89話 Watch Cat 07
”ヴァレスト”
「・・・うー・・・」
”おーーい!ヴァレスト!”
「ん・・・が」
”起きろってば!!”
「ぐおっ!・・・がぁっ!!」
───よし。
鼻を叩いたら、ようやく起きたぞ。
「マルシェル、てめぇ!何しやがんだ・・・!」
”そろそろ、お昼なんだけど。いつまで寝てんのさ?”
「ずっと・・・ふぁ・・・寝てたわけじゃねぇよ・・・。
起きて、朝メシ食ってからまた寝たんだよ」
”それ、何の自慢さ?
夜更ししてるから、おかしな睡眠周期になるんだよ”
「お前だって、夜型だろうが」
”猫と張り合うの、やめてくんないかな?”
───まったく、もう。
何だよ、こいつ。
最近、散歩の度に纏わり付いてくる、人間の子供がいるけど。
あれのほうが、まだ可愛げがある。
いや・・・うーーん。
あれもあれで、アレかな?
「・・・他の連中は、どうした?」
ガシガシと頭を掻きつつ、ソファから身を起こすヴァレスト。
まだ寝惚け眼だ。
”みんな、お仕事で出てるよ。
ほらっ!髪、ちゃんとする!ネクタイも!”
「だあああっ!頼むから、俺のことは放っておいてくれよ!」
”だめだめ、お断りだね。
『ご主人』から、ヴァレストの監視を頼まれているんだよ”
「『ご主人』って───ああ、じゃあ、姉貴に伝えてくれ。
『そういうのは、マギルで十分に足りてる』って」
”・・・あのさあ。
足りてないから今、こーゆー事になってんじゃん”
「・・・・・・」
はい、論破!
ボクの勝ち!




