら何があるかわからない上に・・・

それにもし俺がゲルレレだとしたら、殺される可能性だってあるかもしれない。

そう、妹のように。



「時間をとめるにはタイムリミットがあるの。時間が動き始めたら、普通の人間すら敵になる。」



意味わからねぇよ・・・

こいつらはSF小説とかファンタジー小説の読みすぎなんじゃないのか?



「・・・なんで俺は殺さないんだ?」



素朴な疑問である。

なぜ俺をつれていこうとする?

生け捕り・・・か?


いや、生け捕りなら妹もできた。

それを躊躇なく殺した・・・


なら・・・なんで俺は殺さない。

俺だって、家族がゲルレレとかいうやつだったんだから・・・

ゲルレレの可能性は低くはない。



「あなたは私たちと同じ力をもってる。しかも・・・莫大な力を。」

「・・・は?」

「だからゲルレレがあなたを引き抜くために家族をゲルレレにした。」


ちょっと待て・・・

今、家族をゲルレレにしたといったよな?

ゲルレレとかいうのは、増やしていくのか?

なら・・・なぜ俺はゲルレレにしなかった?




「家族をゲルレレにできる力があるなら・・・なぜ俺をゲルレレにしなかった?」

「ここまでいってもわからないの?あなたの家族はとっくの昔にゲルレレに殺されてたのよ。」

「!!」



ということは・・・

仮にだ・・・

仮にだが・・・

こいつらの話が本当だとしたら、俺は家族を殺した化け物と一緒に食事をしてたということか・・・

今さっきまで・・・


本物は・・・

俺の家族はゲルレレに・・・

殺されていたというのか?



再び大きな絶望・・・

目の前が真っ暗になったようだった・・・

世界が・・・暗くなった気がした。


だが、俺はそんな簡単に人の言葉や運命という言葉やありえない話をあっさりと信じきるような人間じゃない。



「ゲルレレは人々を敵視してる。だから・・・見えないところで人々を少しずつ殺していくの。」

「どうして表向きに殺さない?」

「私たちが出現するから。」



ゲルレレを倒す・・・

いわば「狩人」ってところか。


じゃぁ、こいつらの組織というのは、そんな「狩人」の集団・・・



「相当派手に動いている奴じゃないと・・・人の形をしてごまかしてるときは私たちでもわからないのよ。」

「・・・」



冗談じゃない。

ということは・・・

もしかしたら、そのゲルレレとかいう殺人鬼が街中を普通に人の形をして歩いてるってことか?




「それに・・・あなたからはゲルレレとしての「気」を感じない。」

「・・・」

「・・・どう?フェニックス。」

「調べてみましたが、普通の人間です。」

「そう・・・まだ大丈夫だったのね・・・よかった。」



よくわからないが・・・

俺はとりあえずゲルレレではないらしい。



・・・どうやって調べたのだろうか?



「・・・さぁ、残りのことは本部にいく途中で話す。きて!」



どうする?

信用・・・できるのか?

彼女たちの話はいろいろとすごいし、ありえない。


だが、さきほどもいったように俺はそんな簡単にこいつらのご都合主義なファンタジーを信じたりはしない。

こいつらと話していて覚悟を決める時間は十分すぎるぐらいにあった。

この際、白黒はっきりさせてもいいかもしれない。


・・・だが・・・

最後の確認・・・

そう思っていたときだった。



「・・・」

「まだ信用できてないってか・・・」

「神速、ナイフを貸して。」

「え?あ・あぁ・・・」


男はいろいろと説明してきた女にナイフを渡す。


すると・・・

ナイフで手のひらをきった。



「っ・・・」

「お・おい・・・」


手からは赤い血がポタポタとたれている。



「私たちは人間よ・・・このとおりね。・・・見てて。」


するとナイフできった手のひらを見せてきた。

おい・・・グロいから見せるなよ・・・


・・・ん?

あることに気づいた。

傷口がふさがっている?


そして俺はそんなフツーなら絶対目を背けるような光景をまたしてもフツーに見ていた。

いったい俺はどうしてしまったのだろうか・・・



「私たちは皆、いろんな力があるの。たとえば、私は傷口が直るのが早いし、フェニックスは時間をとめたり、物事を調べられたりできるし、神速は名前のとおり、動きが私たちよりもぜんぜん早い。もちろん、他にもまだあるけど・・・後々にね。」



彼女たちが人間なのは認めよう・・・

そして俺は彼女の傷の治りの早さをこの目でみた。


だから・・・

彼女たちがうそをいっているとも思えない。


そこにゲルレレとかいうのも転がってるし・・・


映画とかのトリックにしてはよくできすぎている。


まぁ、仮にだましだとしたら・・・

家族は生きてるということになるし・・・

殺されたら殺されたで家族と同じところへいける。


・・・もうどうとでもなれ。

とりあえず頼れそうなのは目の前にいる人たちしかいない。




「わかった・・・行くよ。」



もちろん彼女たちの話は俺の中では認めていないことである。



「!!」


が!

いきなり彼女たちの目つきがかわった。


何かまずいことでも言ったか?



「この感じ・・・」

「ゲルレレか・・・チッ、面倒なことになりやがった。てめぇがいつまでもイジイジしてるから!」


んなの、いきなり信じろってのが無理な話だ。



「残り時間は?」

「2分。」

「逃げられる?・・・神速。」

「あいよ!まかせときな!」



すると神速と呼ばれる男は手を広げた。

そして、その手に二人が持っていたロープで自分の体と固定している。



「お前さんも早く固定しな。」


とりあえず俺もよくわからないが、この変な行動をすることにする。

神速の手にロープを結びつけて・・・それを自分の体と固定する。



「できた。」

「よし・・・いくぞ!」


窓が勝手に開いた。

その瞬間、グイッと引っ張られる・・・


というか・・・

いつの間にかどこかのビルの上にいるし・・・



「起きた?」

「・・・あ・・・あぁ・・・」

「お前、完璧に気を失ってたわよ?」


てか、気を失ったショックで今日のことを忘れてたかった・・・

ところが、うれしいことに!

記憶はバッチリと残ってる。




「今は・・・」


風が吹いている。

時間が動いているということか・・・

まぁ、さっきの時間がとまってたというのはこいつらがいってただけで、実際どうだかしらんが。




「あなたの家にはもう戻れないから。」

「は?」

「さっき逃げるときにパトカーを1台見てな。・・・時間がとまってるなかで動いてたということは・・・」


ゲルレレが運転していたということか・・・

つまり・・・

ゲルレレとかいう奴らに、家は占拠されたと・・・



「とりあえず・・・本部に向かおう。」

「ここからは歩くぞ。」

「・・・なぜあんたの力を使わないんだ?」



神速と呼ばれる男の力を使えば、すぐ基地にもつけるのだろう?




「あのなぁ・・・何事にも限度ってのがある。さすがにきついんだ。」

「へぇ・・・」



とりあえずついてく。


今の状況が彼女たちのいうことが正しいとしていたら・・・

もう死んだほうがマシなのかもしれない。


本部とやらについたら、「はい、どっきり終了!」

みたいなノリであることを期待するしかない・・・



仮にホントだとしても・・・

父さん・・・母さん・・・妹・・・

頼む、殺されたなんてことは・・・

ない方向で頼む。


そうだ、もしかしたらこいつらが知らないだけで・・・

こいつらの同業者が保護してくれているかもしれない。



そう・・・

夜空の星々に願うしかなかったのだった・・・



                                 

                             「脱出」  完

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