表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

15/29

14.潜入捜査(13)指標

14.潜入捜査(13)指標インジケータ


 背後から近づく足音に違和感を覚えるぼくだったけれど、ミシェルが見ているので安心していた。


 どうしてそんな足音を消す歩き方をするのか分からない。第一、音は消えていないし。


 さっきドアを開け閉めした空気の流れも感じていた。


 人数は一名。歩幅から身長は一七〇cm前後。その身長にしては足取りは軽く――体重が軽いので、女性か少年。


 レディ・ベルであれば、ミシェルは立ち上がるだろうから、ミランダだろう。


 ミランダの匂いはしなかったし、フリーダならミシェルが何かしらの反応をするはずだ。


 ぼくの背から、スマートフォンをのぞき見した。


 すぐにアプリを閉じた。


「情愛にかられて罪を犯すだけの知性もないということです」


 ミランダだった。男子寮らしく、スラックスのセーラー服を着ている。


 となると男性扱いになるので、立ち上がる必要はない。


 女性がテーブルにやってくると、男性は立ち上がるというルールがある。


「進展はどうですか?」


 二三、言葉を交わしたあと、向かい席につくと本題に移った。


「何も。――マイケルには近づけなかった。避けているんだろうな」


「気になる人物はいましたか?」


「いいえ。獲物が増えて興奮するタイプではないのかと。――敵がここにいれば、の話ですが」


 こう目立ってしまっては隠密行動ができる訳もないし、指標インジケータという名の生き――つまりぼくに敵が食いついてくるのを待つしか方法がない。


「どのような場合にも適切な対処を求めます。イザベルお嬢さま優先で」


 再確認。


「もちろん。ただ……」


「――ただ?」


「マイケル君の警護はしなくていいのですか?」


「この学校はセキュリティがしっかりしているので、特に気にする必要がないでしょう」


(ということは……)


「別に他の誰が――あなたやそこのイット(コレ)、私を含め、どうなろうとアセックス卿はお気になさいません。必要であれば、喜んでその身をささげてくれとおっしゃられるでしょう」


(ですよね……)


「青いブルーブラッドですか……」


「貴族はそうしたものでしょう? そしてそれを口にしない美徳もあります」


(美徳……)


「さて、休みましょう。――部屋にご案内します」


「……」


「ああ、私と同室です。――ああ、イット(コレ)はフリーダの部屋に」


「レディ・ベルは?」


「個室です。フリーダの部屋と続きになっています。ご安心を」


「あなたと同室はどうかと……」


「獲物を前にした敵がじっとしているとは考えにくいですからね」


(眠れそうにないなあ……)




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ