69話 Tears of Victors 09
ふと気付けば、足元に青い『魔力線』───
あっぶねぇ!!
見落とすところだった!!
「『範囲攻撃』だッ!!退がれッ!!」
マッチャム先生を含め、全員が『魔力線』より外側へ退避する。
ずどんッッ!!!
『校長先生』が足を踏み鳴らすと、教室全体が揺れる!
いや、揺れているだけじゃあない!
範囲内に居たら、即リタイアだ。
《盾》役の先生でさえ、全回復状態じゃなければ倒れる。
「ブルルゥオオオーーーー!!」
数秒の硬直が解けた『校長先生』が、動き始める。
その方向は、マッチャム先生ではなく。
『攻撃』班の1名に。
───『敵対値消去』か!?
「先生以外、攻撃禁止ッ!!
絶対に反撃せず、狙われたら止まれッ!!
背中で受けるなッ!!」
「過剰『治癒』に注意。
攻撃されている者は、その間のみ、大声で叫び続けること」
「逃げ回るなッ!!『治癒』し難いッ!!」
「『魔力補給』班。
再詠唱時間を、10秒前に申請すること」
───ここからはもう、阿鼻叫喚の地獄。
やっとマッチャム先生に標的が戻った、と安心すると。
範囲攻撃、直後にまた、『敵対値消去』。
その繰り返し。
・・・いや、おかしいだろ!!
リセットの確立は、3割程度の筈だろ!?
更には、範囲攻撃のBタイプ、『Rock-Paper-Scissors』。
通称『ジャンケン祭り』が加わる。
『校長先生』が一瞬だけ、背中に隠した『手の形』。
それを『攻撃』班の班長が申告。
その時に『校長先生』が赤いオーラを纏っていれば、2秒以内に勝つ手を出すこと。
青いオーラなら、負ける手を。
失敗した者は、一発リタイア。
体力、魔力もそうだが。
ジリジリと気力が削り取られてゆく感覚。
・・・卒業生で、しかも経験者の俺すら、泣きたくなってきた。
リタイアする在校生が、増えてくる。
『魔力補給』班の損害も、かなりヤバい。
あそこがあと2名倒れたら・・・これはもう、回せなくなりそうだ───




