70話 Tears of Victors 10
「ブルルオアアアアアアアーーー!!!」
一際大きな叫びを上げて。
ついに『校長先生』が止まった。
ぱたり。
妙に可愛らしい効果音と共に倒れ、動かなくなる。
「・・・・・・やった・・・か・・・」
搾り出した声。
震えて掠れているのが、自分でも分かる。
最終的に、『攻撃』班は3名しか残らなかった。
指示役を放棄した俺が、飛び入りし。
敵対値管理無視、『校長先生』からの標的が跳ねること覚悟で叩きまくり。
あと30秒で、『魔力補給』班の魔力も底を尽く。
そこまで追い込まれて掴んだ、奇跡的な勝利。
───不覚にも、涙が零れた。
やったぞ、オーレン・・・。
早々と退場した、お前の仇を討ったぞ・・・。
チャララーーララーー。
教室に鳴り響く、例のメロディー。
《おめでとうございます!
開校、XXXX周年記念!
特別行事・『スーパー校長先生を倒せ!』Hard Mode
クリアー認定されました!!》
・・・・・・おい。
聞いてねぇよ。
何だよ、『スーパー校長先生』って?
ああ??
Hard Mode??
・・・・・・ふざけんなよッ!!??
俺は、もう
恥や外聞をかなぐり捨てて、号泣した。
『校長先生』が、バネの効いた軽快な動作で起き上がり。
床にへたり込んだ俺達、それぞれの頭をわしわしと撫で回す。
そして、校内の壊れた箇所を魔法で修復しつつ、ゆっくりと帰っていった。
・・・ああ。
また、地下室へ篭るのだろう。
次回の、『特別行事』まで。
余談だが。
後日、『熱血皇帝』カイザー先生から、メッセージの着信があった。
昔のマッチャム先生は。
『借りてきたクマ』のように大人しい、眼鏡をかけた読書家だったそうだ───
校長先生、御自分を『再封印』。
とても満足されたようです。




