85話 Watch Cat 03
どんな簡単な事でも。
簡単に思えた事でも。
始めてからすぐ、というのは意外にも、上手くいかないものだ。
大抵は、最初の考えを改め、手直しが必要になってくる。
当事者の意見を聞いては、吟味し。
何度も細かく、修正する。
繰り返し。
繰り返し。
───それがまあ、真っ当なやり方だろうけれど。
でも。
『これ』は、不自然だ。
多くの種族が誕生して。
結構な時間が経って。
強い、弱いの差はあれど、何とかバランスを取りながら暮らしている、現在。
そう。
この段階になってから。
”集まれ”、ときた。
・・・間違い無く、『罠』だ。
神様は確かに約束通り、願い事を叶えるだろう。
その代わりに。
全ての種族の、『個体数を減らす』つもりだ。
最近、『ニンゲン』という、新しい種族が誕生したから。
おそらくは、それをもう少し生き残り易くする為に、他を減らすというわけだ。
虎は、牙を強くしてもらい。
知らぬ内に、一度で産まれる仔の数を少なくされるだろう。
ネズミは、素早さ・・・いや、アレは半端に賢いから、早く仔が産まれるように頼み。
知らぬ内に、寿命を短くされるだろう。
あの『ニンゲン』とやらはどうも、神様のお気に入りらしい。
要領良くやるなら、『ニンゲン』がもう少し増えて強くなったところに、取り入って───
(・・・まあ、それはずっと後でいいや。
大切なのは、3日後の立ち回り)
(神様のところへ行かなくても、猫の数は『減らされる』に違い無い)
(そうすると、猫は1つ損をして、得は無し。
他の種族は、1つ損をして、得を1つ)
(・・・このまま終わって、たまるもんか)
(ちょっとばかり、代償は大きいけれど。
───『猫達』の繁栄と、自由の為)
王様は、丁寧に前脚を舐め上げてから。
ぐい、と背を伸ばし、欠伸した。




