71話 情けない背中 01
読者様の中に、エルフの方がいらっしゃいましたら。
その・・・。
ごめんなさいっ!!
【情けない背中】
「え───な、何で───」
思わず独り言が出て。
呆然となった私をよそに、画面がフェードアウト。
重厚な音楽が流れて。
製作者達の名前と、これまでの冒険のハイライトシーンがスクロール。
ああ・・・えっと。
これで、『終わり』?
『終わり』なの??
・・・何で?
どうして、エルフのミーシアは勇者と結婚したの?
おかしいでしょ、それ?
私としては、盗賊のカリオンが良かった!
勇者は確かに、チームのリーダーで。
世界を滅ぼそうとする『大災厄』を消滅させたよ?
でも、「さあ、行こう!」って前に進むばかりで。
彼の個人的な感情や、人柄に関する描写は、特に無かったよね?
その点、カリオンは。
すっごく魅力的だった。
女の子に声を掛けまくるから一見、軽薄そうだけど。
実は、純真、純情。
チーム一行が次の目的地に旅立つ、前日の晩。
両親を亡くして途方にくれている兄妹に、一人で会いに行ってた。
不作に喘ぐ村人を見て、領主の館に踏み込み。
「今すぐ私財を処分して、村を助けろ!」
「それが上に立つ者の義務だろう!?」、と大演説。
投獄されても、最後まで主張を曲げなかった。
ラストダンジョンで封印の1つを防衛したのは、彼だ。
過去の恨みを忘れられない『四天王・ハーダル』に対して、名言。
「お前は、正しいさ。何も間違っちゃいない」
「俺がお前の立場だったら、同じようにするさ」
「だが───お前が俺だったら・・・きっと、こうするだろ?」
・・・どう考えても、カリオンでしょ?
私がミーシアなら絶対、カリオンと結婚するよ!?
所詮、『ゲーム』の中での物語だから、まあ。
深くは考えちゃいけないのかも、しれないけど。
それでも、こういう『ゲーム』を通して、分かることがある。
それは。
『人間達が思うエルフ』、ってどんなものなのか。
私がプレイしてみた、幾つかの『ゲーム(エルフ語訳版)』。
その世界観や設定で『エルフ』に関するものを纏めると、こんな感じ。
ハイエルフ・・・光の神(?)を信奉する、上位の古代エルフ。
エルフの王族(??)
ウッドエルフ・・・森に住んでいる、普通のエルフ。
ダークエルフ・・・シャドウエルフ、とも言われる。
肌の色が褐色だったり、青白かったり。
邪神(?)に魂を売って、エルフから変わり果てた。
───ん~~~・・・。
ウッドエルフに関してはまあ、特に違和感は無いかな。
身体の特徴、寿命。
子を成し難い、とかも、私達と同じ。
生活様式もほぼ、一緒だ。
けれど、『ハイエルフ』って??
謎すぎて、頭がおかしくなりそう!
『エルフ』は、単にエルフで。
上位~、とか、古代~、とか無いよ?
そもそも、私達は『神』というものを信じていないから。
『無信心』ってコトじゃなくて。
『神の存在』を否定してるから。
あと、『ダークエルフ』ね。
・・・いません!
・・・いないから!(苦笑)
私はそんな存在を聞いたことも無かったけど。
それでも一応、『めーる』で父様に尋ねてみたよ?
───で、返事。
《それは、何かの病気にかかったエルフなのかな?》
ええと。
他に何か、あったかな・・・。
・・・あ、そうそう!
『エルフの森に旅人や狩人が迷い込む』、というやつ。
無理だと思うなぁ。
精霊を知覚して、会話出来なきゃ無理だよ。
そして、それが出来るなら。
『迷い込む』じゃなく、『遊びに来る』だと思うよ?
私の故郷でも実際、いたし。




