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1.絶体絶命

『銀と灰:賭けのテーブルでメンバーを見回してカモがいないなら自分がカモである――お気楽ミステリーをどうぞ――』

〝The Silver and the Ash〟


二十世紀後半の英国イングランドのパブリックスクールで奇妙な殺人事件があった。調査を任されたのは銀髪のミシェル・ラングレイ(Michel(le) Langley)とぼく――アッシュ・オオタニ(Ash Ohtani)の二人。潜入するも敵にバレてしまい、絶体絶命に。


M「さて、どうしませう」

A「可愛い顔をして言うな! 全部お前のせいだろうが!」


お気楽ミステリーをどうぞ。

#重複投稿




*****


1.絶体絶命


 友人は選んだほうがいい。


 本当にそう思う。


 好奇心は身を滅ぼすというが、とにかく友人は選んだほうがいい。


 心からそう思う。


「あとドレくらいかしら?」


 美しい銀髪がぼくの肩にかかった。ぼくと背中でつながれているのは美少年ミシェル・ラングレイだ。仏系らしく〝H〟の発音があまい英語だ。


 今は女装しているので〝le〟がついた〝Michelle〟なのだろう。発音は同じなのに、表記を気にする変な友人だ。


「もう朝になった?」


「なっていない。敵の言うことを信じるほうがどうかしている」


 ぼくが静かな口調で返した。BBC英語――容認発音(RP)だ。気取っているといわれるが、ミッションスクールで学んだにすぎない。


『朝までにはこの水が満たされるだろう』


 それに『朝までに』とは、五分後も意味する。


 ロープにつながれた二人は水牢で朝を待っていた。その間も水が浸入してきている。


 ミシェルがじたばたした。


「動くな! また締まったじゃあないか!」


 濡れたロープはほどきにくい。


「だってどうにか動かないと――」


 こちらを向いた怒り顔のミシェルにキスをした。


「……」


 ようやく黙ってくれた。


 締まる前に挟んでいた指からロープをほどいた。


 もう腰下まで水が来ている。


 閉じられたドアを確かめたけれど、鍵がかかっていた。当たり前だ。


 おまけに内開きで、水圧で開くとは考えにくい。


 壁上の窓に半月が見えた。


(とすると……)


「なるほど」


「ナニが『なるほど』よ?」


 濡れ髪を気にしていたミシェルが返した。


「上弦の月だ」


半月クォータムーンがナニ?」


「待つ」


「はあ? バカじゃあないの?」


 言うと思った。





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