表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
77/738

75話 自己責任と、贈り物 01


【自己責任と、贈り物】



 ───風が吹く。


 山の向こうから。

 海の彼方(かなた)から。



 ───風が、時間を運び。

 人を動かしている。



 薄く白煙を上げて、車両が通り過ぎ。

 信号機の下、ストロー付きのカップを手に語らう姿がある。




 ・・・ここは、沢山の『風』が吹いたのだ。


 ・・・そして、変わった。



 決して、悪い事ではない。


 道行く人々の表情が明るく。

 暮らしが豊かならば、その方がいい。



 ただ、『風』の流れが変わった時、自分はここにいなかった。

 それだけの話。


 ほんの少しの後悔と、懐かしさ。

 寂しさがあるだけで。





「昔は・・・露店を冷やかしながら、骨董品屋を回ってたもんだ」


「例の、宝探しですか」


「おう。宝探しだ。竜はみんな、『収集家』だからな。

 当時の上海(ここ)は香港と同じく、『魔都』なんて呼ばれてた」


「各国の諜報組織が、入り乱れていた時代ですね」


「人だけじゃなく、物もだ。

 100の商品の内、50は真っ赤な偽物。

 だが、1000の内に1つくらい、『掘り出し物』があって。

 胡散臭くて、わくわくして。

 妙な熱気と、高揚感があったよ」


「なるほど───ところで、ボス」


「何だ」


「そろそろ、着きます。あそこにホテルの看板が」


「・・・やめろ。俺を現実に戻さないでくれ」


「──────」


「・・・何で俺が、『代表』なんだよ?」


「さあ」


「こちら側の面子(メンツ)、全員俺より位階(すうじ)が上だぞ?

 しかも、バリバリの『好戦派』だ。

 それをどうやって仕切れ、ってんだよ?」


「さあ。私に言われても」


「・・・代わってくれよ」


評議会(メナール)の指示ですから。

 現実を直視してください」


「・・・・・・」


「『責任を取ってこい』、という事でしょうね」


「・・・あ?何の責任だ?」


「色々とやらかした事の」


「おいおい、複数形か?

 一体、俺が何をやった、って───」


「着きましたね」


「・・・代わってくれよ!!」


「それでは、いってらっしゃい」


「ついてきてくれよ!!」



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ